真実を求めて Go Go

今まで、宇宙についての話題を中心に展開してきましたが、今後は科学全般及び精神世界や歴史についても書き込んでいきます。

宇宙創成のイメージ

2013年03月16日 | 宇宙

 最初に下の「宇宙創成図」をご覧いただきましょう。



 円錐形に描かれた図は、私たちの住む宇宙の始まりから現在までのシナリオ図です。

 円錐の各断面には、その時々による宇宙の姿が描かれています。
宇宙は3次元ですが、それを面という2次元の世界に閉じこめているわけです。
全体が円錐形なのは、私たちの宇宙は膨張することによってこんなに大きくなったので、過去へ過去へとさかのぼることはより小さかった(円錐形の断面の小さな)宇宙を見ることになるからです。
一番てっぺんの断面の大きな宇宙は、銀河と恒星によってできた現在の宇宙です。
観測と理論計算によって、宇宙が生まれてから現在まで、およそ137億年たつことが知られています。
宇宙の年齢は137億歳というわけです。
ここから、円錐の切断面を徐々に下がることは、この宇宙年齢をさかのぼることになります。

 その下のほうに「宇宙の晴れ上がり」と書かれた断面があります。
時間はかなり大きくスキップしますが、宇宙年齢はこの時点で4万9000年、大きさは現在の天体宇宙の1000分の1といわれます。
なぜ「晴れ上がり」かというと、ここから先は、光がまっすぐ進めなかったため、肉眼で -- つまり可視光では -- 見えないからです。
要するにここから先の宇宙は、肉眼では見えず、現代の素粒子物理学の理論計算によって見ることが可能になった世界だと理解してください。

 その次の断面は宇宙年齢にして3分、ここで水素やヘリウムなどの軽い元素が合成されます。
ここから先は、わずか3分のあいだに起こった宇宙創成の数々のドラマなのです。
 大ざっばにいうと、元素合成の前は、陽子・中性子の誕生、その前は陽子・中性子を構成するクオークがばらばらだった状態、そしてクオークやレプトンに質量を与える「ヒッグス場」と呼ばれる場が発生したとき、さらにさかのぼると、高温のビッグバン宇宙にたどり着きます。
おおよそこのあたりまでは、現代物理学の成果として確実にいえることになっています。
そしてここから先は、理論によって異なってくるのですが、インフレーション的急膨張の直後、図では「1メートル宇宙」としたところで、物質(粒子)がはじめて誕生した「ビッグバン」とされます。

 さて、では物質が誕生する前は、何があったのでしょうか?

 それは、「宇宙の初めには、何もなかった」ということです。
何もなかったとは要するに「真空」だったことを意味します。
しかし、量子力学でいうところの真空とは、実在的には何もないが、エネルギーはあり仮想的な粒子が詰まっていると考えています。
「1メートル宇宙」の下に、さらに「プランクの長さ」のとても小さな宇宙が描かれています。
すなわち、それが、点粒子ではなく「超ひも」が存在する超ひも理論の世界なのです。

 超ひも理論が完成すると何がわかるのでしょうか?

 いくつかありますが、まず物理学者の長年の悲願だった「重力問題」が解けます。
重力といえば、ニュートンの有名な万有引力やアインシュタインの一般相対性理論がありますが、これらの法則が通用するのは、質量のあるものどうしが比較的長距離に離れている場合に限られていました。
ものどうしが非常に近距離に接近すると、ニュートンやアィンシュタインの力学は通じなくなり、量子力学によっても、うまく記述することができないという問題が起きました。
 この重力問題は、20世紀の量子力学の専門家をもたいへん悩ませました。
自然界にある「4つの力」の根源をさかのぼり、4つの力が実はもともと1つの力だったという「力の統一理論」を理解するうえで、重力問題が大きな壁として立ちはだかったのです。
自然界には大きく分けて、「重力」、「電磁力」、「弱い力」の相互作用、そして「強い力」の相互作用の4つの力があると考えられています。
重力はエネルギーをもつものすべてのあいだに働く力、電磁力は電荷のあるものどうしに働く力、弱い力は中性子のベータ崩壊現象などで知られる力、強い力はクォーク間に働く力です。
 20世紀の量子力学では、これら4つの力を統一されたもの -- もともとは同じものだったのが宇宙の成長のどこかで枝分かれした -- として理解しようという試みがなされてきました。
まず「電磁力」と「弱い力」が「電弱理論」として統一されます。
その後、「強い力」も「量子色力学」という理論によって電弱理論と同様に理解できることがわかりました。
これを「標準模型」といい、すでに実験(ヒッグス粒子の発見も有りました)によって正しさを裏付けられています。
さらにこの電弱理論と量子色力学を統一しようというのが「大統一理論」です。
これは実験的に検証されてはいませんが、理論としては4つの力のうち3つまでを統一的に理解できるようになりました。
ところが、残る重力だけは、どうしても標準模型のように記述することができなかったのです。

 超ひも理論は、この重力を他の3つの力と統一的に理解することができるのです。

 超ひも理論が解けると、宇宙の起源の謎も解ける可能性があります。
図を見てください(プランクの長さの宇宙の下のほうは、なにか泡かユニットで区切られたような空間があって、そのなかにひもが泳いでいるようなイメージです)。


図2:「プランクの長さ」から「1メートル宇宙」へ。

 プランクの長さ(1.616×10^-35メートル)より短い長さはこの世に存在しないわけですから、この図のプランクの長さの宇宙の下に描かれた図は、あくまで便宜的に描かれたものにすぎません。
そして、この「虚」の空間では、仮想的なひもが誕生しており、そのうちのlつが、なにかの拍子(量子論的なトンネル効果)に宇宙のタネとして、プランクの長さの宇宙に生まれたらしいことが、現在までの超ひも理論から予想されています。

 超ひも理論は、アインシュタイン方程式では解けなかったこの領域の謎を解き明かし、具体的な描像を示せる可能性があります。
また、この領域では時間については、図にも「実時間」・「虚時間」と書いてあるように、これまでとは質的に違った変化が考えられます。

今まで一般的に時間については、過去から現在、そして未来へと一様に滑らかに流れているものと思われていたのですが、図からは、時間が「虚時間」になるということが表されています。
このように「時間が虚になる」ということも、なかなか理解しづらいことと思います。



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