緊急事態宣言―できることとできないこと-
ついに緊急事態宣言が発せられ、翌8日の午前0時から施行され、効力を持つようになる。
この緊急事態宣言において、小池都知事は、勝手に都市封鎖に言及した。その後、都市封鎖はできないことを理解したのか、知事は、都市封鎖に言及することをやめた。
ここで、この宣言により、どのようなことが可能になるのかを見ておこう。
緊急事態宣言が出された場合に取られることが可能な主な措置としては、以下のものが存在する。
A検疫のための停留施設の使用、航空機等の運航の制限の要請【法第29条、第30条】
1 停留施設の使用等
2 航空機等の運航の制限の要請
B感染を防止するための協力要請等について【法第45条】
新型インフルエンザ等緊急事態において、感染拡大をできるだけ抑制し、社会混乱を回避するため、 以下のような措置を講じる。
1 不要不急の外出の自粛等の要請
○ 都道府県知事は、緊急事態において、住民に対し、期間と区域を定めて(※)、生活の維持に必要 な場合を除きみだりに外出しないことを含め、感染防止に必要な協力を要請することができる。
(※)潜伏期間、治癒までの期間及び発生状況を考慮して定めることとなるが、具体的な運用については、政 府対策本部の基本的対処方針で統一的な方針を示す予定。期間については、発生初期などに1~2週 間程度を目安に実施することを想定。区域については、患者の発生状況や地域の社会経済的なつながり 等を勘案して都道府県知事が判断(都道府県内のブロック単位等)。
2 学校、興行場等の使用等制限等の要請等
○ 都道府県知事は、緊急事態において、期間を定めて、学校、社会福祉施設、興行場等多数の者 が利用する施設(注1)の管理者又はそれらの施設を使用して催物を開催する者に対し、施設の使 用の制限等の措置(注2)を講ずるよう要請することができる。
(※)具体的な運用については、政府対策本部の基本的対処方針で統一的な方針を示す予定。
注1 「施設」の具体的内容は、今後政令で規定。人の接触状況(利用人数、施設の大きさ)等を考慮。 注2 「措置」の具体的内容は、今後政令で規定。施設の使用制限・停止のみならず、マスク着用、咳エチケット等の基本的な感染予防策の実施の協力を含む。
○ 上記の場合において、正当な理由がないのに要請に応じないときは、要請を行った都道府県知事は、新型インフルエンザ等のまん延防止等のために特に必要があると認める場合に限り、施設の使用の制限等を指示することができる。(罰則なし)
○ 要請・指示を行ったときは、その旨を公表する。
C特定接種及び住民に対する予防接種について【法第28条、46条】
D医療関係者による協力を確保するための枠組みについて①
1 医療機関に係る措置(指定(地方)公共機関、登録事業者)
2 医薬品等製造販売業者等に係る措置
3 医療関係者への医療等の実施の要請等
4 臨時の医療施設における医療の提供等
E緊急物資の運送、特定物資の売渡し要請等について【法第54条、第55条】
1 緊急物資の運送等(法第54条)
2 特定物資の売渡しの要請等(法第55条)
F申請期限等の延長等、物資の価格安定及び政策金融について【法第57~第61条】
1 行政・民事上の申請期限・履行期限の延長等(法第57条、第58条)
2 生活関連物資等の価格の安定(法第59条)
3 政策金融の実施等(法第60条、第61条)
これらは、すべて知事の権限である。その主なものは、「要請」である。従来、北海道知事や都知事が行ってきた「要請」とは異なり、緊急事態宣言を受けたものである点において、法的裏付けを持った行為である。しかし、この「要請」に従うか否かは、個人の判断に任され、強制力を有するものではない。一般的には、新型コロナの蔓延を防ぎ、正常な社会生活を取り戻すために、自主規制は行われるであろう。
しかし、場合によっては、強制力を持つときもある。
① 学校や娯楽施設については、知事は利用の制限を「要請」するが、従わない場合には、さらに「指示」を出すことができる(法45条3項)。
② 緊急物資や医薬品などの運送についても、「要請」のほか「指示」を行うことができる。
③ 知事は、臨時の医療施設を建設する際、土地などを強制使用できるほか、医薬品やマスクなどの売り渡し要請に企業などが応じない場合、強制収用することができる。場合によっては、30万円位が罰金に処せられる。
④ 知事は、特定物資の生産や集荷、販売、輸送などを行う企業などに対し、保管を命ずることができる。この命令に従わず、隠匿や廃棄等をした場合は6月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられ、また保管状況の立ち入り検査を拒んだり、虚偽の報告をしたりした場合は30万円以下の罰金に処せられる。
特に注目すべきことは、鉄道への影響である。今朝の産経新聞は、「首都圏などの対象区域で鉄道各社に対する減便を要請」と報じている。それは、知事ではなく、政府の意向だという。鉄道の便数を減らせば、車内は混雑し、三密の排除という要請に反している。さらに、政府にこのような権限が存在するのであろうか。基本的には、緊急事態宣言を受けた具体的措置を講ずるのは知事であり、政府ではない。これを許してしまえば、もはや法治国家ではなくなってしまう。
ついに緊急事態宣言が発せられ、翌8日の午前0時から施行され、効力を持つようになる。
この緊急事態宣言において、小池都知事は、勝手に都市封鎖に言及した。その後、都市封鎖はできないことを理解したのか、知事は、都市封鎖に言及することをやめた。
ここで、この宣言により、どのようなことが可能になるのかを見ておこう。
緊急事態宣言が出された場合に取られることが可能な主な措置としては、以下のものが存在する。
A検疫のための停留施設の使用、航空機等の運航の制限の要請【法第29条、第30条】
1 停留施設の使用等
2 航空機等の運航の制限の要請
B感染を防止するための協力要請等について【法第45条】
新型インフルエンザ等緊急事態において、感染拡大をできるだけ抑制し、社会混乱を回避するため、 以下のような措置を講じる。
1 不要不急の外出の自粛等の要請
○ 都道府県知事は、緊急事態において、住民に対し、期間と区域を定めて(※)、生活の維持に必要 な場合を除きみだりに外出しないことを含め、感染防止に必要な協力を要請することができる。
(※)潜伏期間、治癒までの期間及び発生状況を考慮して定めることとなるが、具体的な運用については、政 府対策本部の基本的対処方針で統一的な方針を示す予定。期間については、発生初期などに1~2週 間程度を目安に実施することを想定。区域については、患者の発生状況や地域の社会経済的なつながり 等を勘案して都道府県知事が判断(都道府県内のブロック単位等)。
2 学校、興行場等の使用等制限等の要請等
○ 都道府県知事は、緊急事態において、期間を定めて、学校、社会福祉施設、興行場等多数の者 が利用する施設(注1)の管理者又はそれらの施設を使用して催物を開催する者に対し、施設の使 用の制限等の措置(注2)を講ずるよう要請することができる。
(※)具体的な運用については、政府対策本部の基本的対処方針で統一的な方針を示す予定。
注1 「施設」の具体的内容は、今後政令で規定。人の接触状況(利用人数、施設の大きさ)等を考慮。 注2 「措置」の具体的内容は、今後政令で規定。施設の使用制限・停止のみならず、マスク着用、咳エチケット等の基本的な感染予防策の実施の協力を含む。
○ 上記の場合において、正当な理由がないのに要請に応じないときは、要請を行った都道府県知事は、新型インフルエンザ等のまん延防止等のために特に必要があると認める場合に限り、施設の使用の制限等を指示することができる。(罰則なし)
○ 要請・指示を行ったときは、その旨を公表する。
C特定接種及び住民に対する予防接種について【法第28条、46条】
D医療関係者による協力を確保するための枠組みについて①
1 医療機関に係る措置(指定(地方)公共機関、登録事業者)
2 医薬品等製造販売業者等に係る措置
3 医療関係者への医療等の実施の要請等
4 臨時の医療施設における医療の提供等
E緊急物資の運送、特定物資の売渡し要請等について【法第54条、第55条】
1 緊急物資の運送等(法第54条)
2 特定物資の売渡しの要請等(法第55条)
F申請期限等の延長等、物資の価格安定及び政策金融について【法第57~第61条】
1 行政・民事上の申請期限・履行期限の延長等(法第57条、第58条)
2 生活関連物資等の価格の安定(法第59条)
3 政策金融の実施等(法第60条、第61条)
これらは、すべて知事の権限である。その主なものは、「要請」である。従来、北海道知事や都知事が行ってきた「要請」とは異なり、緊急事態宣言を受けたものである点において、法的裏付けを持った行為である。しかし、この「要請」に従うか否かは、個人の判断に任され、強制力を有するものではない。一般的には、新型コロナの蔓延を防ぎ、正常な社会生活を取り戻すために、自主規制は行われるであろう。
しかし、場合によっては、強制力を持つときもある。
① 学校や娯楽施設については、知事は利用の制限を「要請」するが、従わない場合には、さらに「指示」を出すことができる(法45条3項)。
② 緊急物資や医薬品などの運送についても、「要請」のほか「指示」を行うことができる。
③ 知事は、臨時の医療施設を建設する際、土地などを強制使用できるほか、医薬品やマスクなどの売り渡し要請に企業などが応じない場合、強制収用することができる。場合によっては、30万円位が罰金に処せられる。
④ 知事は、特定物資の生産や集荷、販売、輸送などを行う企業などに対し、保管を命ずることができる。この命令に従わず、隠匿や廃棄等をした場合は6月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられ、また保管状況の立ち入り検査を拒んだり、虚偽の報告をしたりした場合は30万円以下の罰金に処せられる。
特に注目すべきことは、鉄道への影響である。今朝の産経新聞は、「首都圏などの対象区域で鉄道各社に対する減便を要請」と報じている。それは、知事ではなく、政府の意向だという。鉄道の便数を減らせば、車内は混雑し、三密の排除という要請に反している。さらに、政府にこのような権限が存在するのであろうか。基本的には、緊急事態宣言を受けた具体的措置を講ずるのは知事であり、政府ではない。これを許してしまえば、もはや法治国家ではなくなってしまう。
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