聖マリアンナ医科大学病院臨床研修Blog

聖マリアンナ医科大学病院に勤める研修医たちの日々の情報をリアルにお届けいたします。

指導医徒然日記 ~コンピテンシーを高める努力~

2009-07-29 07:52:06 | 指導医日記
患者さんからみた望ましい医療者としての医師像は何だろ
診療技術が優れていることは当たり前
でもこれはかんじゃさんからどのように表現したらいいかわからない
おそらくもっとも顕著に異口同音に唱えるのが
医師のマナーや態度
患者と医師との関係
そして問診や病状説明時などの医療面接でしょう

実はこの領域はどのように成長していくものか
説明するとなると難しいのです

医療人として必要な基本的姿勢や態度

よく臨床指導医WSでね
基本的診療能力とは?とか
最近では聖マリアンナ医科大学における臨床研修において必要なことは?
というK-J法による解析では
この領域の項目はどのグループにも出てくるのです
もちろん
面白い事に研修医1年目でも同じように出てくる
人として・・・・・

ではこの態度やマナーといったものはどのように身に付けるのか?
人として身に付けているべきでしょ?
それを言ったらそこで終わってしまう
面接試験でそれを見抜け!ってことでしょうか?
なら簡単

医学生のときのBSLや学園生活内での観察記録をもって採用とします

これでいかが?
実はこの分野『マナーや態度』を養成するための手法としては
良く言われるのが接遇に関する講義や演習
さらには模擬患者参加型の医療面接演習などです
が・・・・しかし
これらはある限られた条件の中でのこと
絶対に学習者である医学生や研修医さらには指導医レベルでも
どうせ模擬患者だしって安心感から
その瞬間だけの能力を発揮する

だから役立たない
実際には何よりも臨床現場における

ロールモデルとしての先輩医師・指導医の態度が研修医の態度形成に大きな役割を果たすのです

これによって指導医も常に見られていることを意識して
この態度領域を自ら日々鍛練していけるのです

ちょっと難しい話しをすると
医学教育においてはね
この態度の領域を『情意領域』と呼びます
この評価項目は「・・・できる」ではなく「・・・する」と表現するのです
つまり
どんなに「する能力」を持っていても実際に臨床現場で行わなければ意味がないから
だから「・・・できる」ではなく「・・・する」

『せんせ~!おれやれば出来るンスよ!』
そう!やればね!
だからやって!やって見せて!

実際に行動している場合に認められるのは事実でしょ?

診療技術も然り
いくら『知識』があると言っても
それを解釈して解決して
見よう見まねから自分で工夫して手技を行うこと
それを実践してこそ人から評価されるのではないですかね

『あの先生凄いよね~』

医師は五者
『学者・教育者・易者・芸者・役者』
芸術的分野に近い匠の技ってヤツもあるのが医師の世界
だからこそ高い行動力が求められるのですヨ

どう行動するか?どう行動しているか?って観ることで評価しよう!
それが流行の『コンピテンシー評価』
コンピテンシーとは「高い業績をあげるための能力・行動」
その評価は「具体的な事実に基づいて」行われる
「スキル」に近いものと考えるとわかりやすいとという解説もあります

ある意味
『ポートフォリオ』を使った評価もこれ
実際に与えられた課題をこなしているかをみているものなのです

臨床指導医ガイドラインにはこのような記載もあります

医療者として高い業績(パフォーマンス)をあげうるような望ましい行動を
研修医・指導医が明示するということは
企業にあてはめてみればその臨床研修病院として「期待される人間像・医師像」を提示することである

日頃の評価はいかになされるか?
ふさわしい態度・チーム医療は?

医療チームの一員としての自覚を持ち
医師としてまた一人の社会人として他の人と良好な人間関係を保ち
最善の医療を患者に提供する能力を身に付ける
これが目標だとすると

患者・家族・同僚に対して以下のような態度を取ることが望ましい
①礼儀正しい挨拶をする
②対等に接する
③丁寧な言葉遣いをし、適切に敬語を使う
④身だしなみが清潔で、きちんとしている
⑤約束や時間を守る
⑥相手の訴えや話をよく聞く
⑦相手のプライバシーや人権を守る
⑧相手の都合に配慮する
⑨相手の希望や個性を尊重する
⑩相手の価値観を尊重する
⑪患者の訴えや、医療者からの指導や助言を謙虚に聞く
⑫職種を問わず、進んでアドバイスを求める
⑬後進研修医に適切な助言を行う
⑭他の医療従事者と必要な情報を交換し、チームの一員として対等に協議する
⑮関係機関や諸団体の担当者と必要な情報を交換し、協議を行う

さ~てどうですか?
できていますか?

実は患者満足度調査では身なりの影響は少ないとされています
でもいざ患者-医師関係に問題が生じたときに
一番言われるのが医師の身なり・態度なんです

具体的になっていないとわかりにくいのもこの領域
そこで
指導医ガイドラインにある身なりについて転記すると
「だらしない」の内容
白衣・・・汚れている、ボタンを掛けない
化粧・・・常識的な範囲以上の華美さ、けばけばしい口紅・アイシャドー
爪・・・・汚い、伸びている、マニュキアをしている
頭髪・・・ぼさぼさ、著しい着色
ひげ・・・汚いひげ、伸びている鼻毛
香水・・・著しく香りの強いもの
装身具・・・けばけばしいもの、結婚・婚約指輪以外の指輪
服装(白衣の下の着衣)色彩・・・原色のもの、不快感を与えるイラスト

だそうです

実際の臨床現場で評価法として取り入れるのはまだまだ課題があります

でもきっとこれを読んだ医学生諸君には逆にす~と入ってくるものがあるでしょう

こういう医者になりたいけど
教わるものなのか?って思っていた医学生諸君
簡単です
それを実践している臨床指導医のいる病院で研修しなさい

少なくとも
身近にそんな病院があることを自分の目で確かめましょう



ちなみに身近にいる研修医には一人もサンダル履きはいません!気付いてましたか?


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