社会の鑑

社会で起きている出来事にコメントを加えています。

緊急事態宣言発令

2020-04-07 18:38:00 | ノンジャンル
緊急事態宣言とマスコミ報道

 今日の午後5時45分ごろ、安倍首相は、新型コロナ特措法に基づき、緊急事態を宣言した。
この宣言を受け、マスコミはその詳細を報道したが、その際に感じた違和感について報告する。
 この緊急事態宣言を受け、具体的な措置を決定するのは、各都道府県知事である。それについては、首相には何の権限もない。
 ところが、この緊急事態宣言を受けたマスコミは、いろいろな業種での取り組みを紹介した。デパート、スーパー、鉄道各社、郵便、宅配業者等々である。
 対象地域とされた都府県では、これから具体的な対策が発表される。まだ発表されない段階で全国的規模であり、市民生活に欠かせない領域について、その営業実態を報道していた。
 鉄道は運休しない、宅配便は通常通り、郵便業務は通常通り、デパートはほとんどが休み等々である。
 これらの報道は、「緊急事態」ということのみを強調し、その持つ意味を理解していないものである。
 緊急事態宣言は、市民の健康を守り、命を守るために発令されたものであり、それを限度として適用されるものである。その視点からの緊急性のないものについては、もともと対象とされていない。にもかかわらず、マスコミは、「緊急性」のみを伝え、市民への不安をあおっているように見受けられる。
 もしこれを読むことができた人たちは、ぜひこのようなマスコミ報道にあおわれないでいただきたい。
 自分の命を守り、健康を守るのは、自分自身である。変な情報に流されず、冷静な対応こそが求められているのではないか。

緊急事態宣言と知事の対応

2020-04-07 17:36:00 | ノンジャンル
緊急事態宣言―できることとできないこと-

 ついに緊急事態宣言が発せられ、翌8日の午前0時から施行され、効力を持つようになる。
 この緊急事態宣言において、小池都知事は、勝手に都市封鎖に言及した。その後、都市封鎖はできないことを理解したのか、知事は、都市封鎖に言及することをやめた。
 ここで、この宣言により、どのようなことが可能になるのかを見ておこう。

 緊急事態宣言が出された場合に取られることが可能な主な措置としては、以下のものが存在する。
A検疫のための停留施設の使用、航空機等の運航の制限の要請【法第29条、第30条】
1 停留施設の使用等
2 航空機等の運航の制限の要請
B感染を防止するための協力要請等について【法第45条】
新型インフルエンザ等緊急事態において、感染拡大をできるだけ抑制し、社会混乱を回避するため、 以下のような措置を講じる。
1 不要不急の外出の自粛等の要請
○ 都道府県知事は、緊急事態において、住民に対し、期間と区域を定めて(※)、生活の維持に必要 な場合を除きみだりに外出しないことを含め、感染防止に必要な協力を要請することができる。
(※)潜伏期間、治癒までの期間及び発生状況を考慮して定めることとなるが、具体的な運用については、政 府対策本部の基本的対処方針で統一的な方針を示す予定。期間については、発生初期などに1~2週 間程度を目安に実施することを想定。区域については、患者の発生状況や地域の社会経済的なつながり 等を勘案して都道府県知事が判断(都道府県内のブロック単位等)。
2 学校、興行場等の使用等制限等の要請等
○ 都道府県知事は、緊急事態において、期間を定めて、学校、社会福祉施設、興行場等多数の者 が利用する施設(注1)の管理者又はそれらの施設を使用して催物を開催する者に対し、施設の使 用の制限等の措置(注2)を講ずるよう要請することができる。
(※)具体的な運用については、政府対策本部の基本的対処方針で統一的な方針を示す予定。
注1 「施設」の具体的内容は、今後政令で規定。人の接触状況(利用人数、施設の大きさ)等を考慮。 注2 「措置」の具体的内容は、今後政令で規定。施設の使用制限・停止のみならず、マスク着用、咳エチケット等の基本的な感染予防策の実施の協力を含む。
○ 上記の場合において、正当な理由がないのに要請に応じないときは、要請を行った都道府県知事は、新型インフルエンザ等のまん延防止等のために特に必要があると認める場合に限り、施設の使用の制限等を指示することができる。(罰則なし)
○ 要請・指示を行ったときは、その旨を公表する。
C特定接種及び住民に対する予防接種について【法第28条、46条】
D医療関係者による協力を確保するための枠組みについて①
1 医療機関に係る措置(指定(地方)公共機関、登録事業者)
2 医薬品等製造販売業者等に係る措置
3 医療関係者への医療等の実施の要請等
4 臨時の医療施設における医療の提供等
E緊急物資の運送、特定物資の売渡し要請等について【法第54条、第55条】
1 緊急物資の運送等(法第54条)
2 特定物資の売渡しの要請等(法第55条)
F申請期限等の延長等、物資の価格安定及び政策金融について【法第57~第61条】
1 行政・民事上の申請期限・履行期限の延長等(法第57条、第58条)
2 生活関連物資等の価格の安定(法第59条)
3 政策金融の実施等(法第60条、第61条)

 これらは、すべて知事の権限である。その主なものは、「要請」である。従来、北海道知事や都知事が行ってきた「要請」とは異なり、緊急事態宣言を受けたものである点において、法的裏付けを持った行為である。しかし、この「要請」に従うか否かは、個人の判断に任され、強制力を有するものではない。一般的には、新型コロナの蔓延を防ぎ、正常な社会生活を取り戻すために、自主規制は行われるであろう。
 しかし、場合によっては、強制力を持つときもある。
① 学校や娯楽施設については、知事は利用の制限を「要請」するが、従わない場合には、さらに「指示」を出すことができる(法45条3項)。
② 緊急物資や医薬品などの運送についても、「要請」のほか「指示」を行うことができる。
③ 知事は、臨時の医療施設を建設する際、土地などを強制使用できるほか、医薬品やマスクなどの売り渡し要請に企業などが応じない場合、強制収用することができる。場合によっては、30万円位が罰金に処せられる。
④ 知事は、特定物資の生産や集荷、販売、輸送などを行う企業などに対し、保管を命ずることができる。この命令に従わず、隠匿や廃棄等をした場合は6月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられ、また保管状況の立ち入り検査を拒んだり、虚偽の報告をしたりした場合は30万円以下の罰金に処せられる。

特に注目すべきことは、鉄道への影響である。今朝の産経新聞は、「首都圏などの対象区域で鉄道各社に対する減便を要請」と報じている。それは、知事ではなく、政府の意向だという。鉄道の便数を減らせば、車内は混雑し、三密の排除という要請に反している。さらに、政府にこのような権限が存在するのであろうか。基本的には、緊急事態宣言を受けた具体的措置を講ずるのは知事であり、政府ではない。これを許してしまえば、もはや法治国家ではなくなってしまう。


緊急事態宣言

2020-04-07 16:37:00 | ノンジャンル
緊急事態宣言―できることとできないこと

 ついに緊急事態宣言が発せられ、翌8日の午前0時から施行され、効力を持つようになる。
 この緊急事態宣言において、小池都知事は、勝手に都市封鎖に言及した。その後、都市封鎖はできないことを理解したのか、知事は、都市封鎖に言及することをやめた。
 ここで、この宣言により、どのようなことが可能になるのかを見ておこう。

 緊急事態宣言が出された場合に取られることが可能な主な措置としては、以下のものが存在する。
A検疫のための停留施設の使用、航空機等の運航の制限の要請【法第29条、第30条】
1 停留施設の使用等
2 航空機等の運航の制限の要請
B感染を防止するための協力要請等について【法第45条】
新型インフルエンザ等緊急事態において、感染拡大をできるだけ抑制し、社会混乱を回避するため、 以下のような措置を講じる。
1 不要不急の外出の自粛等の要請
○ 都道府県知事は、緊急事態において、住民に対し、期間と区域を定めて(※)、生活の維持に必要 な場合を除きみだりに外出しないことを含め、感染防止に必要な協力を要請することができる。
(※)潜伏期間、治癒までの期間及び発生状況を考慮して定めることとなるが、具体的な運用については、政 府対策本部の基本的対処方針で統一的な方針を示す予定。期間については、発生初期などに1~2週 間程度を目安に実施することを想定。区域については、患者の発生状況や地域の社会経済的なつながり 等を勘案して都道府県知事が判断(都道府県内のブロック単位等)。
2 学校、興行場等の使用等制限等の要請等
○ 都道府県知事は、緊急事態において、期間を定めて、学校、社会福祉施設、興行場等多数の者 が利用する施設(注1)の管理者又はそれらの施設を使用して催物を開催する者に対し、施設の使 用の制限等の措置(注2)を講ずるよう要請することができる。
(※)具体的な運用については、政府対策本部の基本的対処方針で統一的な方針を示す予定。
注1 「施設」の具体的内容は、今後政令で規定。人の接触状況(利用人数、施設の大きさ)等を考慮。 注2 「措置」の具体的内容は、今後政令で規定。施設の使用制限・停止のみならず、マスク着用、咳エチケット等の基本的な感染予防策の実施の協力を含む。
○ 上記の場合において、正当な理由がないのに要請に応じないときは、要請を行った都道府県知事は、新型インフルエンザ等のまん延防止等のために特に必要があると認める場合に限り、施設の使用の制限等を指示することができる。(罰則なし)
○ 要請・指示を行ったときは、その旨を公表する。
C特定接種及び住民に対する予防接種について【法第28条、46条】
D医療関係者による協力を確保するための枠組みについて①
1 医療機関に係る措置(指定(地方)公共機関、登録事業者)
2 医薬品等製造販売業者等に係る措置
3 医療関係者への医療等の実施の要請等
4 臨時の医療施設における医療の提供等
E緊急物資の運送、特定物資の売渡し要請等について【法第54条、第55条】
1 緊急物資の運送等(法第54条)
2 特定物資の売渡しの要請等(法第55条)
F申請期限等の延長等、物資の価格安定及び政策金融について【法第57~第61条】
1 行政・民事上の申請期限・履行期限の延長等(法第57条、第58条)
2 生活関連物資等の価格の安定(法第59条)
3 政策金融の実施等(法第60条、第61条)

 これらは、すべて知事の権限である。その主なものは、「要請」である。従来、北海道知事や都知事が行ってきた「要請」とは異なり、緊急事態宣言を受けたものである点において、法的裏付けを持った行為である。しかし、この「要請」に従うか否かは、個人の判断に任され、強制力を有するものではない。一般的には、新型コロナの蔓延を防ぎ、正常な社会生活を取り戻すために、自主規制は行われるであろう。
 しかし、場合によっては、強制力を持つときもある。
① 学校や娯楽施設については、知事は利用の制限を「要請」するが、従わない場合には、さらに「指示」を出すことができる(法45条3項)。
② 緊急物資や医薬品などの運送についても、「要請」のほか「指示」を行うことができる。
③ 知事は、臨時の医療施設を建設する際、土地などを強制使用できるほか、医薬品やマスクなどの売り渡し要請に企業などが応じない場合、強制収用することができる。場合によっては、30万円位が罰金に処せられる。
④ 知事は、特定物資の生産や集荷、販売、輸送などを行う企業などに対し、保管を命ずることができる。この命令に従わず、隠匿や廃棄等をした場合は6月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられ、また保管状況の立ち入り検査を拒んだり、虚偽の報告をしたりした場合は30万円以下の罰金に処せられる。

特に注目すべきことは、鉄道への影響である。今朝の産経新聞は、「首都圏などの対象区域で鉄道各社に対する減便を要請」と報じている。それは、知事ではなく、政府の意向だという。鉄道の便数を減らせば、車内は混雑し、三密の排除という要請に反している。さらに、政府にこのような権限が存在するのであろうか。基本的には、緊急事態宣言を受けた具体的措置を講ずるのは知事であり、政府ではない。これを許してしまえば、もはや法治国家ではなくなってしまう。


新型コロナ特措法に基づく緊急事態宣言の要件

2020-04-07 09:25:00 | ノンジャンル
新型コロナ特措法と緊急事態宣言

 4月7日、安倍首相は新型コロナ特措法に基づき、緊急事態を宣言し、8日午前0時から施行する意向だという。
 そこで、特措法に基づく緊急事態宣言の内容をまとめ、知事から要請される内容について検討を加えてみよう。

 3月13日、新型コロナ特措法が、新型インフルエンザ特措法の改正として成立・公布され、よく14日施行された。新型コロナ特措法は、簡単に言えば、従来の新型インフルエンザ特措法の附則第一条に、(新型コロナウイルス感染症に関する特例)として、次の一条を加えるとするものである。

 第一条の二 新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルスであるものに限る。)については、新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律の施行の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日までの間は、第二条第一号に規定する新型インフルエンザ等とみなして、この法律及びこの法律に基づく命令(告示を含む。)の規定を適用する。

 つまり、附則に1条を加えるだけの改正で、「新型コロナ」を「新型インフルエンザ」とみなし、この法律のすべてを適用しよういうものである。
 さて、ここで問題となるのが、私権を制限することを可能とするといわれている「緊急事態宣言」の要件や範囲についてである。
 緊急事態宣言については、特措法32条は、(新型インフルエンザ等緊急事態宣言等)として、次のように規定している。

 政府対策本部長は、新型インフルエンザ等(国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するものに限る。)が国内で発生し、その全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるものとして政令で定める要件に該当する事態が発生したと認めるときは、新型インフルエンザ等緊急事態が発生した旨及び次に掲げる事項の公示をし、並びにその旨及び当該事項を国会に報告するものとする。
  一 新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施すべき期間
  二 新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施すべき区域
  三 新型インフルエンザ等緊急事態の概要」

 この特措法で定められている要件を法律要件といい、特措法を施行するための政令である特措法施行令では、その6条で、(新型インフルエンザ等緊急事態の要件)として、次のように定めている。

 第6条 法第32条第1項の新型インフルエンザ等についての政令で定める要件は、当該新型インフルエンザ等にかかった場合における肺炎、多臓器不全又は脳症その他厚生労働大臣が定める重篤である症例の発生頻度が、感染症法第6条第6項第1号に掲げるインフルエンザにかかった場合に比して相当程度高いと認められることとする。
 2 法第32条第1項の新型インフルエンザ等緊急事態についての政令で定める要件は、次に掲げる場合のいずれかに該当することとする。
 一 感染症法第15条第1項又は第2項の規定による質問又は調査の結果、新型インフルエンザ等感染症の患者(当該患者であった者を含む。)、感染症法第6条第10項に規定する疑似症患者若しくは同条第11項に規定する無症状病原体保有者(当該無症状病原体保有者であった者を含む。)、同条第9項に規定する新感染症(全国的かつ急速なまん延のおそれのあるものに限る)の所見がある者(当該所見があった者を含む。)、新型インフルエンザ等にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者(新型インフルエンザ等にかかっていたと疑うに足りる正当な理由のある者を含む。)又は新型インフルエンザ等により死亡した者(新型インフルエンザ等により死亡したと疑われる者を含む。)が新型インフルエンザ等に感染し、又は感染したおそれがある経路が特定できない場合
 二 前号に掲げる場合のほか、感染症法第15条第1項又は第2項の規定による質問又は調査の結果、同号に規定する者が新型インフルエンザ等を公衆にまん延させるおそれがある行動をとっていた場合その他の新型インフルエンザ等の感染が拡大していると疑うに足りる正当な理由のある場合

 これらの要件は、政令で定められているので、政令要件といわれる。
 法律要件と政令要件を合わせたものが、緊急事態宣言の要件である。これを具体的に説明すると、次のようになる。

 法律要件1は、新型コロナに関するもので、「国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあるものとして政令で定める要件」であり、それを定めた政令要件Aは、「重篤である症例(肺炎、多臓器不全又は脳症など)の発生頻度が、通常のインフルエンザと比較して、相当程度高いと認められること」である。
 法律要件2は、「全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるものとして政令で定める要件」であり、その政令要件は、B「新型インフルエンザ等に感染し、又は感染したおそれがある経路が特定できない場合」または、C「公衆にまん延させるおそれがある行動をとっていた場合その他の新型インフルエンザ等の感染が拡大していると疑うに足りる正当な理由のある場合」であり、感染している者がさらなる感染を引き起こすような行動をとっている場合である。
 対策本部長である首相が緊急事態を宣言するためには、法律要件1と政令要件Aを満たし、同時に法律要件2と政令要件BかCを満たさなければならない。
 これらは、かなり高い水準であるが、価値判断を加えることができるので、恣意的判断が加わる可能性は否定できない。
 特に政令要件BやCは、それに該当するか否かについての判断が必要であろう。
 緊急事態宣言は、期間と区域を指定して出すことになっている。その区域を地道府県レベルで考える場合と、市町村レベルで考える場合とでは、そこに住む人たちに与える影響は非常に大きい。都心で人口が集中している地域と人口密度が非常に少ない村での状況は非常に異なっている。都道府県単位で緊急事態が宣言される場合には、それなりの説明が求められなければならない。
 ところが、都知事や首相の話からは、そのような意向は感じられず、すべてを一つの単位で考えているようだ。
 
 4月5日夜のネット配信で、小池百合子都知事は、「緊急事態宣言では、法的な裏付けを持って感染拡大防止をできるようになれば、政府には、迅速で適切な判断をしてもらえるように確信しています」と述べていた。
 ここには、大きな過ちがある。緊急事態宣言は感染拡大防止の法的根拠を与えるものではなく、単に「要請」できるだけである。政府や知事からの要請が、市民にどの程度の影響を与えるかにより、その効果は変わってくる。