さらさらきらきら

薩摩半島南端、指宿の自然と生活

尖閣問題の国際司法裁判所付託

2012-09-22 15:34:07 | 世の中のこと

山川港、錦江湾そして大隅半島の山々(本文とは関係ありません)。

尖閣諸島問題に対する先日の中国の反日デモ、というより暴動のすさまじさはほとんどの日本人にとって想像外の出来事だっただろう。そしてそれは領土問題がどうとか過去の歴史とかの話でなく、もっと根本的に中国とはここまで卑劣で低劣だということへの驚きだったと思う。見境もない破壊活動、略奪品を誇らしげに見せ付けている姿、それらの映像を平然と全世界に発信している。そうしたことを取り締まろうともしないで、政府要人が当然だと公式に発言している。中国では満州事変勃発の日を「国辱の日」としているそうだが、そんな過去のことよりこの今現在の方がはるかに「国辱」であると判らないのであろうか。

それでも今回は日本側が騒動の口実を与えてしまったことを悔やむ人も多かったと思う。私も少し前、尖閣は何もしないで放って置くべきだと竹島問題との対比で書いたことがあるが、なぜ今、国有化などしなければならないのか不思議だった。ともかく石原慎太郎なぞの国粋主義者に扇動されると碌なことにならないのは前大戦での教訓でもあったのに、また同じ過ちを繰り返してしまったようだ。

それにしても国有化の話が進む中で、政府や議員、識者などの間にほとんど反対意見が見られなかったことが不思議だ。誰もあんな騒ぎになるとは夢にも思っていなかったということのようで、この国の為政者や専門家の底の浅さにあきれてしまう。事後になって民主党政権の対中パイプの乏しさを非難する声があった。しかし民主党の一部はもともと中国やソ連の茶坊主のようだった旧社会党の残党なのだ。それなのになぜパイプがないのか。これは共産党や社民党も同じで、日本の左翼政党が単に口先だけでしかないことの証明なのだろう。彼らは憲法九条擁護、戦争反対など言っているのなら、国会議員として自ら中国に赴いて話し合いをして、少しは懸け橋になってやろうという気はないのか。選挙で選ばれ税金から多額のお金をもらっているのだからそれくらいして当然のはずだ。

それより外務省はどうしたのだろう。そもそもこういうことのための専門家集団のはずだ。国が危ない橋を渡ろうとするのを何で食い止めようとしなかったのか。こんなことになるとは予測できなかったか。それならその職務に比して著しく無能ということになる。それとも判っていたのに黙っていたのか。それなら職務怠慢か職務規定違反だ。彼らには首相や外相に進言し、必要なら体を張ってまで間違った決定を阻止する責任があるはずだ。いずれにせよこれでは彼らを税金で養っている意味はない。関係者は徹底的に処分されるべきだ。

さて本題に戻って、それにしてもなぜ急に中国各地でいっせいに暴動が起きたのか。それについては後になっていろいろ専門家が解説している。そこまで判っていながらなぜ事前に警告を発しなかったか不思議だが、まあ彼らも結局事後でなければ判らなかったようで政府の失態を非難する権利はなさそうだ。ともかく中国政府の仕掛けたことであるというのは間違いないようだ。自然発生的なものなら徐々に燃え広がってしばらくくすぶり続けるだろう。あっという間に燃え上がってすぐに沈静化したというのは当局による操作のあったことを実証している。また破壊や略奪というのは、まず誰かがやるのを見ないと普通の人はなかなか自分からはやり出さないものだ。その口火を切ったのは私服警官のような連中だったという現場報告がいくつもある。従って中国の警察はたぶん泥棒の摘発はしないだろう。

ではなぜ中国政府はこんなことを仕出かしたのか。日本政府への報復だとか共産党内部の権力闘争のとばっちりだとか諸説あり、どれも可能性がありそうだ。たぶんそうした要因がいくつも絡まっているのだと思う。そんな中で一番重要なのは、これは威嚇であり実質的に日本に対する宣戦布告であるということだ。中国はこれから尖閣諸島奪回に繰り出す。それを日本の海上保安庁や自衛隊が妨害したら反日デモはこんな程度では済まされない。中国国内には多大な日本の資産や大勢の日本人がいる。その安全が保証できないということはこれでよく判っただろう。つまり我々は人質を取られているということを思い知らされたわけだ。もちろん日本国内にも中国資産や中国人も大勢いる。しかし日本のような文明国では絶対にそれらに危害が及ぶことのないのを承知の上だから始末が悪い。

さて我々はどうしたらいいか。まともに話し合いなどできる相手でないことはよく判った。米国に頼りたいのだが、彼らもこんなことに関わりたくないとはっきり言っている。これはもう国際世論の中で、国連の場で自力で闘うしかない。幸い中国も国連に「尖閣諸島周辺海域は中国の領海」とする海図を提出したりしたそうだ。ここで一気に、では国際司法裁判所で決着を付けようと日本から提案するべきだ。もし中国がそれを断れば国際世論は中国に疑いの目を向けるだろう。領土は、それを奪回するのも死守するのも武力を使ってはならないと国連憲章に規定されており、その平和的解決のために国際司法裁判所が用意されているのだ。中国はいろいろ強弁を張るだろうが、超大国の手前、逃げ切れない可能性は少なからずある。そして国際司法裁判所付託になって、そしてもし中国が負けたら、彼らはそれに従おうとはしないだろうが、しかしそれでは国際世論が許さない。いろいろ紆余曲折はあってもいずれはまともな姿になっていくことだろう。

日本は政府をはじめ関係者全員いつも「尖閣諸島は我が国固有の領土であり、領土問題は存在しない」など決まり文句を並べているだけだ。しかしこれは韓国が竹島について言っているのと同じで、傍から見ると滑稽ですらある。実際にもめているのだから問題がないというのは詭弁でしかない。それなのになぜ言い張るのか、どうも「今までないと言っていて今さら問題があると認めたら負けだ、面子にかかわる、何で譲歩などする必要があるのだ」といったことのようだ。これではまるで子供の喧嘩だ。そもそも戦法の一つとして、一歩退いて足場を有利にして反撃するというのも古来からの常識だろう。いやそれより我々はもし自分の家にならず者が入り込んできてこれは自分のものだと言い出したらどうするか。警察や裁判所に訴えるだろう。たったそれだけのことではないか。それともならず者が怖すぎて訴えることもできないというのであろうか。

中国は国際世論を味方に付けようと広報宣伝に力を入れているそうだ。宣伝というのは基本的に物量の勝負だ。選挙で、すばらしい演説を1回するより名前を100回連呼した方が票になるのは政治家たちならよく知っているはずだ。宣伝合戦においては臆面もなく嘘を並べる十数億人の中国に、正しいことを言えばいつかは判ってもらえると信じている奥ゆかしい日本人が勝てる訳がない。日本が勝つとしたら、ただ国際司法裁判所のような権威の重さに頼るしかないだろう。中国は日本が空念仏を唱えるばかりで使えるものを使おうともしないので、内心ほっとするとともにあざ笑っているのではないか。

ところで、デモをしている大群の中国人に、ではその問題の島はどこにあるのかと聞いたら知っている人は少ないだろう。さらになぜ自国領と言えるか、その根拠を尋ねたらまず答えられる人はいないはずだ。これは竹島についての韓国人も同様だ。彼らは教えられたことをただ盲目的に信じ込んで、何の疑いも持たずに大声で叫んで暴れまわっている。自分がいかに愚か者であるか自ら吹聴しているようなもので滑稽ですらある。

しかしこれは我々日本人も大差はない。我々もまた尖閣も竹島も日本固有の領土だと信じ込んでいるが、それは幼い時からそう教え込まれただけだ。一般国民は国際法などほとんど知らないし歴史に詳しいわけでもない。そもそもこんな国境の無人島の帰属に絶対などありえなく、双方にそれなりの言い分があって当然なのだ。それでも専門家の説明を聞くと、なるほど日本領土であるのが正当のようだとは思われる。しかしそもそも学者とか専門家なぞ意外に無知であったりするのだ。また優秀であっても平気で嘘を付くし、あるいは都合の良いことだけ話してそうでないことは隠して、結果として人を欺くことがよくあるのだ。だいたい弁護士という職業なぞこの技術で飯を食っているようなものだ。

我々も自国の専門家の話だけ聞いて納得しているのでなく、謙虚に、幅広く全世界の専門家の話を聞こうではないか。国際司法裁判所という公の場で議論してもらって、その結論に従おうではないか。たぶん圧倒的に日本が有利だとは思うが、もし万一、領土を失うことになってもそれはもう仕方がない。それでものどに刺さった骨が取れて、中国との良好な関係を築く新しい出発点になるだろう。そもそも世の中には絶対の真実などありえないのだ。たとえあったとしてもそれは後で振り返ってしか判らず、その時点ではどれが真実なのか見極めることなどできないのだ。だからこの世から暴力も戦争も絶えない。それでも人類は生き延びていくために知恵を絞って、たとえ不完全不十分ではあっても一応法律というものを作り、それに基づいて議論して決めていく、その結果については不満ではあっても従うというやり方を編み出してきたのだ。