凄い踏み込みだった。彼の読みの深さと攻めの大局観に裏付けされての中盤入り口だった。王様以外で1番強い駒(飛車)を切り捨ててでも相手の陣形を崩して後手番が攻め切れると決断した。
周りのほぼ全ての棋士たちが、その一手は選択しない、リスクが高すぎる無謀とも思える封じ手だった。誰もがわかる二者択一で安全策の一手があるにもかかわらず。
しかし、藤井聡太棋士と戦いコテンパンにやられた棋士は、解説者で彼ならきっと切ってくるだろうと、根拠のない解説をした。まさに肉を切らせて骨を断つ一撃だった。
将棋の長い歴史で築き上げられた常識、絶対正しいと疑われない定石にない指し手を彼はこの数ヶ月の対局で、しかもタイトルホルダー相手に連戦連発する。
もう彼がトップ中のトップ棋士だと将棋のわかる人ほど身震いする衝撃を感じている。年齢や経験なんて関係ない。そして、彼の純粋過ぎる謙虚な姿勢や語り口や表情の柔らかさに引き込まれて静かに気絶しそうである。
藤井聡太王位、おめでとう㊗️ございます。実力以上の結果が出たと謙遜されてますが、まだまだ計り知れない実力や伸びしろを周りの誰もが感じている。
5歳から将棋に熱中したこんな可愛い少年が、たった13年の歳月で将棋界のテッペンまで登り詰めようとしている。
今や将棋界は混沌とした乱世の時代である。若き四強(渡辺、豊島、永瀬、藤井)の時代がやってくるなんて言う将棋ファンがいるが、私はそう思わない。
羽生世代と呼ばれる層の厚い40後半から50歳の元タイトルホルダーたちが必ずやまた割り込んでくるだろう。そうなった方がさらに面白くなる。
藤井王位だってそんな簡単に今回のように三冠、四冠とはいかないだろう。5〜7年後、真の実力を発揮できる状態や環境が整うと予想する。
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