別れ

妻に肺がんで先立たれ
年明けの三回忌の法要を前に
墓参に行くことにした。

タクシーを使うことも考えたが
ある思いから
往復１０キロあまりを歩くことにした。
山の中腹の墓地への登りの道は
思いの他きつかった。

次男から、死亡するひと月ほど前
妻に「お父さんのことは、面倒みるから、
安心して」と言うと
「ありがとう、其れが一番心配だったから」
と会話した事を後から聞いた。

帰路、墓参のたびに寄っていたレストランで
妻が好きだったチラシ寿司を食べ
在りし日を思い出しながら、
別れを告げた




大晦日の月