真実を求めて Go Go

今まで、宇宙についての話題を中心に展開してきましたが、今後は科学全般及び精神世界や歴史についても書き込んでいきます。

「タイムトレベル」その1

2015年01月31日 | 物理学

 2006年に、タイムマシンの特許が公開されました。

 タイムマシンの特許は、オクラホマのマービン・B・ Pohlman 博士によって合衆国特許商標局に出願されています。
特許の全文は下記からダウンロードできます。
http://www.google.com/patents?id=oH2bAAAAEBAJ&zoom=4&pg=PA1#v=onepage&q&f=false

 この特許の中の図面が、2000年11月にインターネット上で、2036年からやってきたと自称しているジョン・タイターが公開した、タイムマシン操作マニュアルの中にある図面と全く同じです。特許の中には、PDFファイルをご覧になるとわりますが、数式が書かれており特許というより物理の小冊子のような感じです。
 もしかすると、ジョン・タイターとは、マービン・B・ Pohlman 博士だったのではないでしょうか。


 それでは、タイムトラベルについてですが、タイムトラベルには、必ずこれに伴うタイムマシンという機械を考慮に入れる必要があります。タイムマシンは機械ですから、それを製造する技術も必要になってきます。
 ですから、このブログではタイムトラベルに関係する物理的な問題が中心となった記述になってしまいます。

 タイムトラベルにとって、最も大事な要素としては「時間」と「空間」の関係は必然です。そのため、どうしてもアインシュタインの相対論と最先端の宇宙論を中心に考えていかざる得ません。
 そこで、今回はブラックホール・ホワイトホール、そしてこの二つをつなぐ橋であるワームホールに関係する話、「アインシュタイン・ローゼン橋」から書き進んでいきます。

 1917年、アインシュタインは一般相対性理論の方程式を完成し、重力により時空がゆがめられることを説明しました。そして、その同じ年に、ドイツの天文学者カール・シュワルツシルトが、球対称で回転していない質量の周りの、ゆがんだ時空を記述するアインシュタイン方程式の解を発表したのです。

 シュワルツシルト半径より内側からは光でさえ飛び出すことができません。もし太陽と同じ質量の天体が収縮したと仮定するとシュワルツシルト半径は約3kmになります。このシュワルツシルト半径より更に凝縮した天体はブラックホールになってしまいます。

 アインシュタインは、もともと、ブラックホールは自然界に存在しないだろうと考えていました。しかし、そんな思いとは裏腹に、その後、ブラックホールがだれも考えつかないほど奇妙で、中心にワームホールが存在する可能性すらあることを明らかになってきました。

 数学者はこれを多重連結空間と呼ぶ。物理学者がワームホールと言うのは、地中の虫(ワーム)が地中を掘り進むようにして、二点間を結ぶ穴(ホール)を作るものだからです。このワームホールは、次元の入口と呼ばれることもあります。呼び名はどうあれ、これはいつの日か次元間旅行の究極の手段となるかもしれないのです。

 ワームホールを一般に示した最初の人物は、ルイス・キャロルというペンネームで本を書いたチャールズ・ドジソンです。『鏡の国のアリス』のなかで彼は、鏡という形でワームホールを持ち込んだのです。その鏡を介して、オックスフォードの田舎と不思議の国がつながっていたのでした。
 オックスフォード大学の数学講師だったドジソンは、多重連結空間のことをすでに知っていました。多重連結空間は、定義上、輪を縮めても一点にできないような空間のことです。通常は、どんな輪もたやすくつぶして点にできます。しかし、ドーナツのような形の空間を考えた場合(これが多重連結空間)、その表面にドーナツの穴を取り囲むように輪を置けるのですが、この輪を空間のなかでつぶしていっても点にはできません。穴の輪郭までしか縮められないのです。

 1935年、アインシュタインと教え子のネイサン・ローゼンが、ワームホールを物理学の世界に持ち込みました。

 アインシュタインとローゼンは、電子(一般に何の構造ももたない微小な点と考えられている)をブラックホールと見なす斬新なアイデアを思いついたのです。このようにすれば、一般相対性理論は、統一場理論における量子の世界の謎を説明するのに利用できるはずです。
 ふたりはまず、長い首をもつ大きな花瓶にも似た、一般的なブラックホールの解に注目しました。そして首(ブラックホールでは喉と呼ばれる)の部分を切り、別のブラックホールを逆さまにしてそれにつなげたのです。アインシュタインの見たところ、この奇妙だが滑らかにつながった形状によって、ブラックホールは中心に特異点がなくなり、電子のように振る舞う可能性がありました。

 電子をブラックホールと見なすというアインシュタインのアイデアは、失敗に終わりましたが、今でも、宇宙論者達は、アインシュタイン・ローゼン橋がふたつの宇宙をつなぐ通路になりうると考えています。宇宙を飛びまわっていて、たまたまブラックホールへ落ちてしまうと、一気に穴へ吸い込まれて(ホワイトホールから)向こう側へ出る可能性があるのです。

 アインシュタインにとって、自分の方程式の解が物理的に妥当な前提から出たものなら、物理的に存在可能な物体に対応するはずでした。しかし彼は、だれかがブラックホールに落ち込んで並行宇宙に出るということは考えもしなかったようです。
 ブラックホールの中心では潮汐力が無限大になるので、不幸にもそこへ落ちた人間は重力場で原子までばらばらになってしまうからです。
(アインシュタイン・ローゼン橋は一瞬だけ開くが、すぐに閉まるため、どんな物体もそこを抜けて向こう側に到達することはできない)。

 要するにアインシュタインは、ワームホールが存在するとしても、生きて通り抜け、それを報告できるような生物はいないとする態度をとっていたのです。

ホワイトホール2
アインシュタイン・ローゼン橋; ブラックホールの中心には、われわれの宇宙にある別の場所や、別の宇宙の場所と,時空をつないでいる「首」がある、静止したブラックホールを通ると命はないが、回転するブラックホールなら、リング状の特異点をもつので、そのリングを通ってアインシュタイン・ローゼン橋を抜けられるかもしれない。ただし、これはまだ推測の域を出ていない。

 光の速度は、発光体が止まっていても動いていても、観測者が止まっていても動いていても一定です。下左図は光円錐を示しています。XY軸が距離、Z軸が時間で、原点が現在の位置、時間を示しています。光の速度で進んだ場合に光円錐上を未来へ進んでいきます。光速を超えることはできないので、光円錐の外側に行くことはできません。つまり、光円錐の内側は、私たちが知ることができる世界を現しています。

 1949年、数理論理学者クルト・ゲーテルは、アインシュタイン方程式のひとつに更に奇妙な解を発見しました。彼は全宇宙が回転していると仮定すると、宇宙の中の人は糖蜜のような性質を持つ時空に引きずられることになります。このゲーデルの宇宙を一周すると、初めの場所に戻ってきた時に時間を遡っているのです(下右図参照)。

 ゲーデルの宇宙では理論上、宇宙の中で時間的・空間的にどの二点間であろうと移動できます。どんなに遠い過去の出来事も見に行けるのです。一方、ゲーデルの宇宙には内向きにつぶそうとする重力が働いているため、回転の遠心力はこの重力と釣り合っていないとまずいことになります。つまり、この宇宙はある程度以上のスピードで回転している必要があるのです。宇宙が大きければ大きいほど、つぶそうとする重力も大きくなるので、つぶれないように早く回転しなければなりません。

 下の右図を見てください。この図で、宇宙の重力と宇宙の自転による遠心力が釣り合う回転の半径を臨界値Rとすると、臨界値Rを超えたところでは、時空のねじれによって、未来の光円錐が近くにある過去の光円錐と交差しています。リングを一周すると、自分の過去の光円錐へ戻ってくることができます。このような閉じた時間の環をCTL(Closed Time Link)と呼びます。
ctl_1.jpg
図左;光円錐            図右;CTL

 われわれの宇宙に当てはめて計算すると、700億年で1周する速度で自転していなければならなりません。そのときの臨界半径はおよそ160億光年で、CTLの長さは約1000億光年となります。非常に長い距離になるのですが、光速に近い速度の宇宙船で旅行すれば、ウラシマ効果によって内部の人間にとっては1年程度で旅行することができます。しかし、光速に近い速度まで加速するためには、膨大なエネルギーが必要なため、現実的には不可能でしょう。

 もし、宇宙が自転しているとすると、ビッグバンの残留放射線(宇宙背景輻射)に非等方性が生じているはずです。しかし、観測された結果によると、残留放射線の等方性が高いことから、宇宙はほとんど自転していないと考えられています。したがって、この方法ではタイムトラベルすることはできません。

 アインシュタインは、プリンストン高等研究所の同僚である友人が見つけた解に、大いに困惑しました。彼の反応にそれがよく表れています。アインシュタインの反応は、ふたつの理由で関心をそそられたようです。
 第一に、彼が、一般相対性理論を打ち立てたときにタイムトラベルの可能性に悩まされたことを認めています。時間と空間はぐにゃぐにゃに曲げられるゴムのように扱えるので、時空の生地を十分に曲げるとタイムトラベルができてしまうのではないかと案じたのです。
 そして第二に、アインシュタインは、「物理学的な理由」--つまり、宇宙が回転しておらず、膨張しているという事実--をもとにゲーデルの解を排除しました。

 アインシュタインが亡くなったころには、彼の方程式が、タイムトラベルやワームホールといった、奇妙な現象を可能にしてしまうことは広く知られていました。しかし、自然界では実現できないと思われていたため、その可能性をまともに考慮する人はいなかったのです。
 そのような解は現実世界とは関係がなく、ブラックホールを通って並行宇宙へ行こうとしても死んでしまうはずです。宇宙は回転しておらず、無限に長い筒は作れないのでタイムトラベルはあくまでも理論上の問題だ、とだれもが考えていたのでした。

 ところが1963年、この見方に変化が生じます。ニュージーランドの数学者ロイ・カーが、アインシュタインの方程式に、最も現実味のありそうな星の死に方を表す厳密解を見つけたのです。
 それが、回転するブラックホールでした。角運動量保存則により、星は重力でつぶれるにしたがい、自転する速度を上げます(フィギュアスケートの選手が回転する時、腕を縮めると速く回るようになったりする)。

 自転する星は、つぶれると中性子のリングになり、強烈な外向きの遠心力が内向きの重力を打ち消すのでそのまま安定します。そうしたブラックホールは、驚くべき性質をもっています。
 このカー・ブラックホールに落ち込んでも、あなたはつぶれて死にはしないでしょう。アインシュタイン・ローゼン橋を通ってどこかの並行宇宙に出られそうなのです。
 「この魔法のリングを抜けると、あら不思議、君は半径も質量も負のまったく別の宇宙に出ているんだ!」
この解を見つけたとき、カーは同僚に大声でそう言ったそうです。

 つまり、アリスが通り抜けた鏡の枠は、カーの見つけた回転するリングに相当します。しかし、このカー・リングを抜けるのは、片道切符の旅になるのです。
 カー・リングを取り巻く事象の地平線を通過するとき、重力でつぶれて死にはしないにしても、事象の地平線を越えてまた戻ることはできないのです(実を言うと、カー・ブラックホールには事象の地平線が二つある。一部の科学者は、その並行宇宙とわれわれの宇宙をつなぐ第二のカー・リングがあれば、帰りの旅ができると考えた)。


タイムトラベルとタイムマシン?

2015年01月30日 | 日記

 前回までの2回に分けて伝えてきたシリーズの物語は、宇宙人や空飛ぶ円盤(UFO)に関する書き込みでした。

 本当は、このブログでこの様な「夢のような話」や「未来の科学」に関することを少しでも多くの人に理解して貰いたくて、ブログをスタートした時から目指していたのですが、皆様にお伝えするには、物理的な部分でかなり難解な専門的な部分を記述する必要がどうしても避けることが出来ませんでした。
 そのため、基礎知識または応用知識としてどうしても書いておかなければならない事として、宇宙や物理学および数学に関することをここの最初のブログから書き続けてきました。
 今後、「夢のような話」や「未来の科学」などが登場する時には、私の今までの過去ブログを再度読み直して戴くことをお願い致します。今


 今日、Twitterを見ているとQuantum Universeさんの記事が気になりました。その中で宇宙船に乗って何万年か経過した時にメグリ巡って過去に到着していたとしても、「人間の意識が感じる時間の流れ方」は普通と変わらないものと感じる。

 この話から、今回のブログでは、「タイムトラベル」について書いてみることにします。最初に、Twitterから引用します。

 以下はTwitterより
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 一枚の紙を丸めてみよう。すると真っ直ぐ進んでも元の地点に戻る閉じた直線が、その紙上に描ける(下左図)。 一般相対論のアインシュタイン方程式の真空解にはこれに対応する宇宙がある。空間的に真っ直ぐ進んだら、いつの間にか元の地点に戻る、空間的に「閉じた」平坦宇宙(下右図)。
heitann1.jpg

 ところがアインシュタイン方程式は、これを横にした宇宙も真空解として許す。これは「時間方向に閉じた宇宙(下図)」。時間が経つと、いつのまにかに過去に戻っている。


再び"現在"に戻ってくる時間周期が1時間だったらどうか。また1年だったら。そして人間が死んでしまった1万年後だったらどうか。

 周期が十分に長い「時間的に閉じた宇宙」の場合、人間が生まれて死んだ後(または進化論的に人間が発生して文明を作り、そしてそれが滅びた後)に宇宙が再びある過去に戻っていても、その宇宙の中で生活する人間の意識が感じる時間の流れ方は、普通と変わらないと思う。
 しかし周期が1時間だったら脳の中の記憶も有限で、それは「過去の記憶」であり、「未来の記憶」でもある。その場合人間は時間の流れ方をどう感じるのだろうか。

 宇宙が周期的な場合、エントロピーが上昇し続けて状況が変化します。エントロピーや熱力学の第2法則がこの話のポイントの1つになります。時間方向に周期的な宇宙の場合、熱力学的エントロピーはある時点で減少に転じて初期値に一致します。第2法則は時間方向に閉じていない健全な宇宙でマクロに成立するだけです。
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 今回は、タイムマシンに関係するタイムトラベルについて書いていくことにします。タイムマシンという言葉はSF映画の世界では最もポピュラーな話題であり、必ずタイムトレベラーが過去または未来から現在へ、または逆に現在から過去、未来へと移動して、世にも不思議な物語が展開されていくのです。
 しかし、このタイムトラベルには物理学の世界では、非常に困った問題を解決しなければならないのです。その困った問題というのが、「タイム・パラドックス」という問題なのです。

 実際にタイムトラベルができるなら……。過去の。あの失敗した瞬間にさかのぼって、自分の人生をいまとはちがうものに書き換えたい。だれでもこれまでに一度や二度、こんなことを考えたことがあるのではないでしょうか。
 しかし、未来は別にしても、過去に行くことは、それだけで歴史を変えてしまうという重大な問題を引き起こすことになるのです。この点をクリアしなければ、実際に自分が生きていた時代とそこから始まる未来に大変な事態を引き起こしかねないのです。それがタイムトラベルのパラドックスと呼ばれるものです。

 タイムトラベルには、このような混乱以外にも、非常にやっかいな問題がいろいろついてまわります。その一つは、タイムトラベラーがタイムマシンで過去や未来に行くと、その時代に二人以上のトラベラーが存在することがありうるという「二人以上の人間が同時に存在する」という問題です。
 仮に誰か特定の一人が、ある時代のある場所が気に入って、そこに過去と未来を何度も行ったり来たりしたとすると、同じ時代に年齢の異なる自分が五人も六人もあらわれるという事態が生じる可能性があります。すると、そこに年齢の異なった自分の集団がうろうろしているということになりかねません。

 タイムトラベルには、さらに困難な物理的障害もあります。それは、この宇宙には「エネルギーの保存法則」というものが存在し、この法則を破るとたいへんな問題を引き起こすということです。
 エネルギーの保存法則は、われわれの宇宙で一つの出来事が起こったとき、それがどんな内容であろうと、その出来事の前と後で全体のエネルギーの大きさは変わらないと予言しています。
この法則は、別名「熱力学第一法則」とも呼ばれるもので、(ある系の中では)エネルギーは、新たに生みだすことも消滅させることもできないという意味です。
 科学者たちは、あらゆる物理法則の中でもこの法則をことさら重んじており、この宇宙ではどんなことでも起こり得るが、エネルギーの保存法則だけは決して破れないと主張しているのです。

 タイムトラベルの可能性を認めるには、このエネルギー保存の法則を破らなければ実現しないのです。なぜなら、タイムトラベラーが過去に行くと、その人間がもともと生きていた時代の宇宙から、一人の人間とそのタイムマシンの質量の分だけエネルギーが減ってしまうということになります。すると、相対性理論によれば、「質量はエネルギーと等価」であり、「E=Mc^2」というアインシュタインのもっとも有名な公式によって示されています。
 他方、同じ理由によって、彼らが出現した時代の宇宙の全エネルギーがそれだけ増えてしまうことにもなります。これは、現在から過去に移動するエネルギーが大きかろうと小さかろうと、さきほどの法則に完全に違反する現象であり、起こりえないことになるのです。

 そこで、タイムマシンの設計者は、この違反をなんとかして回避するアイデアを考えださねばならないのです。たとえば、タイムマシンとタイムトラベラーを過去に送り込むときには、それとまったく等しい大きさのエネルギーを過去から吸いだして現在に移動させる、すなわち二つの時代の間で同量のエネルギーの交換をおこなうといった方法で、エネルギー保存法則が破られないようにしなくてはならないのです。

 「タイム・パラドックス」から逃れることはできないのでしょうか?

 実はすでに科学者たちは、タイムトラベルのパラドックスに対して、いくつかの解決策を講じてきました。
 しかし、これまでのシナリオはどれも「実現に問題あり」であったのです。ところが、これらに代わる矛盾の少ないシナリオ「並行宇宙(多次元宇宙)」を構築しています。

 実は、この「並行宇宙(多次元宇宙)」あるいは「パラレルワールド」についての記事を、ここのブログでたくさん紹介してきました。詳しく知りたい方は、そちらを参照して下さい。


 さて、前置きが長くなってしまいましたが、2000年11月2日、米国のネット掲示板に、2036年からやってきたと自称する男性が書き込みを行っています。
その男性はジョン・タイターと名乗り、タイムトラベルの理論や自身のいた未来に関する状況や、未来人である証拠などを提示しています。

 このネットの中で、彼は、タイムトラベルが可能な範囲は、タイターの使用したタイムマシンでは約60年であり、それ以上の過去や未来に行こうとすると、世界線(世界)のズレが大きすぎて全く異なる世界にたどり着いてしまうというのです。
 それはつまり、我々が現在知ることの出来る歴史とはかけ離れた歴史を持った世界へ到着してしまうということでもあるのです。このことは、60年以内の移動であっても、誤差といえる程度の世界線のずれが生じるため、タイムトラベルのたびに「限りなく似通ったパラレルワールド」に移動しているということになってしまいます。

 タイターは、エヴェレット・ホイーラーのいう「多世界解釈」は正しいと発言しています。さらに、タイターは、「エヴェレットの多世界は、時間の異なる別の世界線であり、恐らく無限に存在する」といったような解釈を付け加えることによって、タイムトラベルの結果生じる矛盾、いわゆるタイム・パラドックスの問題が解決されるとしています。

 この「世界線」とは、いわゆる「パラレルワールド」と同義であり、タイターは「時間線」と合わせて三種類の語を使用しています。
 タイターは、それらの異なる世界線を移動することにより、タイムトラベルは行われると説明しています。

 例えば、タイムトラベラーがその親を殺した時、または自分自身を殺した時に、自分が存在するはずがないという「タイムパラドックス」に対しても次のように説明しています。
 過去にやってきたタイムトラベラーが自分の親を殺しても、自分がいた世界とは別の世界の自分の親を殺したことになるので、そのタイムトラベラーが消滅することはない。同じように、違う世界線の自分自身を殺してしまっても、世界線が分岐するだけなので何ら問題は起きないともいっています。


 今回は、タイムトラベルについての導入といえる話が中心となりました。
次回からは、タイターがいうところの「タイムマシンの原理」について書いていきます。


「宇宙人と地球の未来」その7

2015年01月28日 | 日記

 前回に引き続き、金星での出来事を中心に記述していきます。そして、今回を持ちまして、村田氏の宇宙人シリーズは終了する予定です。

 最初は、「金星人の本質」について質問しました。

***
 金星人は現れの世界の物事を現わし出すこともまた消し去ることも自由自在に出来る能力を持っているのです。金星の社会は素晴しい波動が霊妙華麗に現われた社会です。神霊の世界の顕現です。その中での社会機構を、現界の知識で探究しようとされても決して識り得るものではありません。

 リマの街は工場地帯です。その工場の生産物、製品や半製品を、地球的な観点で見ても決して理解できるものではありません。この地区で創り出す製品や半製品、原料資材等の流通問題を取り上げて見ましょう。
 製品でも半製品でも運搬するには、種々の輸送機関を使用して目的の場所に送り届けていることとお考えになられましょうが、それは三次元の地球的な方法でありまして、高次元世界ではそのような方法は用いません。
 地球人類は、どうしても三次元的な物の考え方が先行してしまい、この金星のような高次元の世界の現れを受け止められても、正しくこの高次元世界を知ったことにはなりません。

 地球人の顕在意識の中には三次元よりほかにございませんので、この三次元の場で受けとるより外に方法がないのです。しかし、地球人が三次元から高次元に意識を変える方法があるとするならば、それはあなた方がいつも繰返しやっていられるお祈りです。
 今、円盤に乗られて金星の世界に来ていらっしゃるのも、私達と対話しているのも、皆次元を異にした世界での働きでしょう。お考えになれば分るようにこれは祈りの場の拡がりであり展開です。

 祈りの場は無限に拡がります。難しく考えずに、素直に神様の中に溶け込んでゆかれれば、大きな愛のみ心で抱擁して下さるのです。素直にみ手の中に抱かれていけば、計り知れない知恵も力も自然と流れて来るものです。
 力んだり意気張って受け止めようとしても、その力んだだけ三次元に戻ってゆくのです。お分りいただけましたでしょうか。

 先にも申しましたように、金星では世界を創っている基本となる波動が地球よりはるかに霊妙化し微妙化しております。それで微妙な波動を自由に転換させて、いろいろなものを創り出したり、消し去ることが出来るのです。
 この現れの世界を創り出すことも消し去ることも出来るのです。諸行無常の教えをその場で顕示し得る世界です。
 でも現われ出たものはいつ消えるとも分らない頼りない存在ではなく、ある一つの機器があるとすると、その機器に付与した性能はそのまま次の波動が与えられるまでは寸秒だに狂うことなく、その使命を果してゆきます。

 しかし、波動を変えて放射しますとその優秀な性能を持った機械も原型を止めるだけでその姿を消してゆきます。その変滅を自由に駆使し得る波動の知恵を持っているのが金星人であり、そうした知恵や能力の上に打ち立てられているのが金星社会であります。

 大宇宙は大元の親神様から放射される波動が根本で、その波動が伝えられてゆく過程で各拠点を通し波動が交叉し次の場へと移りゆき、その場でまた別の波動が交叉して変えられてゆきます。
 大宇宙の空間にはこうした波動の転換する場が、網の目の如く、人間の細胞のように一糸乱れることなく法則のもとに統御されながら、生き生きと生き続けているもので、その拠点のもつ能力といいますか、精神的な面を含めて使命、天命とも申しますが、その付与された範囲の中での変滅が可能なのです。

 それで、金星での変滅の範囲にまで変えてゆく場が工場であり試験所、研究所であるわけです。
 リマの街には多くの生産工場がありますが、地球上の製品や半製品のように、姿や型をそのまま移動したり、搬出したりはしません。創り出した製品の持つ波動を幾段階にも変えてゆき、最後に原型のみにして保管します。
 そして必要な時に波動の転換器にかけて元に戻すのです。こうした操作は金星人の常識となっていて、目新らしいものでなく、奇妙な感じを持つ人もありません。

 波動が自由に転換できる社会を地球人の目で見ますと、全く奇想天外な世界に見えるのも無理はなかろうと思います。
 地球では速さの基点を光速とし、この秒速三十万キロで天体の観測をしておりますが、これでは遠方の星の正確な観測は難しいのです。それではたとえ観測出来ても、何万年、何十万年前の状態を見ているわけであり、その時間の経過と共に星の状態が変化してゆくからです。

 金星では波動の転換器を通して光速の何百倍もの速い波動を放射して、宇宙の星々や、それらの社会の状態を知り、進んだ星の秀れた科学力を絶えず受けつぐようにしています。ですから絶えず進歩を遂げてゆくのです。
 円盤も母船も光速の何倍もの早さで飛行することが出来ますが、これらは肉体の眼には止りませんので無いのと同じです。肉眼で見えるときは円盤の持つ本来の波動を粗く変えて活動していますので、そこで初めて認識されるのです。

 また地球の人達がよくご存じの夢の世界も波動を変えた世界の実在であります。夢の中の出来事は時間、つまり年代を異にしたものや場所の違い等を併せて考えても、地上の常識では辻つまの合わぬ部分がずい分とありますが、これも波動を異にした世界の出来事です。
 人間の死後の世界の幽、霊、神の世界も実在しているのですが、これも波動を異にした世界のことです。

 地球の人達は粗雑な波動の中に閉じこもってしまって、世界から一歩も出ようとしていません。こうした古い凝り固った波動の世界から脱出して、大きな天界に、宇宙に向って発展進化しなければならぬ地球世界の使命のためにも、この金星の世界をよく認識して頂きたいものです。

 現れの世界は人々の想念が創り出すものです。想念が変れば、その現れも必ず変るのが宇宙の法則です。波動を異にした世界のことをお受けいただくのは大変難しく、理解出来ないことも多いと思いますが、私達もできるだけお力添え致しましょう。
***

 司令の話しが終了すると、リマの街全体が見渡せる展望台から、一直線に走る放射状道路の先に見える小さな工場を指して、私を案内するように若い人におっしゃいました。

 この後、科学工場の工場司令のお話を聞くことになりました。
 「この工場では、地球の繊維のようなものを造り出しておられるようですが、それにはどのような方法をおとりになられるのでしょうか?」

***
 最も自然に近い方法がよろしいのですが、全く自然そのままの状態では造り出すことが出来ませんので、出来るだけそれに近い方法をとっています。
 樹木の伸びてゆく方法を観察してゆきますと、表皮、そして外皮層、その次の形成層、心材層となって樹木が形成されております。その形成層の中で絶えず樹木の細胞が増殖されてゆきます。そして古い形成層は心材層にと変って、樹木は次第に成長してゆくのです。
 その細胞の分裂増殖のような自然な状態に置くことは出来ませんが、熟成されますと、そのタンクの中味はずい分と変って参ります。それに加圧し震動を加えます。熱や低圧にすることもあります。添加物を加えて熟成を早めることもあります。

 あなたは、地球上のオイルタンクやガスタンクのような型状をお考えのことと思いますが、波動によっては、加圧する場合に球状のタンクもありますが、大部分は円筒形の太いパイプで、そのパイプの中をゆるやかに通過してゆくうちにいろいろな変化を起してゆくのです。
 それがチップを溶解した原液のようなものに変ってゆくのです。ここで大切なのは、チップを溶解して得た原液の精神波動は停止していますが、タンクの中で熟成された原液の精神波動は成長進展していることです。自然の中で形成されてゆく細胞の増殖には遠く及びませんが、これは今後に与えられた課題と思われます。

 この精神波動と物質波動を分類する方法は、もちろん周波数の相違ですが、これを測定するのは大変難しく、特に精神波動は常に一定しているわけではありませんから、活動している場合と静止している場合の相違に大変な差を生ずるものです。
 私達の測定機で知るのはその中に含まれている絶対価を知るだけで、活動している場合と停止している場合のものを測定するのは、別の場ですることで、私達の工場の範躊ではございません。

 精神波動と物質波動の測定方法は、絶対価を知るのでありますが、精神波動といいますと、分り易く申しますと私達は目で物事を観察します。
 耳でいろいろな音を聞きます。直接に手や皮膚に触れて感じます。私達の五体を通し感受する、いろいろな感覚は波動を受けての反応であります。

 これと同じように、ある波動を成熟中の原材料液の中に放射しますと反応を起します。それを測定し、高い微妙な計器に示され最高の反応値と、普通で反応する数、極めて低い粗雑な反応を示す三つの総和を私達は絶対価と呼んでおります。
 この場合、基準となる測定器から発する基準波があります。それも1~7までの標準波で測定するものです。物質波動も同様な方法を用いますが、基準波の周波数は全く異なっております。

 植林したり、農作物を栽培したり、草花を作る時は、絶えず見守って、立派に生育するように愛念を注ぎます。こうした人々の愛念に応えて、それぞれの使命を果していきますが、人々の愛念が届かない所は、地球でいう雑草が侵食したり、病虫害や、肥料(愛念)の不足を告げる結果等が現われて参ります。
 草や木が伸びてゆく自然の姿には及びませんが、進化の過程には、このように人々の愛念と努力が大切であるわけです。
***

 「原材料の成熟過程にも人々の愛念が必要だとおっしやるのですね。それでは、この原材料から作り出された織物に対する染色はどのようにされていますでしょうか?」

***
 織物の出来る工程の中に、幾重にも波動を照射する場があります。その中に模様や着色の状態を作ります原版があります、そのネガを通して着色や模様を造り出します。染料や顔料は使用しません。

 波動の照射と一口に申しますけれども、一つの対象物に均一に掛けるのは易いですが、その方法には数え切れぬ程の種類があります。
色の濃淡は、一つの元の色素を分散して当てるか、集中して当てるかで違いますし、一つの色素に三つ以上の波動を角度を変えて照射したり、三つ四つの色素に、それぞれ異なった波動を照射してゆくところに数え切れない程の複雑な、色と色の異なりと交叉が起るのです。

 その中に精神を入れてゆきますと、機械的なものの中に生命が生きてくるのです。その生命は物を物と見ず、人間に個性があるように、作られてゆく物は、個性を具備した生きている物となるのです。
 こうしたものが人々の手に渡りますと、その人の愛念に相応した奉仕をしてくれるのであります。仮にシャツや上着として愛用しますと、その人の愛念、愛して下さる心に相応し、その役目を果して下さるのであります。で金星人は地球人とは物に対する考え方が根本的に異なっているようです。物にも生命があります。それは肉体の寿命と同じでありますが、永遠のものでなくある期間です。

 地球上の人達は大部分が物に生命があると考えておられません。それで平気で山を崩し樹木を伐採しますが、そうした物の生命を知る方法はないものでしょうか?」

 金星の人達が物に話しかけますと、物は応えてくれます。感情も現わします。物質とはただの物質でなく生命を持っているものです。生命あるものをムザムザと乱費したり、捨てたりすることはありません。
 物はそれ自体、人間に奉仕するように役目を負ってきています。使う人達が、その物の生命を尊重して十分に生かして使用して下さると、彼らも十分に奉仕出来る喜びを知るのです。
 ここに人と物とが一体となって、その役目を果してゆくように大神様がお考えになられているのでありましょう。その点を金星の人達は各自がよく心得ております。

 地球上の人達は、大部分が物に生命があると考えておられません。それで平気で山を崩
し樹木を伐採します。地球人の物の生命を無視した考え方とは、無視したのでなく、知らないのだと思います。それだけ幼いのであろうと思います。
 しかし金星では、地球の人達のように物で苦しみ、物、つまり資源の争奪戦で人類が戦うようなことは起りません。

 地球世界もいつまでもそのような幼い考えではおれないであろうと思います。大神様の目からは地球世界も宇宙の一員です。家族の一人です。幼いからといっていつまでもそのままでいては、他の家族と一緒になって大神様のみ心に添った生き方が出来なくては、仲間外れの孤児になってしまいます。それは太陽系一家の大きな一(マイナス)になってゆきます。

  今度は地球世界が大きく変ってゆく番です。物質をいつまでも物と見ているような状態では、太陽系の家族の一員とは申されません。どうか一日も早く地球の皆様が、本当の自分をご自覚下されて、大神様のみ心に添った生き方が出来まして、私達と共に手を取りあい話し合いながら、大宇宙の進化のために協力し合って進化してゆける日を心よりお祈り申上げます。
 地球世界は必ず大きく変ってゆきます。物質文化の時代はもう過ぎました。これから迎えるのは、神霊文化の時代です。地球の人達が神霊波動に変ってゆかなくてはならない天の機が、刻々と迫って来ているのであります。五井先生を中心とした世界平和の祈りと、祈りによる世界平和運動は、着々とぞの場を拡げてゆきます。

 こうした調和した平和な波動の中には、地球世界を守っていらっしゃる神々だけでなく金星を中心とした他の天体の星々からの宇宙人達が、今大勢地球世界で働いています。それは地球世界の進歩の土台となっている、物質文明、物質科学の誤りとその幼さを教えるために、そして地球人が味わう苦しみが少ないようにと、祈りを込めて救援指導に当っているのです。

 地球世界には必ず大きな、科学的な進歩が起ることでありましょう。金星の長老格の宇宙人や、霊指導の専門家の大勢がその任に当っていらっしやると教えられております。地球世界の大転換の根本となる神霊科学が生れてくるのであります。
 神霊科学が進展しますと、地球の人達が金星に自由に来られて勉強していただくことも出来ます。そして人間とは肉体だけでなく、心霊波動を自由に駆使できる真理が自覚出来ますと、永遠に生き続けてゆく生命体こそ、人間そのものであるということが理解出来てまいります。

 永遠の生命を知った地球人類が誕生する日が一日も早からんことを祈って止みません。あなたも間もなく地球世界に帰られると思いますが、このことは地球の皆様によろしくお伝え願いたいと思います。
***

 司令は青年やM氏と二言三言話しておられましたが、直ぐに打合せは終り、私達は司令と別れることになりました。そのとき私は、このまま再び司令の元に帰ることなく、円盤で地球に帰るのではないか、との想念が走りました。こうした私の想念が適中したかのように。

***
 工場の見学の最後の所に円盤があなた達をお待ちしております。それは地球より乗って来られた中型円盤であります。これで一直線に地球世界にお帰りになる予定と承わっております。短い時間の出会でしたが、私もあなたのことは忘れません。地球にお帰りになられても、必要なときには私をお呼び下さい。その時にお話が出来ることと思います。それはあなたの心の世界がこの金星に確と根を持って生きつづけてゆくからです。通信、会話はこの意識の連繋の上に自由に組立てられてゆくからです。一度こうして金星の天地を踏んで下さった意義の重大さを自覚して頂きたいのであります。金星の天地それは遠い遠い世界の存在ではなくて、あなたの心中に確と存在する天地です。それを出来るだけ、地球の人達にわかり易くお伝え頂きたいと思います。いつの日にかまたお目に掛かることが出来ましょう。そのいつの日にかとは、あなたが金星の天地と、私達のことを思い出して下さったときのことです。思い出して下さったときにはお目に掛ることが出来ます。この一事をお忘れなく、無事に地球にお帰り下さいますようにお祈り中上げます。
***

 私(村田氏)の金星の見学時間は限られていました。それは富士道場での統一中の十数分の間の出来事です。
 この世的に考えて見ますと、アッという間の極めて短い時間に過ぎませんが、私の意識の世界に焼き付いた数々の出来事は消えることなく、生き生きと金星の世界の状態が心の中に映えてゆきます。
 それは実在している世界の認識として、確固として植え付けられていったのでした。その中で宇宙人達は私によく教えて下さいました。金星の天地、それは地球から遠く離れた存在の如き認識しか持ち合わせなかった私の心の奥をスッカリ見透して、金星の世界は私がいつでも思い出せば直ちに展開する世界であり、私の心の中に実在している世界であると、こんこんと幼児に教えるように、教えて下さったのでありました。


 このブログをご覧下さって、金星の上に想いを投げ掛けて下さる方々は、心の内にすでに金星の世界が展開している。遠い何万キロもの遠方の星に在るだけでなく、私達の心の中にも自由に開かれ現われ出る実在する世界であろうと思います。
 そして私達地球人から見ますならば、想像も及ばない科学力を駆使して人類の進化に向上にと、星全体がよりよき世界の建設に向って昇華を続けているのは、何ともいえないうらやましい限りであります。五井先生は私達に教えて下さっております。

 金星も、今の地球のような状態があったのですと。そして他の星から来た宇宙人に助けられて自分達の誤りを指摘され、大きく目覚めることが出来て、現在のような金星にまで開発されたので、言って見れば金星は地球よりも一歩先に出直した兄星であり、地球は次に出直す弟星であると。この次は弟星の地球が大きく変っていく順序になっているのであると。

 今回を持ちまして、2回に分けて伝えてまいりましたシリーズを終了させて戴きます。


「宇宙人と地球の未来」その6 金星と地球

2015年01月27日 | 日記

 リマの街に到着した後、地球の地下鉄とよく似た、グロンバーと呼ばれている電磁波を利用した乗り物に乗って、リマの街の中心にある中央塔の展望台へと向かったのでした。 この中央塔棟で、リマの街の責任者である司令から、金星と地球に関する貴重なお話をお聞きしました。

***
 金星の基本となる構成からお話し申上げましょう。これをよくご理解くだされば、枝葉の疑問は自ずと解消してゆくものと思います。

 地球世界は遅れておりますから、今の時点でご覧になられますと理解し難いことが多いと思います。でもこれからの地球は変ってゆきます。そうした機が熟してきたからでしょう。

 先ず金星から申し上げましょう。金星も地球同様、大宇宙から見ますならば大海の中のけし粒のような存在です。大宇宙には無限数に近い多くの星があります。その星の一つとて単独で存在するものはありません。
 一糸乱れることなく一つの法則で貫かれています。この計り知れない力、智恵の働きを大自然とも宇宙神とも呼びます。
 散在する星もあれば星々が集団でまとまったものもあり、一個で大きな星もあれば小さいのもあります。星も一個の人間のようで、生れ出ると何年か後には必ず消滅するものであります。

 肉体人間は、五十年から八十年で地上の任務を終えて霊界に移行し、また肉体界に生れ変りますように、星々にも出生と消滅が現存しております。
 ただ、現われ出て消滅してゆく期間が途方もなく違います。現存する星は永遠の如く見えますけれども、かげろうのように短き生命も、肉体人間の生命も、そして星に現われている生命も、一つの大元から流れて来るものであります。
 それは、その働きと役割の相違であって、当然のごとく現われ方も自ずと異なってくるものであります。しかし、一貫した大元の生命の現れであることには間違いないのであります。
 この宇宙の森羅万象は唯一の例外もなく一瞬たりとも留まることなく、絶えなき進化向上を遂げつつあるものです。一つの周期が終るまで、進化の道をたどりつづけるものであります。

 この金星も初めから現在のような進化は見られず、地球のように、現われている肉体の世界だけがすべてであると考えられていた時代が在りました。そして、人間の自我慾望の想念が吹き出て、本当に壊滅寸前の状態に追い込まれたのです。
 しかしそのとき、他の先輩星から指導者が白色円盤に乗って降りて来られ、大宇宙の真理と人間の神性を説かれ、それに伴う素晴しい科学の智恵を教え導かれて、現在のような金星にまで進化してきたのです。

 今の金星の人達には、誰一人として現れのこの自分だけが人間のすべてだと考えているものはおりません。そしてあなたたちの住んでおられる地球に比較して、格段に優れた科学力を持っています。
 地球と金星の相違は人間の神性を知るか否かであります。現れはお互によく似ております。しかしその星に住む人々の想念の違いが、大きな開きを作り上げてしまったのです。

 地球では、肉体人間の自我慾望の想念が人間同士の争奮戦となり、個々人が神のみ心である愛と調和の心を現わし切っておりません。それが国と国、民族と民族の闘争となって現在も続いています。

 星は一つの人格心をもった神様の霊体です。その中で争い合うなどということほど馬鹿げたことがありましょうか。勝っても負けても一家の中での浅ましい出来事です。
 一つの星の中でそのようなことを繰返していても、その星が立派になるわけがありません。先輩星を見ますと、すべてが団結してより良い世界を創り出そうと、進化のために絶えなき努力を続けており、これがその星の進化の度合いを一段と早めてゆきます。

 金星ではそこで培われた科学力を利用して、他の進歩した星々との交流が盛んに行われます。金星人達は他の天体との行き来も自由であります。したがってその眼は絶えず大宇宙の彼方に向けられ、先輩星から与えられた優れた智恵や力を学び取ろうと常に努力してゆきます。
 これは人間の神性を知るにつれて自然と現われ出るものです。人間の神性が開かれてゆくにつれ、人々の心は中心に向い、中心者への奉仕こそ唯一無二の喜びと心得て、中心帰一の状態が社会形成の根本理念となってゆくのです。
 こうした地球世界と違った精神状態の基盤の上に打立てられているのが、金星の社会であります。
***

 この話を伺っていると、本当に地球世界は未だ幼いのですね。現われた姿や形だけが人間のすべて、と思いこんでいる人達が大部分ですから、いつどこで戦争が起るやも知れません。天変地変も、どこでいつ発生するやもわかりません。
 なぜこのような大きな距りが作られてしまったのでしょうか。考えて見ますと、天と地程の開きがあります。地球世界はこの先一体どうなってしまうのでありましょうか。

 そのとき司令の眼が一段と輝き出しました。司令は席を立って、かたわらの書架の中からかなり厚い図面のようなものを、私達の前に開かれたのであります。
 それは天体図を想わせる、星々の進化の状態が一目で理解できる図表でありました。一枚の紙に書き現わしたように見えますが、その表現が幾通りにも変えられて、生き生きと生きている図表であり、躍動し続ける図表であるのです。

 司令が出された、一枚の図面に私の全神経を集中しました。星の進化が描き出されるという図面の中に、吸い込まれるように私の想念が走ります。
 白い図面に星々の進化の過程を示す図表が美しいカラーで浮びあがってまいりました。以前、月の基地で円盤や母船の設計図を見せて頂いたことがありましたが、あのときの図面とよく似ております
 今はこれから教えて下さる星々の進化を現わす図面に全神経を集中して、その説明を待ちました。

***
 金星では機械や建造物の設計には、こうした図面を用います。宇宙人たちは一枚の図面を、波動を変えて幾通りにも使用します。
 この図面の縦の罫線は宇宙の時間帯を現わします。横の罫線は波動を表現しています。一個の星が生れるまでの経過は、長い時間帯にわたる波動の変化を色で表示しております。

 この星をご覧なさい。宇宙時間帯では、ここで生れています。この赤い光輝が放射されているところです。そして次第に輝きの色を変えてゆきます。ピンクからオレンジ色にと、そして薄茶色にと。このときはまだ個体ではありません。横の罫線、つまり波動が変化してゆく状態を時間帯と合わせてよくご覧下さい。
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 簡潔な司令の言葉を通して、愛念がヒシヒシと伝わってまいります。どうしたなら理解してもらえるだろうかというひびきが、言葉以前の言葉として通ってくるのであります。
 この図面には七個の星の誕生と進化の状態が、宇宙時間と波動の変化にあった色の変化で表示されていたのであります。そこで私は、星の誕生がどこの位置で決まるのかについて質問しました。

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 これは大変に難しい問題です。厳密にいいますと、この表に示された赤い輝きの以前にも、この図面の何倍かの長い期間、波動が交叉して一個の中心体が造られてゆく過程があります。しかし、これはこの表示の中には含まれていません。
 子供が母親の胎内で成長している間はまだ誕生と申しませんように、ガス体から次第に変化して、一個の個体となれる波動に変化したとき、一個の星の誕生と考えております。
***

 一個の星の誕生から終焉までの進化のさまも、宇宙時間帯と波動の変化を色の移り変りで示す、こうした図面を通して見てゆきます。すると人間の生死のように、生長進化の過程を経て向上してゆくのがよくわかります。
 このとき私は、この図面の中に私達の住む地球が示されているのではあるまいかと思いました。

***
 この一番低い波動の位置にあるのが地球です。誕生から四、五十億年と地球で考えられている宇宙時間帯の中での変移がグラフで示されています。時間の経過につれて次第に粗い波動へ移行してゆくのをご覧下さい。
 このまま降下していきますと爆発を起して自壊してゆきます。加速度的に降下するときは、壊滅の道をたどるものです。広い宇宙にはこうした星もあります。このことをご存じの大神様は、地球の救済のために大きなお力を結集しておられるのです。

 そして金星の位置は、地球に一番近い上の罫線の位置にある星がそうです。よくご覧下さい。宇宙時間で見ますと、このように早く誕生しておりますが、誕生から次第に降下してゆく状態を、地球が移行してゆく降下線と対照して頂きましょうか。全くよく似た線を画いていることに注目頂きたいと思います。
 金星はこの時点で下降線が止まっております。それから上昇へと変ってゆきます。このときに大神様の救援の手が差しのべられたのです。
 これを境としてこのように上昇しているわけです。時間帯の上では金星と地球は開きがありますが、金星のたどった道によく似た経路をゆくのが地球であろうと思います。

 今は、自壊寸前にある地球が上昇線へと立ち直るために大神様が、大きな力を投げ与えて下さっているのです。大神様の大きな力は他の星々からの援助となって働きます。
 金星は大神様のご愛念で一足先に救われて現在のように立ち直ったのですから、後から昇って来る地球のために、出来るだけの援助、指導の手を差し延べることに何の不思議がありましょうか。

 今、地球では五井先生を中心として、大神様の光明の受場が着々とつくられています。地球世界の不調和の波動を調和へと導く、世界平和の祈り、この祈りは五井先生と大神様との約束事であり、この調和のひびきの中にその星の本来の姿が現われ出るものです。
 その調和した波動が、使命を帯びた私達宇宙人の活動する場となって、金星の智恵や力がこれらの宇宙人達を通して移行されてゆくとき、急速に降下しつつある地球の波動が変ってゆき、新しい地球世界が生れてゆくのです。
***
 
 司令は額ぶちのわきの小さなボタンを押されました。たちまち今までの図面は消えて、その星の誕生以前の激しい波動の交叉する状態が映し出されました。これが誕生以前の星の姿でしょうか?

***
 一個の星が生れるには、長期間こうした波動の世界での大きな変化を経てくるのです。この白黄色の光輝から黄金色に変る過程も、波動の変化を罫線で読みとっていただき、その度合を色の変化で見ていきます。
 波動の交叉が次第に流動体に移り、次に個体として一個の星へと形成されてゆく過程がおわかりになると思います。このときが星の誕生となるのです。

 それでは、星の誕生から人類が移り住むまでの過程を見ることに致しましょう。このボタンを押して、次の図を見て見ましょう。この図は、星々の揺藍時代の変化が一目で分かるようにしてあります。

 星が一つ誕生するということは、大変なことなのです。偶然とか忽然とかいえるものでなくて、大神様のみ心の中から生れてくるものなのです。
 生れて来る星には皆それぞれ天命がありますから、役目によって大きさも働きも違います。誕生までの期間も、誕生後の揺藍時代の長短も違ってくるのです。
 星々の進化の図面は、幾通りにも分けて観察できるようになっています。誕生前の波動の変化を更に詳しく見ることも、また誕生から揺藍期の進化を調べることも出来ます。この図面は幾通りかの違った見方ができるので、これをあなたにお目に掛けたのは、星々も絶え間ない進化の道をたどっているものであるという根本を確と受止めて頂きたいのです。

 金星と地球の違いは、そんなにたいしたことではありません。どちらも同じ進化の道を歩みつつある過程に過ぎないと言うこと認識して頂き、このことから金星の全般をよく受け止めて頂きて地球のために役立てて戴きたいと思ったからなのです。
 揺藍期における変化、星が強い光輝を放ちながら冷却していく経路、何億年かを経て海魂の働きや山魂の動き、木魂と昆虫達の現れ等、そして動物が創られてゆく過程や、動物を司る霊の働き、これらの一連の出来事の一部分を自由に取り出して観察することが出るのです。
 また、星に人類が住みつき、自然界の変化に対応しつつ、進化してゆく状態も、人類が自己限定して自我慾望のカルマをつくり、その苦悩の中に流転してゆく姿も細大漏らさず映し出すことが出来るのです。

 現在の地球のように自壊寸前まで追い込まれた星が、直前で本来の進化の軌道へ乗り入れることも、それに続く大きな飛躍の姿も、この図面には詳しく納められているのです。
 この世の現れは絶え間なく変滅を繰り返してゆきます。これは粗い波動の世界でも、高い霊妙微妙な波動の世界でも、進化変滅の程度、時間的な差異はありますが、寸秒も留まることなく進化向上への途を歩み続けているものです。

 理念としては大神様の元までたどり着くのですが、この大宇宙には何千億とも知れぬ星々が実在しています。よく似た波動の星々もありますが、本当は皆それぞれに個有の波動を持っております。
 こうした世界のことを知ってゆくには、数え切れない程の段階があります。今の心では受け止められない、計り知れない深い世界が実在しているのです。

 無始無終の世界であり、限りない進化を遂げつつあるのが人類の真の姿ということになります。
***


 今回の司令からの話は、金星と地球の在り方についてそれぞれの星での、限りない深さ広さ階層、つまり波動を異にした世界があるということが知らされました。
 我々地球の人類が、金星の在り方に導かれて、限りない進化を求めて突き進んでいくしか、道がないような思いにさせられました。


「宇宙人と地球の未来」その5

2015年01月27日 | 日記

 いきなり「金星の科学」などとこのブログで言われても、この太陽系の金星は灼熱の世界であり、金星にロケットを飛ばして観測までしているのに、ここで書いているような科学的に発達した惑星とは到底思えないことと思います。
 この著書でも書いてあるように、地球と金星の波動においてお互いの振動数が違うために、物質や生命の存在までもが地球の現象と異なっていようとは、なかなか受け入れがたいものです。この本の著者もこの点について疑問を感じています。


 私(村田氏)は永い間地球の天地に住みついて来たものですから、地球の生活や物の考え方が根底となっております。
 たとえば生活必需品についての地球的な考え方ですと、この金星で見てきた広大な森林地帯から産出する木材を、建築の材料、紙やパルプの原料のチップに加工したり、燃料やその他の利用方法が随分とあると思いましたので、思わずどのように考えておられるのだろうとの疑問が湧き上ってまいりました。
 しかし、この考え方もやっぱり私達の狭い地球的な考えでありました。M氏から譚々と幼い子供をさとすように教えて頂きました。

***
 あなたがそのようにお考えになられるのも無理からぬことだと思います。地球の天地に永年住みついていたのですから、地球での生活経験が基本となっての思考、行動となって現われてまいりましょう。
 何回も申しますように、金星の地は波動を異にした別の天地です。だから、その中に入って見ないと、十分に理解することが出来ないと思います。その中に入るということは、波動を合せてゆくことになります。
 今こうして金星の天地で見聞しておられるのは、この天地での波動に合わせていらっしゃるから見えたり、触れたり感じたりすることが出来るのです。
 もしあなたが地球世界の波動のままであったらこのような世界の実在を知ることも出来ません。ただ高い温度とガスが充満している生物の生息の出来ない死の天地と映し出されるのです。

 地球の科学者達は、永年積み重ねて来た実証を基礎にした探究の方法より知りませんし、また自分達の考えている別の世界の実在していることを心の奥では知っていても、これを立証する方法も確証も見出せないので、自分達の範躊でない精神の問題、心の世界、深層心理学や心霊科学と現代科学は余りにも距離があり過ぎて、一つに結びつくものであるとは考えられないのが、地球の科学者の共通した信念であろうかと思います。
 それで、こうした考え方を打破し誤てる科学信仰を修正して、真実の科学の世界に導入してゆくには、別の天地に実在する科学の実態を示さなければならないと思います。

 科学者達は自分達の生命の問題よりもその映し出された理に従います。科学の理論には万鈞(まんきん)の重さがあり、憧憬や尊敬の心で迎えます。そのことを私達金星人はよく知っています。それで金星の科学が映し出される、調和した波動の醸し出されてゆくことを望むのです。

 調和した波動の世界でないと私達金星人は活動が十分に出来ないのです。地球は今や破滅寸前の立場に追い込まれていますが、五井先生の提唱して下さっております世界平和の祈りの中で、素晴しい神々の調和されたひびきで、地球をお守り下さる神霊達が大挙してお働き下さっております。
 その基盤をお造り下さっているのが、世界平和を祈っている祈りの同志達でございましょう。地球をお守り下さっている神霊達と、祈りの同志と、私達宇宙人とが、一つ心になって、世界平和を祈る中から計り知ることの出来ない宇宙子科学が、金星の科学が生れて出るのです。
 宇宙子科学は、ある時忽然と出現するのではなく、世界平和のお祈りの中で宇宙人達の指導のもとに、五井先生のご指示で永年築かれてきた輝しき実績が基礎となって、その上に現われ出ずるものです。それは私達宇宙人と地球の守護の神霊とが水も漏らさない緊密な共同計画のもとに着々と進められております。

 地球世界の新しき世界の夜明け、黎明を前にして、地球人類の奥にひそんでいるカルマが大きく消されようとして表面に現れ出ております。夜明けを前にして闇が一段と深まるのと同じであります。
 闇、それは本来在るものでなく、真理の顕現してゆくに従って消え去ってゆきます。この一事をよくよく心に止めて世界平和のお祈りを続けてほしいと思います。
 私達の生活もし易くなります。新しき地球世界の誕生もそう遠くはないのです。心してお祈りを続けて頂きたいと思います。

 いま、円盤バスから見ておられるササリーの街は森林地帯でもあるのです。街の周囲に植林して造成したのがこの平原の中の森林地帯なのです。ちょっと見ますとこの森林地帯を造成したとは考えられませんが、今は素晴しい森林地帯の中での静かな、そして実によく働く街、草や木に一番よく溶け合った街といえましょう。

 草や木樹はそれぞれの気の流れの中での成長進化を遂げてゆきます。気とは霊気のことです。草々の霊気と樹木の霊気とは違います。水の気、山の気、大地の気と申し上げますと随分と多くの気がありますが、これらの霊気と一つに溶け合って調和してゆくことが生活の基本となっております。
 生活の中にこれらの気を取り入れてゆくことを工夫致します。それで金星のどの街を見ても、地球世界で見るような建物ばかりの集団のような、片寄った都市はございません。

 地球世界でもそうでしょう。四季に咲く花の色に、伸びゆく若草の緑の色を眺めてゆきますと、自分達の苦労や不安もその他のもやもやしたカルマの想念も、いつの間にか、スウーと消えてゆきましょう。草木の持つ素晴しい汚れの無い波動の中に吸収され、同化されてゆくから、カルマは消え去って、晴れ晴れした気持になりましょう。
 金星人の生活は調和を第一に考えます。木樹の持つ霊気と調和してゆくことが最も手近なものとして、家の周囲に誰もが木樹を持っております。金星の都市は、緑の中の都市、草や木や花の街とも云えましょう。
***

 何と素晴しい金星の世界に住む人達よ、その高い透明に輝くような波動の人達は大自然と生活とも一つに結び、しかも大自然の中にすっかり抱擁された生活のようです。
 ササリー大農場群は森林地帯の中に美しく区画整理が施されたように、緑の沃野がひろがります。緑の巨人の眼鏡のように見える森林の中の沃野は空から眺めると本当に美しいものです。

***
 金星の歴史については、いずれゆっくりとお話し申し上げたいと心得ておりましたのですが、どうしても金星の歴史を、いえその一端でも申し上げておかないと理解して頂けないかと思いまして、そのあらましを申し上げて見たいと思います。

 あなたが感嘆しておられる金星の天地も、ある時忽然と出来たのではなく、金星とて地球のように何十億年の年月を経て、荒廃の中から立ち上り、筆舌に尽きぬ苦難の時代を通り過ぎて、現代のような世界にまで昇華してきたのです。
 それは長い年月と金星人のたゆみなぎ努力の結晶でしかなかったのです。みる影もなきまでに荒れ果てた金星の苦難の時代は長く続き、もうこのままでは人類の住む天地に再び戻すことは出来ないと思えたときに、他の先輩星から救世主が現われたのです。
 透明に輝く白色円盤と眼を射るような強烈な光輝の放射に、誰一人としてその前に立ち向う者はなく、多くの従者と共に金星の世界に降りて来て人の神性を説き、人の尊厳さを教え、荒廃した世界の救済のための素晴しき智恵を授けられたのです。
 こうして次第に金星は昔日の姿に帰りゆくと共に、計り知れない智恵の力が人々の神性を開発してゆき、それと共に素晴しい科学が育成されて、開発されてゆく神性と相まって金星は大転換して現在の金星の姿となったのでありました。

 その昔、荒廃した金星の大地は、到るところはげ山と砂漠のような地に、かろうじて草や木がポツリポツリと散在しているだけでした。このような地で救世主たちが先ず最初に人々に教えたのは木を植えることだったと伝えられております。
 樹木の生命も人の生命も共に大神様から分れ出た生命の現れである。このように人々に教えられて、木を育てることの大事さを身を以てえ伝えられた、その指導者のもとで多くの人達に教育されていかれました。やがてこれらの人達が各地に派遣されて、大衆の指導に当ったと伝えられています。
 その時の智恵は今なお生かされて、今もこうした緑の星に輝く、自然と秩序が調和したササリーの大農場のような素晴しい姿として展開しているのであります。

 荒廃した金星の天地を救うものは自然の波動を充分発する緑である、と教えた指導者は、自分も卒先して荒野に木を植えて範を示されたのです。
 その時代の金星は寒暑の気温の差が甚しくて、天変地変や洪水の害や、干ばつの被害は大変なものであったのでしたが、人々はあらゆる苦難に打勝って植樹を、そして育成をと努力を積み重ねていき、緑が増してゆくと共に気温が変り、人々の心がなごんでゆきました。
 そして、緑の持つ自然の同化力に吸収されて、木々の持つ生命を大切にするようになり、樹木に教えられるものがずい分とあったのです。
 その内に洪水も干ばつも次第に少くなってゆき、緑が金星の世界に大きく拡げられていったのです。それから金星の自然は驚くような変化を起して、現在のように調和した天地へと変えられていったのでした。
 ですから金星人は樹木の緑を大切にします。樹木の生命を無駄に断つようなことは一切行いません。地球世界のような乱伐などが起ることはありません。先程からご覧になって、金星の山野に大きく伐採した跡などはご覧になられなかったでしょう。樹木の持つ自然の緑は人々に大きな生きた教訓を与えてくれるものと思います。
***

 M氏から説明を聞いている内に、森林の中に素晴しい工場の一角が見え初めました。丸い大きな建物が見渡す限りに散在しておりますが、それらは、かなりの厚い層の森林で遮断されております。地球上の工場の概念とは全く異なっております。静かな森林の中の公共建物のように思えました。
 この化学工場の内容について質問をする前に、金星と地球の波動の相違は、厳しい波動の調整を受けなければ円盤から機外に出ることも許されないことは知っております。それで、金星の空気と地球の空気とでは、どのような違いがあるのかについて質問しました。

***
 宇宙を形成している万物はすべて波動から出来ております。波動の世界は限りなき段階に分れています。地球世界も一つの星であり、一つの波動が現象の世界を創り出しているのであって、金星と地球の波動は大変相異しております。
 わかり易く申ししますと、縦の波動と横の波動となって現われて、縦と横とが交叉して一つの現れが起るのです。その基になるものが異なっていますから、その現れである、空気も水も大地も、山も河も同じように見えても中味はずい分と違います。

 地球科学では、現れの世界のその過程の奥を知る智恵を、神様から授けられておりません。何故ならば、神様からの叡智を受け止めるまでに到っておらないのです。成長進化の途上でありますから止むを得ないことです。
 科学者達の根底に、人間の知識と経験の積み重ねと努力以外にこの科学の世界は進歩しないとの考えがあります。そして長年月この道に添って築き上げて来た観念が容易に変わることは出来ないと思います。

 人間の努力の結集の中で働いている科学の智恵も、その元は神様の智恵が現われ出たものです。肉体人間のカルマと神様の智恵とが混ざって現われているのが地球の科学です。金星の科学は神様の智恵がそのまま現われているものだとお考え下さい。

 先に質問がございました空気中に含まれているいろいろな元素を、波動を利用して分析して個々のものを取り出すと、それから得られる元素を分離しては、またそれぞれに再生させる中間体を造り出しているものです。
 末端まで創り出すことなく、生活の必要品を創り出す原材料のようなものを創り出している化学工場です。幾種類もの中間体を創り出しております。創り出した原材料のような中間体を創り出すだけでなく、それを圧縮してと申しますと、地球上のプレスを連想されましょうが、波動を変えることによりその形状が全く変ります。これが金星の科学の大きな特徴です。

 例えば、地球上の農作物には窒素、りん酸、カリの三大要素が必要とされています。そして、窒素は空気中の窒素から取り、りん酸、カリは鉱物から採っています。そして、これらに必要な要素を混入し、混合肥料を造っております。
 しかし、金星の工場では一度化合を完成して再び中間体に戻して縮小したかたちで保管します。そうすることで、この中間体を使用する農場では、これを簡単に再現出来る仕組みになっております。

 つぎに、工場と周囲の自然との関係についても申し上げておきましょう。

 地球上の工場や、工場が集って造り出している街は、いろんな意味で生産工場からの廃棄物や煤煙等で汚染されていて、余り美しい良い感じを持っていないものです。
 金星でも初めの内は工場は各地に分散していて、その地との調和がむずかしかったのでしたが、次第に人々が目覚めて、工場とは最も恵れた自然の中で、その自然とどれだけ調和してその機能を発揮してゆくのかが課題となりました。
 そして、この課題がクリアできたことで、気候、風土、水と自然に恵まれた地に金星の中心ともいえる科学工場群を創り出したのでした。そして、この金星には七つの工場群が散在しています。その中でも、ポプキン平原の大工場群が最大であり、中心的な存在なのであります。
***

 私たちはリマの街まで来てしまいましたが、その途中でポプキン平原の大科学工場地帯の一部を上空から眺めることが出来ました。そんな中でリマの街も工場地帯も、木樹に囲まれていて、自然と共存していることがわかりました。

「緑こそ自然の象徴といえましょう。自然と科学の調和は、どのようにお考えになっておられるのでしょうか?」

***
 科学はいろいろな変った波動を放散してゆきますが、その変化が周囲の緑によって吸収し浄化されてゆくことを十分に計算して、工場の大きさが決定されてゆきます。それも植物の持つ、浄化の限度いっぱいでなく、その能力の七〇%以上のものは設置出来ない仕組になっております。
 水もそうです。ポプキン平原の湖は、どれを見ても自然そのままに見えましょう。水程波動を吸収し易いものはなく、その吸収されたものを次の段階で取除く、つまり浄化機能が完全に行われております。
 地球での浄化装置では、その残渣が出ますが金星では波動の分離調整が自由に出来ますので残渣は出ません。水と自然の緑に恵まれたポプキン地区に工場が設定されたのも、金星の輝く歴史の一頁であります。

 ポプキソ平原の大工場地区の建設も或る日忽然と出来だのではなく、先の農場と緑の関係のように長い歴史の過程を経て、三者の調和融合点を見出して現在に到っています。
 こうした三つの相関関係を究明するまでには幾多の失敗と困難な事態に立到ったことが幾度もありました。そして、遂に科学者達の努力が実って現在のように自然と科学が見事に調和して、大きな生命の中での各自の役割を果しているのであります。
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 私はM氏の説明と同時にバスの中から下をのぞき見ました。この基地は円半型ではなく円型のバス基地でありました。白い十字の吸引板が今しがたの太陽の光に輝いているのが眼に入ります。そのときでした、基地の上空に停止していた円盤バスがスーッと下降しはじめました。そのとき私は金星の引力は地球の何十分の1くらいのものではないかと思いました。

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 波動の相違が根本になっているので、地球の引力と比較対照しようとしても、そのままでは対照になり兼ねるのです。でも人間の想念の習慣は直ぐに比較をしてみたいものです。 地球上での現世と霊界とをどのように対照して見ても真の対照にはなりません。それは波動の相違であり、異なる世界の状態をどのように接ぎ合せて見ても、水と油のように、調和し難いのが実状です。
 いろいろと煎じ詰めても、やっぱり波動の相違という結果になりましょう。地球から円盤で金星に降り立つまでに、何回も波動の調整装置で調整されてから、次の場へ移りましたでしょう。あなたの波動が完全に霊化しなければ次の波動調整の場へ移行出来なかったあの時の事実を思い出して下さい。

 次元の異なる世界への出入りには、必ず波動の調整が必要となります。従って時間の観念も距離つまり長さや空間の考え方も全く異なって参ります。
 こうした観点にたって考えて見ますと、水も山も川も皆地球のような現れで、同じように見えるのでありますが、その本質においては全く異なったものであることがお分りになると思います。
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 「今までは両方のけじめが不十分のまま過してまいりましたが、これからは、この相異点をはっきりさせて対処するようにとのご注意、本当に有難うございます」

私たちが話し合っているうちに円盤バスはリマの街に到着しました。