「なでくりゃなおる」とは、「適所という科学性」裏付けされたもの(筆者追記)
ツボ、灸処「イトテルミーの原著紹介」(長嶋 光 著)p31
お灸では灸処と云いますか、ツボを知ることは必須の要件でありましょう。それではイトオテルミーには、お灸のこのツボに相当するもものがあるのでしょうか。若しありととすれば、吾々素人にはその修業が大変なことになります。
結論から先に申しましょう。ツボは知っていても良し知らなくても良しと云うことになると思います。要義本31頁「灸処、灸のツボ、ヘット氏帯、知覚過敏帯」の項に「一般の灸処に由る。採用するも良く、せざるも各人の自由とし、便宜取捨すべし。」とあり、又同72頁には、五官器、皮膚には全皮(肌)或いは粘膜に適所が到る所に存在する。故に必要に応じ必要性の適所に冷温器を当て、説明の点薩摩擦をなし効果を十分に発起せしむることである。―・・・―要するに故実の灸所などという数数を知ることの七面倒から脱却し、簡単に適所という科学性を十分に含蓄した発明の文字で、処理が出来ますようになったのでありますとされ、更に原著「等火熱(温)刺激の孔穴」の冒頭に、「孔穴は人体の到る処にあり。温針灸療器の一点に一致する。各所に於て随意に摩擦又は点灸様式の圧を擦する時、其の目的に適合するものなり」と明記されいるからであります。
灸処の中には、現代の医学上から見て、間違っているものもあると云われています。灸処も研究されたい篤志家は別として、テルミー一筋に進まんとする方は、安んじて「人体到る処にある孔穴」を対象としていいのではないでしょうか。それに生理、解剖学の基礎的な心得があれば、あれこれ迷わずとも、効果は十分期待できましょう。
大先生(金逸博士)は原著の中で、「なでくりゃなおる」ということを云っておられます。之迄の研究により、万病が栄養熱の低下したものであり、イトオテルミーの等火熱が直ちにこの失われた熱の補給するものとすれば知れば、病気の消退は当然のことであり、又病名の区別の必要もなくどの病気にもあてはまることとなるのは、自明の理でありましょう。なでくりゃなおることになります。