睡蓮の千夜一夜

馬はモンゴルの誇り、
馬は草原の風の生まれ変わり。
坂口安吾の言葉「生きよ・堕ちよ」を拝す。

桜井滋人著「風狂の人 金子光晴」の本を読む・智恵子抄・大崎GATECITYモノクロ夜景

2019-07-02 08:17:46 | 散文うたかたの記



昨夜はたいした雨じゃないと三脚を立てた。
スマホの画面に極小の水玉が落ちる。
わずか20分、小ぬか雨に芯まで濡れた。

昨日は朝から夕方まで本を読んだり眠ったり。
山の家から持ってきた桜井滋人著「風狂の人 金子光晴」の
ページを開いてわずか10分で夢の中へ。

桜井氏独特の筆勢で淡々と金子光晴の風狂を描いている、
ずんずん読み進めたいが、なにせ眠い、眠気が勝る。
30分でかばっと起きる。
つつしみなく眠る罪悪感を払うようにアタマをふり
またページをめくる。今度は30分持った。

229頁の単行本なら2時間足らずで読めるのに
昨日は丸一日かかっての読了となった。

評伝に名を借りた桜井氏の自伝でもあるような、
一冊が二冊分おいしい本であり、
桜井氏の文学的表現がときに時代を感じるものである。

「どくろ杯」~「ねむれ巴里」~「西ひがし」の間隙を
埋めるエピソードは金子の人となりそのものだった。

読み終わってほっとしたような、
まだどこかにぼくの知らない金子がいると思った。
ぼくは気がすむまで金子を追う、
一時期の安吾に獲りつかれたように。

金子は太陽や月じゃない
まして空でもない
変幻自在にうつろい
怒涛のようにうごき
嵐をまねき
ときに優しく包み込む
まさに雲なのだ。


今日もバタートースト。
センター下り石川P/Aのパンがうまい。
角食が気に入ってトースターを持ってきた。
通り道だし。

2車線なので渋滞してるとアウトだけど、
東名よりセンターのほうが全体的に空いてるし、
なにより山に向かって走るのは気持ちがいい。
智恵子さんの気持ちがすこし分かる。



智恵子抄 高村光太郎
「あどけない話」

智恵子は東京に空が無いといふ、
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、
切つても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山(あたたらやま)の山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ。
あどけない空の話である。






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