風営法に基づく警察の立ち入りとコロナ対策の推進
コロナ対策を推進するための、キャバクラやホストクラブ等への警察官の立ち入り
7月23日、時事通信は、「東京都の小池百合子知事は23日、新型コロナウイルスの感染が相次ぐ接待を伴う飲食店など風営法の対象店について、24日から警視庁が立ち入り調査し、同行する都職員が感染防止対策を働き掛けると明らかにした。」と配信した。
また、共同通信は、「五輪開催の鍵『コロナ対策』小池都知事」と題し、次のように配信した。
新型コロナウイルスの影響で延期された東京五輪の開幕まで1年となった23日、都内の1 日当たりの感染者が過去最多の366人に上り、小池百合子知事は来年の開催に向け「最大のポイントはコロナ対策になる」と強調した。
都内はこの日、時折雨が激しく降り、「(延期がなければ)本来なら開会式のお天気を案じているところだった」と指摘。延期に伴って新たに1年の準備期間が加わり、「国際オリンピック委員会(IOC)や国、大会組織委員会、都を挙げて危機管理体制をしっかり作る」と述べた。
その上で「コロナに打ち勝った証しとしての東京大会にしていく考えに変わりはない」とした。
都内で多くの感染者が出たホストクラブなど夜の繁華街では、24日に警視庁と連携した活動を実施すると説明した。
警視庁が風営法に基づく立ち入り調査を新宿・歌舞伎町や池袋の店舗で実施し、都の職員も同行して感染拡大防止のガイドラインを順守しているかどうかなどを調査すると明らかにした。
さらに、朝日新聞は、7月23日、次のような記事を報道した。
東京都内の繁華街の接待を伴う飲食店で新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることを受け、小池百合子知事は22日、警視庁本部を訪れて斉藤実・警視総監と面会し、各店の感染対策の徹底に関して協力を要請した。同庁は、風俗営業法に基づく立ち入りの機会に合わせて対策を呼びかけるなどの「声かけ」を想定するが、店側には「越権行為だ」と反発する声もある。
面会後、小池知事は報道陣に「対策を迅速に進めていく、しっかりと対応していただけるということで、大変期待している」と語った。同日夕の記者会見では、「警視庁と都庁が連携し、風俗営業の店に対して感染予防策の徹底を図る」と述べた。
それに対し、警視庁幹部は「あくまで風営法の範囲で粛々と協力するだけ」と淡々と話した。警察は風営法に基づき、キャバクラやホストクラブ、風俗店などを指導、監督する立場。立ち入りもその一環で、過去に違反が確認されたり違反情報が寄せられたりした店などに対し、従業員名簿の保管や営業時間の順守状況、18歳未満による接客がないかなどを調査する。
ただ、いずれの場合も風営法が定める「善良の風俗と清浄な風俗環境の保持」などの目的に限られ、新型コロナ対策は対象外だ。別の幹部は「風営法に基づく指導などはできない。立ち入りの際に『対策に気をつけて下さい』といった声かけをすることになる」と言う。
風営法を根拠とした警察官の立ち入り
風営法が認めている風俗営業店への警察官の立ち入りは、37条2項で「警察職員は、この法律の施行に必要な限度において、次に掲げる場所に立ち入ることができる。」と定められ、認められている。しかし、それは、「この法律の施行に必要な限度」に限られている。風営法1条は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するために、業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とするとし、警察官の立ち入りも、その限度で許されているのである。
コロナ対策は、「善良の風俗と清浄な風俗環境の保持」や「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止」には全く当たらない。
これに対して、菅官房長官は、20日の記者会見で、新型コロナの温床と指摘される接待を伴う飲食店など「夜の街」での感染拡大を防ぐため、全国で風営法などを根拠に警察官が店舗への立ち入り検査を行う考えを明らかにした。法令順守と合わせて感染防止対策の徹底を呼び掛ける。
菅氏は「ホストクラブやキャバクラが(感染の)根源になっていることは明らかになっている」と指摘。風営法による検査の一例として、作成が定められた従業員名簿の有無を確認することで、店舗で感染者が出た場合の速やかな連絡に活用できるといった意義を説明した。
また菅氏は、「法律上の問題はないのか」と問われ、「ご指摘は当たらない」と反論したという。
日本は法治国家なのだ。このような菅氏の言い分を許し、小池都知事が警視総監に要請したような風営法に基づく警察官の立ち入りと都職員の動向を許すことは、風営法を根拠としたものではなく、勝手に解釈し、自らの手段を合法化しようとしているにすぎない。
このような違法な手段を用いた警察官の立ち入りをマスコミはもっと強く批判すべきである。
小池都知事のやり方は、ワンフレーズで都民に要請を繰り返すのみで、その結果については責任を取ろうとしない。ここまで陽性者が増えたのは、単に検査件数が増えたからではない。今起きていることを冷静に把握し、自らの責任をはっきりとさせるべきである。
新型コロナ特措法は、警察官の立ち入りを認めていない。
新型コロナ特措法は、都道府県対策本部長の権限を定めている24条で、7項として、「都道府県対策本部長は、当該都道府県警察及び当該都道府県の教育委員会に対し、当該都道府県の区域に係る新型コロナ対策を実施するため必要な限度において、必要な措置を講ずるよう求めることができる。」と定めている。
ここでは、「新型イコロナ対策を実施するため必要な限度において、必要な措置を講ずるよう求めることができる」と定めているにすぎない。これは、警察に新たな権限を付与するものではなく、都道府県のコロナ対策活動に必要な限度でのものである。
ましてや、都職員の同行は絶対に許されてはならない。都職員が法的に認められていないことを行うことはできないのだ。
世界的にコロナが蔓延し、日本でも第二派が叫ばれている今日である。コロナ対策として、コロナのまん延を防止する措置を講ずることはしなければならない。だからと言って、すべての権限が都知事に付与されたわけではない。こんなことは絶対にあってはならない。コロナ対策であるならば、法を無視してでも行うべきことは行うという考え方は、絶対に許されてはならない。
報道機関に携わる人々
日本が法治国家であることを前提に、正しいことは正しいとはっきりものをいうべきである。あいまいな態度に終始すれば、権力者は、ますます権力の乱用に走るであろう。それを批判し、させないことがマスコミの役割だろう。
コロナ対策を推進するための、キャバクラやホストクラブ等への警察官の立ち入り
7月23日、時事通信は、「東京都の小池百合子知事は23日、新型コロナウイルスの感染が相次ぐ接待を伴う飲食店など風営法の対象店について、24日から警視庁が立ち入り調査し、同行する都職員が感染防止対策を働き掛けると明らかにした。」と配信した。
また、共同通信は、「五輪開催の鍵『コロナ対策』小池都知事」と題し、次のように配信した。
新型コロナウイルスの影響で延期された東京五輪の開幕まで1年となった23日、都内の1 日当たりの感染者が過去最多の366人に上り、小池百合子知事は来年の開催に向け「最大のポイントはコロナ対策になる」と強調した。
都内はこの日、時折雨が激しく降り、「(延期がなければ)本来なら開会式のお天気を案じているところだった」と指摘。延期に伴って新たに1年の準備期間が加わり、「国際オリンピック委員会(IOC)や国、大会組織委員会、都を挙げて危機管理体制をしっかり作る」と述べた。
その上で「コロナに打ち勝った証しとしての東京大会にしていく考えに変わりはない」とした。
都内で多くの感染者が出たホストクラブなど夜の繁華街では、24日に警視庁と連携した活動を実施すると説明した。
警視庁が風営法に基づく立ち入り調査を新宿・歌舞伎町や池袋の店舗で実施し、都の職員も同行して感染拡大防止のガイドラインを順守しているかどうかなどを調査すると明らかにした。
さらに、朝日新聞は、7月23日、次のような記事を報道した。
東京都内の繁華街の接待を伴う飲食店で新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることを受け、小池百合子知事は22日、警視庁本部を訪れて斉藤実・警視総監と面会し、各店の感染対策の徹底に関して協力を要請した。同庁は、風俗営業法に基づく立ち入りの機会に合わせて対策を呼びかけるなどの「声かけ」を想定するが、店側には「越権行為だ」と反発する声もある。
面会後、小池知事は報道陣に「対策を迅速に進めていく、しっかりと対応していただけるということで、大変期待している」と語った。同日夕の記者会見では、「警視庁と都庁が連携し、風俗営業の店に対して感染予防策の徹底を図る」と述べた。
それに対し、警視庁幹部は「あくまで風営法の範囲で粛々と協力するだけ」と淡々と話した。警察は風営法に基づき、キャバクラやホストクラブ、風俗店などを指導、監督する立場。立ち入りもその一環で、過去に違反が確認されたり違反情報が寄せられたりした店などに対し、従業員名簿の保管や営業時間の順守状況、18歳未満による接客がないかなどを調査する。
ただ、いずれの場合も風営法が定める「善良の風俗と清浄な風俗環境の保持」などの目的に限られ、新型コロナ対策は対象外だ。別の幹部は「風営法に基づく指導などはできない。立ち入りの際に『対策に気をつけて下さい』といった声かけをすることになる」と言う。
風営法を根拠とした警察官の立ち入り
風営法が認めている風俗営業店への警察官の立ち入りは、37条2項で「警察職員は、この法律の施行に必要な限度において、次に掲げる場所に立ち入ることができる。」と定められ、認められている。しかし、それは、「この法律の施行に必要な限度」に限られている。風営法1条は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するために、業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とするとし、警察官の立ち入りも、その限度で許されているのである。
コロナ対策は、「善良の風俗と清浄な風俗環境の保持」や「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止」には全く当たらない。
これに対して、菅官房長官は、20日の記者会見で、新型コロナの温床と指摘される接待を伴う飲食店など「夜の街」での感染拡大を防ぐため、全国で風営法などを根拠に警察官が店舗への立ち入り検査を行う考えを明らかにした。法令順守と合わせて感染防止対策の徹底を呼び掛ける。
菅氏は「ホストクラブやキャバクラが(感染の)根源になっていることは明らかになっている」と指摘。風営法による検査の一例として、作成が定められた従業員名簿の有無を確認することで、店舗で感染者が出た場合の速やかな連絡に活用できるといった意義を説明した。
また菅氏は、「法律上の問題はないのか」と問われ、「ご指摘は当たらない」と反論したという。
日本は法治国家なのだ。このような菅氏の言い分を許し、小池都知事が警視総監に要請したような風営法に基づく警察官の立ち入りと都職員の動向を許すことは、風営法を根拠としたものではなく、勝手に解釈し、自らの手段を合法化しようとしているにすぎない。
このような違法な手段を用いた警察官の立ち入りをマスコミはもっと強く批判すべきである。
小池都知事のやり方は、ワンフレーズで都民に要請を繰り返すのみで、その結果については責任を取ろうとしない。ここまで陽性者が増えたのは、単に検査件数が増えたからではない。今起きていることを冷静に把握し、自らの責任をはっきりとさせるべきである。
新型コロナ特措法は、警察官の立ち入りを認めていない。
新型コロナ特措法は、都道府県対策本部長の権限を定めている24条で、7項として、「都道府県対策本部長は、当該都道府県警察及び当該都道府県の教育委員会に対し、当該都道府県の区域に係る新型コロナ対策を実施するため必要な限度において、必要な措置を講ずるよう求めることができる。」と定めている。
ここでは、「新型イコロナ対策を実施するため必要な限度において、必要な措置を講ずるよう求めることができる」と定めているにすぎない。これは、警察に新たな権限を付与するものではなく、都道府県のコロナ対策活動に必要な限度でのものである。
ましてや、都職員の同行は絶対に許されてはならない。都職員が法的に認められていないことを行うことはできないのだ。
世界的にコロナが蔓延し、日本でも第二派が叫ばれている今日である。コロナ対策として、コロナのまん延を防止する措置を講ずることはしなければならない。だからと言って、すべての権限が都知事に付与されたわけではない。こんなことは絶対にあってはならない。コロナ対策であるならば、法を無視してでも行うべきことは行うという考え方は、絶対に許されてはならない。
報道機関に携わる人々
日本が法治国家であることを前提に、正しいことは正しいとはっきりものをいうべきである。あいまいな態度に終始すれば、権力者は、ますます権力の乱用に走るであろう。それを批判し、させないことがマスコミの役割だろう。