さらさらきらきら

薩摩半島南端、指宿の自然と生活

総選挙という世迷い言

2012-01-31 11:29:20 | 世の中のこと

御領ヶ池の落日(本文とは関係ありません)。

政治の話などもううんざりしているのだが、国会では解散総選挙の大合唱のようだ。これは困った、いくら何も期待できないからといって選挙になったら棄権はしたくない。しかしだからといって、どこにも投票したい政党や候補者がいないのだ。それより今の日本にそんなことをやっている暇があるのかと言いたい。昨年の大災害の始末はとても付いたどころではないし、さらなる多くの危機がこの国に迫りつつあるのだ。なんだか沈没しかけた豪華客船の上で、船長や乗務員は乗客の救助などそっちのけで、あれが悪いこれが悪い、お前では駄目だ今度は俺が船長だなど言い争いをしているだけみたいだ。

民主党などどうしようもないというのはほとんどの国民の共通認識だろう。しかし対する自民党はどうか。あれだけ総選挙を叫んでいるのだから、自分たちが天下を取ったらこの国をこんなに素晴らしくしてみせるというのでなければおかしい。しかしそれが何も見えないのだ。それどころか具体的な政策でも現政権と何が違うのかよく判らない。そもそも選挙というのはかなりのお金のかかるもので、また政治空白期間も大変なものだ。それだけの犠牲を強いるのだからそれを上回る効果を国民にもたらすのでなければやる意味がない。しかし自民党は国民にどんなに良いことをするつもりなのか何も説明していない。それで選挙選挙と騒いでいるのだから、それは国や国民のためでなく自分のためであり、党利党略しか考えていないのは明白だ。

民主党政権は増税すると言っている。しかしそれは自民党でも同じだろう。国民も多くは、国の沈没を避けるためには嫌でも増税は受け入れなければならないくらいの意識は持っている。ただその前にたくさんの穴をふさいで水漏れを止めてくれなければと思っている。そして今の民主党政権も公務員給与の削減や様々な行政改革など、曲がりなりにもそれらに取り組もうとしている。これらについて自民党も大筋では全く同じだろう。そして日本の現状からすれば、これらは喫緊の課題なのだ。あーだこーだ言っている暇はなく、たとえ不十分でもやれることからさっさとやっていかなければならない。どうせ世の中、誰もが満足する施策などありえないし将来のことなど誰にも見えないのだから。

国民のことを考えたら、自民党は基本は同じなのだから、民主党の至らぬところを補って少しでも良い施策になるよう現政権に協力するべきだろう。それでは手柄を持っていかれるという向きもあるようだが、そんなさもしい根性ではもともと国政に与る資格はない。誰の功績が大きかったかなど国民は見ている。そして官僚などの既成組織に挑むには政治家たちは一致団結しなければ端から勝ち目はないだろう。さらに大本をたどれば、そもそも国の膨大な借金も、無用に肥大した行政組織も、何より悲惨な結果をもたらした原子力政策もすべて歴代の自民党政権が作り上げてきたものだ。自民党はそれを国民に謝罪しただろうか。彼らはすべてに頬被りを決め込んでいるようだが、そんな良識も道徳のかけらもない連中が政権に復帰して世の中良くなるはずがあろうか。曲がりなりにも後始末に追われる現政権に協力するのは国民に対するせめてもの罪滅ぼしであろう。

民主党はマニフェスト違反だと批判されている。しかし前回の選挙は、あの大震災も原発事故も思いもよらなかった時のことだ。その後に続く豪雨災害やユーロ危機、記録的円高など、もう時代はすっかり変ったのだ。政治も速やかにそれに対応しなければならない。このめまぐるしく移り変わる時代、過去の言葉を守れというのは何という教条主義か。民主党も堂々と昔の考えは稚拙だったと謝罪すればよいのだ。国民も、多くが人生観を根底から覆えされたくらいだから、仕方ないと受け止めてくれるはずだ。

共産党や社民党など万年野党に甘んじているなら勝手なことを言っていればよい。しかしいやしくも国政を担うつもりのある政党なら現実を見据えなければならない。その時、喫緊の課題に対する施策にそれほど大きな違いが出るとは思えない。それなのにそんなことで政治抗争して足を引っ張りあうなど、国民に対する裏切り行為としか言えない。政治論争はもっと大きな見地でやって欲しい。日本をどのような国にしたいか、国の仕組みをどのように設計しなおすか、そうしたビジョンをしっかり作り込んで具体的に示して欲しい。今の日本の苦境は国のあり方が根本的に間違っていたためであり、それを作り直していかなければ日本の将来などありえないのだから。

私はそもそも国会というのがおかしいと思っている。三権分立というが、司法も行政も要員はそれなりの教育を受け試験に合格した人たちだ。しかし議員には、司法試験にも公務員試験に落ちた人でもなれる。それどころか深い学識があったり清廉潔白であったりするより政治家の息子や口先だけの天性の詐欺師の方がなりやすいのだ。本来は最も高潔な人間性と専門能力が必要とされるはずの立法府がこういう人材で成り立っているのだ。いや現実には立法の実務を遂行しているのは行政府だ。ということは国家運営の効率化のためには行政と立法は一体化すべきだろう。そして議会の役目はそれを監視することであり、その程度の規模で十分だ。当然議院内閣制などありえず、首相は直接選挙で選ばれなければならない。また社会体制の基本はベーシック・インカムだと思っている。国民一人ひとりの幸福度を上げるには最高の仕組みだし、さらにこの大黒柱によって、肥大化しねじれもつれた国の仕組みをすっきりとさせることができる。

翻って、今我々に迫り来る危機というのはとんでもないものだ。少子高齢化、年金・社会保障制度の崩壊、産業の衰退、貿易赤字など盛んに言われている。さらにそれらよりもっと切迫しているのは、国債の暴落による国の破綻、大地震による首都圏の壊滅、大津波によるさらなる原発事故などだ。今やどれも想定外どころか、今起きていないのがたまたまの幸運としか言えないくらいなのだ。こんな状況でよくもまあ国を与る政治家たちが解散だ総選挙だなど浮かれていられるものだとあきれる。少しでも被害を減らすよう個々の具体的対策に一致協力して奔走していなければならないはずだ。それでもある日突然、こうした破滅に出会うことになるだろう。しかしその後、再びすみやかに立ち上がるために、次の時代の国の青写真を今からしっかり用意しておかなければならない。