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水滸聚義

中国古典『水滸伝』の紹介や考察を行っています

基礎知識 四大奇書とは

2010-10-24 | 基礎知識
 ■四大奇書とは

 『水滸伝』は、中国の四大奇書(しだいきしょ)のひとつに数えられます。「奇」とは、「奇妙な」という意味ではなく、「すぐれた」「世にも稀な」といった意味で、四大奇書とは中国の明代に書かれた四つの優れた通俗長編小説の事をいい、『水滸伝』『三国演義』『西遊記』『金瓶梅』の四書のことを指します。

 のちに、性描写があからさまな『金瓶梅』が発禁扱いとなり、また清代に『紅楼夢』という優れた小説が現れたことから、四大奇書から『金瓶梅』を除き『紅楼夢』を加えて、「四大名著」「中国四大小説」という呼び方がされるようになりました。現在でも中国では、『金瓶梅』は発禁扱いで、『水滸伝』『三国演義』『西遊記』『紅楼夢』を四大名著と呼ぶ言い方が一般的のようです。いずれにせよ『水滸伝』は中国を代表する古典小説であるということです。

 「四大奇書」という呼びかたは、明末の文人・馮夢竜(ふう・ぼうりょう)が言い始めたとする場合と、明末清初の文人・李漁(り・ぎょ)が言い始めたとする場合があります。どういうことかというと、馮夢竜が書いた文の中に四大奇書について書かれたものは見つかっていないのですが、李漁が書いた文(清代に出版された『三国演義』の序文)の中に「馮夢竜が『三国演義』『水滸伝』『西遊記』『金瓶梅』を四大奇書と言っている」というようなことが書いてあるのです。

 李漁のいうことが真実であれば、四大奇書と言い出したのは馮夢竜ということになりますが、李漁が出版する本に箔を付けるためにでっち上げで書いているのかもしれません。実際には、李漁本人が四大奇書と言い出したにもかかわらず「昔の著名人がこう言っている」と書いて信憑性を高める工作を行ったかもしれない、ということです。