<骨粗しょう症>破骨細胞に2種類…大阪大チーム解明
毎日新聞 1月17日(木)2時0分配信
骨の再生を促す働きがある一方、骨粗しょう症や関節リウマチになると骨を異常に壊す「破骨細胞」は2種類の状態があることをマウスを使った実験で突き止めたとして、石井優・大阪大教授(免疫学)らの研究チームが16日付の米医学誌電子版で発表した。このうち1種類が、骨を溶かす機能があるといい、副作用の少ない治療薬の開発に役立つ成果だという。
破骨細胞は、骨を修復する「骨芽細胞」に作用して再生を促す。しかし骨粗しょう症などになると、骨を再生させるよりも早いペースで破壊してしまう。
石井教授らは、正常なマウスと骨粗しょう症のマウスで、破骨細胞を遺伝子操作で発光させて頭部を観察。その結果、破骨細胞には、骨の組織の表面に張り付き強い酸で骨を溶かすR型と、骨は壊さず表面を移動するだけのN型の状態があり、どの破骨細胞も、R型になったり、N型になったり、変化していることが分かった。
R型は、正常マウスでは破骨細胞全体の約4割だが、骨粗しょう症のマウスでは9割以上に増えていた。標準治療薬を投与すると、破骨細胞の全体数は大幅に減るが、少なすぎると骨がもろくなる。石井教授は「R型だけを減らす物質が発見できれば、骨粗しょう症や関節リウマチのよりよい治療薬の開発につながる」と話した。【須田桃子】