社会の鑑

社会で起きている出来事にコメントを加えています。

講演会のご案内

2008-05-28 09:04:17 | ノンジャンル
 来月、6月14日、午前10時から、関東学院大学小田原キャンパスで、「関東学院創立125周年記念講演会『カンボジア王国における平和の回復と市民の役割』」が開催されます。

 この講演会は二部構成を取っています。

 第一部は講演会で、次のような構成です。
 セッション1 平和の回復と市民の役割
  演題1  市民の立場から見たUNTACの統治
      アン・エントン氏(カンボジア弁護士養成学校校長)
  演題2  難民として、またクメール人として見たカンボジア
       -平和回復における市民の役割-
      奥澤 俊氏(カンボジア難民として日本へ。日本国籍取得)

 セッション2 平和回復への支援・援助
  演題3  民間支援の大切さーNGO活動を通してー
      木村晋介氏(弁護士・JJL共同代表)
  演題4  足立昌勝氏(関東学院大学教授・カンボジア少年法を起草中)

 第二部 パネルディスカッション
     『カンボジア王国の過去・現在・未来』
     パネラー:アン・エントン、奥澤俊、木村晋介、足立昌勝の各氏

 興味のある構成となっていますので、是非ご参加ください。

 なお、当日は土曜日ですので、小田原駅から関東学院大学行きのバスは、本数が少なくなっていますので、ご注意ください。参考までに、バス時刻表を掲載します。

 9時30分、10時05分、10時45分、11時30分 
その他です。

 ご参加をお待ちしています。

刑法学会と共謀罪

2008-05-19 13:49:08 | ノンジャンル
 5月17日と18日の両日、神戸ポートアイランド国際会議場で、日本刑法学会が開催された。第一目の午後は、三つの分科会が開かれた。第一分科会は「自由と安全と刑法」、第二分科会は「裁判員制度実施に向けた課題と展望」、第三分科会は「刑務所への民間参入の意義と課題」である。
 私は、第一分科会に出席し、立命館大学の松宮孝明氏の「組織犯罪対策に見る『自由と安全と刑法』-共謀罪立法問題を含む-」という報告に対し、質問表も提出した。ここでは、その際に言わんとしたことを記しておく。

 1.共謀罪の立法提案は、跨国組織犯罪条約の批准を唯一の根拠としていた。これについては、法制審議会刑事法部会の審議の際に、「共謀罪については、国内的には立法事実は存在しない」といい、法務省当局が認めていたことである。ところが、衆議院法務委員会での審議が始まると、与党の議員やその立法化に賛成する者たちから、「組織犯罪対策としての必要性」が主張されるようになった。つまり、暴力団対策としては必要であるというのである。しかし、これについては、条約が必要とする「跨国性」の要件が欠落している。先ほどの報告及び質問に対する回答で、報告者は、「犯罪組織については跨国性は要件とされず、犯罪が跨国的であればよい」と述べたように、今日の報告も、組織犯罪対策としての考え方が強く主張されており、もう少し、「跨国性」にも触れたほうがよかったのではないだろうか。これは感想です。
 ところで、そのように「組織犯罪対策一般」という形に抽象化するのではなく、「跨国組織犯罪条約」として考えた場合、報告者は、「共謀罪の必要性」について、どのように考えているのか。また、それとの関連において、報告者は、立法ガイド51節を引用し、第三の道による解決を主張したように見えるが、現行法の枠内での批准は不可能なのであろうか。報告者の見解を伺いたい。
 2.共謀罪が国会に登場してから、既に13回の国会を経過した。このように長期間たなざらしにされる法案も珍しい。国会の構成を考えた場合、与党が強行突破しようと思えば出来たにもかかわらず、それもせずに、たなざらしにされている。
 今や、廃案の可能性すら見えてきた。このような現状において、この学会の会員でもある人たちが法制審刑事法部会の委員又は幹事として立法作業にかかわっていた。その人たちは、すべて、法務省にべったりであり、イエスマンであった。しかし、社会の力は、その立法を許さず、現在に至っている。自己の信念を捨て、法務省べったりの答申をした人たちの責任は大きいと思うが、報告者は、どのように考えているか。
 3.先日、革労協主流派に属するもの7人に対し、福岡県警は、組織的犯罪処罰法を適用し、組織的詐欺罪で逮捕した。このように新左翼系党派に対する同法の適用について、報告者はどのように考えているか。

衆議院での再議決

2008-05-14 09:26:58 | ノンジャンル
 昨日、福田内閣は、憲法59条2項に基づく、3度目の再議決を行った。このような再議決を、果たして憲法は認めているのだろうか。
 衆議院で可決された法案が、参議院で否決され、衆議院で三分の二の多数で再議決した事例は、今国会での三例を除けば、二例しかない。
 一つは、1951年6月5日に再議決された「モーターボート競走法案」であり、もう一つは、1952年7月30日に再議決された「国立病院特別会計所属の資産の譲渡等に関する特別措置法案」である。
 当時の国会状況は、与党が衆議院の三分の二以上の議席を持っていたわけではなく、参議院の多数が野党側であったわけではない。しかし、法案の審議において、参議院では、審議の結果、否決となったものである。そこには、参議院の独自性があり、政党の論理に支配されない「良識の府としての参議院」が存在していた。それに対して、政府は、衆議院での多数派工作を行い、三分の二以上の多数を得て、衆議院で再議決を行った。
 これらに対して、今国会で行われた三例の再議決は、衆議院は与党、参議院は野党が多数を占めるという議会の構造すなわち与野党のぎゅく点現象に起因するものである。
 憲法が想定しているものは、前者であろう。
 今国会での事例は、憲法が想定しているものではない。このような事例が続けば、参議院の存在価値そのものが問題とされることになる。衆議院で三分の二以上の議席を有する与党が存在した場合、参議院での議決は意味を持つことなく、すべての事案において、衆議院での再議決を行えばすむことになってしまう。
 このような参議院無用論につながることを、二院制の前提に立つ憲法が認めているものではない。
 このような逆転現象下の国会で再議決を行うことは、極論した場合、憲法の否定と同じである。このような逆転現象が生じた場合には、政府は速やかに衆議院を解散し、国民に民意を問うべきである。解散もせずに、闇雲に多数の行使を続けることは、国民を愚弄したものである。解散できないということは、政権政党から野党への転落を恐れているのであろう。それは、「政治屋」の行うことであり、「政治家」の行うことではない。福田内閣が「政治家」の集まりであるならば、可及的速やかに国会を解散し、国民に信を問うべきである。




差別

2008-05-10 22:14:17 | ノンジャンル
今日は、かまくら春秋社主催の差別問題についての座談会に出席してきました。ゲストとしてきていたのは、川村二郎元週刊朝日編集長、小林和男作新学院大学教授(元NHKモスクワ支局長)の各氏でした。
皆さんそれぞれ社会経験が豊かな方で、非常に参考になる会議でした。
そこで私が強調したのは、「意識の反映としての差別」です。知らず知らずのうちに、社会的常識に慣らされ、意識下の中で醸成された差別については、何の問題意識もなく、その言葉を使っている事実をどう思うかということです。
例としてあげたのは、「北朝鮮」という言葉です。同一民族の中で国家が分裂している場合、南北あるいは東西を使う場合はあるでしょう。しかし、この場合は、南については「韓国」といい、北については「北朝鮮」という現実についてです。英語やドイツ語では、それぞれの国を南北で示している。North Korea、South Koreaがそうです。この場合は、Koreaという同一名の中に南北を用いているので、問題はないでしょう。しかし、日本のように、片一方を正式国名でいい、もう一方をあえて方角で表すというのは何を意味しているのでしょうか。二つの国をあらわすのであれば、「朝鮮」といえば足りるのではないでしょうか。
なぜそうならないのでしょうか。
私は、日本人の中にある、意識下の差別意識が働き、朝鮮人民民主主義共和国を敢えて無視することに起因しているのではないだろうか。
もし、米朝和解が成立し、お互いが国家承認し、国交を樹立した場合、日本はどのように動くのですか。多分、それに追随するでしょう。では、その場合、それまで、「北朝鮮」といっていた意識はどこに行くのですか。その意識は代わることはないでしょう。だとすれば、その意識に規定されつつ、「北朝鮮」という言葉は、残り続けるでしょう。
これが、「意識の反映としての差別」の実例です。
同じ事例としてあげれば、「脱北者」とは、何を意味するのでしょうか。韓国の立場から見れば、そのとおりでしょう。しかし、日本の立場から見れば、「脱北者」とは、「北海道から逃れた者」というになるでしょう。しかし、現実にはそのように使われていません。この言葉は真実を曲げているのです。やはりそれも、意識下で規定されているのでしょう。
差別のない社会を樹立することは、大切なことであり、それに気づいた者は、意識の中で、差別用語を使わないようにすべきでしょう。

内相サミット議題

2008-05-05 14:56:27 | ノンジャンル
 5月1日の朝日新聞夕刊に、「国際犯罪の防止支援議題に」と題する記事が掲載されました。ちょうど、その日に、法務省は、ホームページに「G8司法・内務大臣会議の準備状況について」を発表しました。
 そこには、議題として、次の項目が掲げられています。
○ 国際テロ対策
○ ID犯罪
○ 薬物犯罪対策
○ 国際組織犯罪に対抗するユニバーサル・ネットワークの構築
○ キャパシティ・ビルディング支援
○ 児童の性的搾取との闘い
 これについては、http://www.moj.go.jp/PRESS/080501-1.html、この会議の紹介用WEBはhttp://www.g8jha2008.jp/を見てください。
 朝日新聞には、「国際犯罪や資金洗浄など国境を超えて起きる犯罪への備えが不十分な国に対し、法執行機関の能力強化を促すための支援実施が目玉だ」と書かれている。
 ところで、その「国」って、どこの国。もしかすると、日本も入るのでは?
 共謀罪が衆議院で凍結されている現状において、政府・法務省は、他の国から白い眼で見られないような方策として、何を考えているのでしょうか。
 この点について、十分に考えておく必要があると思います。