水滸聚義

中国古典『水滸伝』の紹介や考察を行っています

あらすじ 第十二回

2010-10-22 | あらすじ 第十二回~第二十二回
 ■第十二回 梁山泊に 林冲落草し  汴京城に 楊志刀を売る

 林冲は、顔に青あざのあるその大男と激しく渡りあうが決着はつかない。そこへ王倫が止めにやってきて、男の素性を訊くと、男はもと殿帥制使で任務に失敗して身を隠していた青面獣の楊志という好漢だった。王倫は林冲を梁山泊に留め、また林冲を牽制するために楊志も引き留めるが、復職を願う楊志は聞き入れず東京へと旅だった。

 東京へ着いた楊志は役人たちに、賄賂を使ってようやく殿帥府の太尉・高俅に目通りがかなったが、高俅は任務に失敗した後、逃走していた楊志の復職をゆるさず殿帥府から追い出した。路銀がなくなった楊志は、金を得るために仕方なく伝家の宝刀を売りに出すことにした。

 天漢州橋のあたりで刀を売っていると、地元で有名なごろつきの牛二が楊志にからんできた。金はないが刀は欲しいと襲いかかってくる牛二を、楊志はかっとなって斬り殺してしまう。楊志は役所に自首し、北京大名府へ流罪とされ、留守司・梁中書の元で召し抱えられることになった。

あらすじ 第十三回

2010-10-22 | あらすじ 第十二回~第二十二回
 ■第十三回 急先鋒 東郭に功を争い  青面獣 北京に武を闘わす

 楊志を気に入った梁中書は、楊志を軍職に就けてやろうと思い、軍官と腕比べをさせることにする。兵馬都監の李成・聞達以下軍官たちが梁中書の元に集まり、副牌軍の周瑾が楊志の相手をすることになった。楊志は周瑾を相手取り槍でも弓でもこれを軽くあしらって見せた。喜ぶ梁中書の前に一人の男が進み出て楊志との腕比べを望んだ。それは正牌軍・急先鋒の索超であった。

 楊志は槍を取り、索超は大斧を振るって、激しく渡りあうこと五十余合に及んだが、勝敗はつかなかった。軍官たちは喝采し、二人が傷つくことを恐れた聞達は試合を引き分けとさせた。梁中書は大いに満足し、二人を提轄の職に就けた。

 しばらくして季節は夏となった。梁中書は、妻の父である東京の太師・蔡京の誕生日の贈り物(生辰綱)に十万貫の金銀財宝を準備していた。

 ところ変わって梁山泊にほど近い済州鄆城県。知県の時文彬は、都頭の美髯公の朱仝挿翅虎の雷横に命じて管内の巡察に出るように命じていた。

あらすじ 第十四回

2010-10-22 | あらすじ 第十二回~第二十二回
 ■第十四回 赤髪鬼 酔って霊官殿に臥し  晁天王 義を東渓村に認ぶ

 東渓村を巡回していた雷横は、廟の中で酔って裸で寝ていた不審な大男を縛り上げた。まだ朝早かったため、雷横は村の顔役・保正の托塔天王の晁蓋の屋敷で休ませてもらうことにした。宴席中、晁蓋は捕まった男がどんな者かこっそり見に行くと、男は赤髪鬼の劉唐といい晁蓋に会いに東渓村にやってきたという。晁蓋と劉唐は口裏を合わせて、叔父と甥の関係であると嘘をついて雷横をだまし、釈放してもらう。

 雷横は銀子をもらって帰って行ったが、恥をかかされた劉唐は怒って雷横を追いかける。雷横も劉唐を迎え撃ち、二人は朴刀を振るって五十合も打ち合った。そこへある書生が割って入って二人を押しとどめた。書生は村の塾の教師で智多星の呉用といい、晁蓋の知古だった。そこへ晁蓋もやってきて雷横をなだめて帰らせた。

 屋敷に戻った晁蓋と呉用が劉唐から話を聞くと、北京の梁中書が十万貫もの不義の賄賂・生辰綱を東京の蔡太師へ送ろうとしているのでそれを奪ってやろうというのだった。

あらすじ 第十五回

2010-10-22 | あらすじ 第十二回~第二十二回
 ■第十五回 呉学究 三阮に説いて撞籌し  公孫勝 七星に応じて義に聚まる

 晁蓋と呉用は、生辰綱強奪の決行のために仲間を集めることにした。呉用は旧知の三兄弟の漁師を仲間に加えるべく自ら東渓村にほど近く、梁山泊のほとりにある石碣村に赴いた。三兄弟は立地太歳の阮小二短命二郎の阮小五活閻羅の阮小七といい、いずれも義に厚く腕の立つ好漢である。

 呉用は三兄弟に会って酒を酌み交わし、彼らの様子を探ってみた所、現状に満足しておらず、自分たちを認めてくれる人と腕のふるい場所を求めているという。呉用が東渓村の晁蓋のもとで生辰綱を強奪する話を持ちかけると三兄弟はすぐに承知して呉用と共に東渓村へと向かった。

 晁蓋は三兄弟を迎えると呉用・劉唐と共に誓いの儀式を執り行った。その最中、ある旅の道士が晁蓋の屋敷を訪れた。晁蓋は下男に言いつけて、取り込んでいるので、お布施を与えて道士を帰らせようとした。すると道士は怒って下男を叩きのめし、どうしても晁蓋に会うと騒ぎ出した。道士の名は入雲竜の公孫勝といった。

あらすじ 第十六回

2010-10-22 | あらすじ 第十二回~第二十二回
 ■第十六回 楊志 金銀坦を押送し  呉用 生辰綱を智取す

 公孫勝が晁蓋を訪れた目的もまた生辰綱の強奪であった。こうして晁蓋が夢で見た北斗七星と同じ七人の仲間(晁蓋・呉用・公孫勝・劉唐・阮氏三兄弟)で生辰綱を奪う計画を立てた。また安楽村の白日鼠の白勝にも協力を求めた。

 一方、北京の梁中書は、今年は生辰綱を賊に奪われまいと腕の立つ楊志に輸送隊を率いさせることにした。楊志は兵たちに旅商人の格好をさせ、賊を避けるため、朝や夜は休み、昼間に移動することにした。時に季節は真夏で炎天下に生辰綱を輸送する兵士たちは、疲労に勝てず黄泥岡という場所で勝手に休みを取りはじめた。

 そこに酒売りがやってきて、そばにいた棗売りの商人たちに酒を売り始めた。輸送隊の兵たちも次々に酒売りから酒を買って飲み、警戒していた楊志もつい一杯だけ酒を飲んだ。すると兵士たちは次々と目を回して倒れ、楊志も痺れて動けなくなってしまった。実は棗売りの商人たちは晁蓋ら七人、酒売りは白勝が扮装した姿で、巧みに酒に痺れ薬を混ぜて楊志らに飲ませたのだった。

あらすじ 第十七回

2010-10-22 | あらすじ 第十二回~第二十二回
 ■第十七回 花和尚 単にて二竜山を打ち  青面獣 双して宝珠寺を奪う

 生辰綱を奪われ任務に失敗した楊志は、自害を考えるが再起を図って逃亡する。楊志は旅先の居酒屋で出会った好漢、操刀鬼の曹正に青州の二竜山の賊に仲間入りすることを勧められる。

 二竜山へ向かう途中、楊志は肥った和尚と出くわす。和尚は東京を追われて逃亡中の魯智深であった。魯智深も二竜山に身を投じようとしたが、賊の首領・竜に追い返されたところであった。楊志と魯智深は曹正に知恵を借り、破戒坊主を取り押さえた民一行のふりをして竜に近づき、これを殺して二竜山を奪って山賊となった。

 さて生辰綱を奪われた梁中書と東京の蔡太師は、済州府尹(長官)を督促して急ぎ犯人を捕まえるよう命令を下した。済州府尹は緝捕使臣(捕り手役人)の何濤を急き立てて、上手くいかなければ流刑に処すと脅しをかけた。何の手がかりもなく処罰を恐れて日々鬱々とする何濤の元に、博打打ちの弟・何清がやって来た。何清は生辰綱強奪の犯人の情報を握っていると言った。

あらすじ 第十八回

2010-10-22 | あらすじ 第十二回~第二十二回
 ■第十八回 美髯公 智もて挿翅虎を穏め  宋公明 私かに晁天王を放つ

 何清は生辰綱強奪に安楽村の白勝が関わっていることと首魁が晁蓋であることを掴んでいた。済州府尹の命を受けた何濤は直ちに安楽村に向かって白勝を逮捕してきた。拷問を受けた白勝は、ついに晁蓋が首謀者であると白状した。

 何濤は府尹の書信を携えて東渓村のある鄆城県へと向かい、当直の押司・及時雨または呼保義の宋江と出会った。宋江は財を疎んじ義を重んじ広く名を知られる好漢である。何濤から話を聞いた宋江は、何濤を知県に取り次ぐと言って休ませておいて独り東渓村へと馬を走らせた。宋江は晁蓋とは兄弟のような付き合いで、捕り手が来る前に急いで逃げるように晁蓋に伝えた。

 宋江は鄆城県に戻ると何事もなかったように何濤を知県へ取り次いだ。書信を読んだ知県・時文彬は、朱仝と雷横の二人の都頭を捕り手として東渓村に遣わした。朱仝と雷横もまた晁蓋とは親しく付き合う身。朱仝は晁蓋を逮捕しようとするふりをして晁蓋を逃がし、雷横もそれを咎めなかった。

あらすじ 第十九回

2010-10-22 | あらすじ 第十二回~第二十二回
 ■第十九回 林冲 水寨に大いに火を併ち  晁蓋 梁山に小しく泊を奪う

 東渓村を逃げ出した晁蓋・呉用・公孫勝・劉唐は、ひとまず石碣村の阮氏三兄弟の元に逃れ、梁山泊に身を投じることを相談した。すると早くも何濤が捕り手の兵五百人を率いて石碣村にやって来た。晁蓋らは石碣村の湖で捕り手たちを待ち受けた。阮氏三兄弟の活躍で何濤を生け捕り、公孫勝が道術で風を起こし火を放ち、役人たちの船を全て焼き払った。何濤は命は助けられたが、耳を削ぎ落とされて逃げ帰っていった。

 晁蓋らは、梁山泊へと向かい首領の王倫らに面会した。王倫は礼をつくして迎えたが、仲間入りの話になると上の空で、その日は晁蓋らを宿舎で休ませた。その夜、頭領の林冲が晁蓋らのもとを訪れた。林冲は首領の王倫が狭量で嫉み深く、晁蓋らの力を恐れて仲間入りを断ろうとしている事を打ち明け、呉用もそれを見抜いていた。

 翌日、山寨の南で宴会が執り行われ、宴席中、やはり王倫は銀子を渡して晁蓋らを帰らせようとした。これを聞いた林冲は怒り、刀を抜いて王倫を刺し殺してしまった。