文字どおりの青い海と青い空が水平線の彼方まで広がり、果てない青のアンサンブルの中で航跡が過ぎ去る時の流れを示しています。
果てのない青が、果てのない悠久の時を見ているような錯覚をもたらします。
船が太平洋を渡って来たと言われれば、そうかもしれないと頷きそうな真昼の夢の中で、青い光に染めらながら、心の底から開放されてゆくのを感じていました。
「ベガ」は順調に航行を続け、陽は傾きを増してきました。
水平線の彼方にうっすらと見えるのは日本です。 ぁ!ちょっと大げさ。
多分、下北半島の一部と思われます。
位置からすると尻屋崎辺りかもしれません。
私は相変わらずデッキの上で、カメラ片手に映像探しを楽しんでいました。
例えば、同じ航跡でも、海面の比率を大きく撮ると、まるで青い丘から滑り降りて来たように感じられます。
デッキの格子の影がボレロのリズムを奏でていました。
影を目で追えば、「タン、タタタ、タン、タン、タン、タン」と響くメロディーが耳の奥で聞こえてきます。
光が強い時には気づかなかった、船室の大きなガラス窓に被写体を見付けました。
船の横に生じる白い波紋も、手摺と一緒に写しこむと、私の好きなサム・フランシスの抽象画に負けない(!?)画像が得られます。(彼の絵のタッチとは似ていませんが)
出発時から気になっていた、あのデッキに備え付けられたライトが、陽も暮れる前に点灯しました。
(だまし絵です。西に傾いた太陽の位置がピッタリ)
やがて海と空は神秘的な銀の世界に変わり始めます。
そして渡島半島を左舷に望む頃に、空が染まり始めました。
夕日の放つ光が、東の空を茜色に染めて、今静かに夜の静寂(しじま)の時を迎えようとしています。
おや、デッキで誰かが夕陽を見送りながら佇んでいます。
足短いな~。
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