さらさらきらきら

薩摩半島南端、指宿の自然と生活

ミル茶の作り方

2013-01-18 10:47:54 | 指宿暮らし

薩摩半島南端、一面に広がる頴娃の茶畑。生産量では日本一だそうだ。

もう2年ほど前、NHKの番組で緑茶の健康・長寿効果が紹介されブームになったことがある。こういうものは長く続けなければ意味はないのだが、今でも飲み続けている人はどのくらいいるのだろうか。私はそれ以前から緑茶を電動ミルサーで粉砕してがぶ飲みしてきていたので、その経験をブログで紹介したことがあった。それからもいろいろ試行錯誤を繰り返してきてだいぶやり方も変わったので、再度、最新の情報をご紹介したい。

緑茶を飲むには急須を用意したり茶殻を捨てたりとけっこう面倒なことがある。その点ミル茶(粉砕茶)は前もって作っておいた粉を溶かすだけだから手軽に飲める。また茶殻もすべて飲んでしまうので有効成分を無駄なく摂取できるし経済的でもある。しかし残念なことにおいしさでは我慢しなければならない。何より緑茶のあの馥郁とした香りは楽しめない。粉砕することで香り成分がずいぶん破壊されてしまうようで、また作り置きしておく間にもどんどん消えていってしまう。そもそも香りの良い上級なお茶ほど粉砕すると苦味・渋味が強く出勝ちでミル茶に適さないのだった。

しかしお茶好きの私としてはだんだん我慢ができなくなってきた。何とかしてもっとおいしいお茶を楽しみたい。それで道具を変えてみた。



購入したのは手動の粉末器、つまり手回しの小さな碾き臼だ。京セラのCM-45 GTという製品で価格は3000円未満。これだと電動で徹底的に粉砕したりしないためかかなり香り成分は残る。また小さなものなので机の上に置いておけるし、ハンドルをぐるぐる2~30回ほど回すだけだからたいした手間でもない。作り置きしないで毎回挽きたてのお茶を楽しむことにした。また粉砕の度が弱いためか渋すぎて飲めないということもなかった。まずこれでかなり満足できた。

それでも急須で入れた時のようなまろやかな味は望むべくもない。茶葉によっては香りは良いのだが味が強すぎてとても何杯も飲めないということもよくあった。そこで考えたのはどうせ粉にするのだから味の良いお茶をブレンドすればよいということだった。甘味・旨味が強く渋味のないお茶としたら茎茶がある。よく白折という名で売られているが、味は良いが香りは弱く、大量の茶葉に熱すぎるほどのお湯で出さなければならずあまり人気のないものだ。しかしこうした欠点はミル茶では問題にならない。

さっそく試してみたが全く挽けなかった。茎の部分が臼の溝にはまって詰まってしまうのだった。そこで以前から使っている電動ミルサーで前処理することを思い付いた。もともと香りは弱いのだから強く粉砕して構わない。そうして作った茎茶の粉と、香りの良い煎茶を一緒に手動の粉末器に入れて挽いてみた。結果、味も香りも格段に良いものになった。そしてもう一年以上このやり方でお茶を楽しんでいる。なお使っている電動ミルサーはイワタニ ミルサー IFM-800DGという製品で6000円ちょっとしたが、どうせ前処理用だからもっと格安品でも十分だろう。

毎朝、粉末器のハンドルを取って上の蓋をぱかんと開けて容量の半分ほど煎茶を入れる。それと同じくらいの茎茶を電動ミルサーに軽く10秒ほどかけて、その粉を煎茶の上に足し入れる。軽くとんとんするくらいでかき混ぜる必要はない。碾き臼が回ることで自然に混ぜられるようだ。飲みたい時にハンドルを数十回まわせば湯呑み一杯分用のミル茶が下に溜まる。透明部分を回して外し、湯呑みにぱっと入れてお湯を注いでかき回せば出来上がり。我が家の飲み量だとだいたい一日一回茶葉を補給するだけで済む。

煎茶の香りは製品によって差が激しく、まず家庭用とか徳用だとかいうものは論外だ。それにもともと茶殻を捨てないわけで使用量は急須で飲むより格段に少なくて済むから少々高価でも構わないだろう。といっても100gで1000円以上のものなら、当たり外れはあるがまず合格だった。なお深蒸茶は茶葉が細かいので挽きやすいが、深蒸することで香りは弱くなっているのでこの目的にはあまり適さない。茎茶はずいぶん格安品があるが味はともかく悪い香りが出たりして台無しになってしまう。これも100gで400円くらいのものならたいてい大丈夫だった。というよりそれが普通に売られているものの中では最上級品なのだが。私が愛飲しているのは「深むし茶白折」(お茶の小野園 福岡市)という100g498円の製品だがこれはお勧めできる。

ところでこのやり方の欠点は茶葉が十分に細かくならないことだ。電動器械だとそれなりに時間をかければいくらでも細かくなるが、手動の碾き臼で一回挽いただけでは、粗さ加減を最も細かく設定しても見ただけで粉になりきっていないことが判る。これは看板に偽りがあるということだが、ともかく湯呑みを回しながら飲んでも底に沈殿物が残ってしまう。たぶん数回挽き直せば良いのだろうがそんな手間をかけるのも面倒だ。まあ残りは洗い流してしまっている。

さて健康効果はあっただろうか。私も60台の後半に入って正真正銘の高齢者だ。髪はがっかりするほど後退し、ひげもほとんど白くなった。こういうことには全く効かないということだ。しかし肌の張りはそれほど衰えず、顔に皺やシミなどあまりない。何より当地に引っ越してきてから一年半、まだ一度も医者にかかったことはない。風邪薬を飲むとか、運動機能の衰えによる怪我といったこともない。国民健康保険と介護保険で昨年は50万円以上も徴収されたが、いったいこうしたお金はどこに消えるのだろうと不審に思うくらいだ。緑茶の効能として全身的に免疫力を強化するといわれているが、それは間違いないという気がする。何しろ他にサプリメントを摂るとか食事に特別気をつけるなど一切していないのだ。

しばらく前、顔の小さなほくろの一つが急に大きくふくらんできたことがあった。そのうち赤くなりぐじゅぐじゅしてきて少し血が出るようになった。これはいわゆる悪性腫瘍というものかと思ったが、何もしないで放っておいたら数日もすると血が止まりだんだん乾いてきた。そのうちどんどん小さくなっていって、ある日ぽろっと取れて小さなへこみだけが残った。たぶん体の免疫機能が異物を排除してくれたのだろう。きっとこういうことは体の中でもあちこちで起こっているのだと思う。ガン検診でポリープが見つかるとかいうのはこういうものなのではないか。こんなものを早期発見早期切除などしていたら、確かに医療費が増大するのも無理はない。しかし体が丈夫なら、放っておけば自然の免疫力が排除してくれるのだ。そのうちもっと年を取ると免疫力も衰え異物が威勢を振るうようになるのだろう。そうしたらもう寿命ということだから手術だ何だと騒がず、自然に任せあるがままにしていればよいではないか。前途ある若者ならともかく、この年になって病院のベッドでただ寿命を延ばすだけの毎日がいくら続いても仕方ないだろう。私は今までに一度も役場から来る検診案内などに行ったことがない。