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睡蓮の千夜一夜

馬はモンゴルの誇り、
馬は草原の風の生まれ変わり。
坂口安吾の言葉「生きよ・堕ちよ」を拝す。

扁桃腺は神奈中バスとキャラメルの味

2018-05-31 09:11:59 | COPD・健康・白内障・メンタル




右の奥歯にぴりぴり痛みを感じてすぐ首の付け根に
痛みが落ちてきた。触ると右の首筋が少しはれている。
いつもの扁桃腺かな。

これがぷくりと腫れてくると何か食べる度にぴりっ、
水を飲んでもぴりっと電気人間iになる。

子供の頃は扁桃腺が腫れるたびに医者に連れていかれた。
働きづめで忙しい母に手を引かれて神奈中バスに乗る、
町医者の玄関の戸を開けるまで母は決して手を放さない。

痩身の女医さんは白髪まじりの髪を後ろにひっ詰め、
団子みたいなアタマに丸いメガネをかけていた。

前回の診察のとき、
「また来たの、あんまり腫れるようなら切ろうかね...」と
しらっと言った。

先端に綿を巻いた短いスティックをずぼっと薬瓶に漬け
垂れないようにビンのくちでしごいたら
「は~い、口を大きく開けて」と命令口調にうながした。
遠慮なしにぐいぐいぐるりと塗られて「はい、おしまい」

あれは「ぐぐっぐえっ」と吐きそうになるんだよね。
いつもこらえていたけど、
一度くらいは白衣にべちょっと吐いてやればよかった。

帰りの母は手を放したままずんずん先を歩く。
バス停の時刻表を見ながら軽く舌打ちした時は
いつも
駄菓子屋でキャラメルを買ってくれる。
ぼくはパブロフの子犬のように母の顔を見た。

壊れかけたベンチにすわりキャラメルを食べる。
上気した頬を風がなでてゆく、
1時間に1本のバスが嬉しい日になったとき。

 


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