ミシュランガイド京都・大阪 2010 日本語版 (MICHELIN GUIDE KYOTO OSAKA 2010 Japanese)日本ミシュランタイヤ株式会社このアイテムの詳細を見る |
きのふ屆いたので、けふパラパラと目を通してみた。
名店といはれる店の、料理や店内の寫眞が目を樂しませてくれる。
惜しむらくは、舌で樂しむ機會がありさうにないことだが、ま、これはミシュランの所爲ではない。
「星付きレストラン」の初めのページに、星の評價基準についてふれてゐる。
それによると、「星は料理そのものに與へられる評價」なのだとか。
つまり、「店の雰圍氣、サービス、快適さは、星の評價基準に含まれてゐません」といふことだ。
それならば、外見や内裝が貧相でありながらも美味い料理を供する店が掲載されても良ささうなものだが、殘念ながら、さういふ店は載つてゐない。
いや、そんな店が京都にあるのか、と訊かれても困るのだが。
では、料理そのものの評價基準はといふと、6つある。
・素材の質
・調理技術の高さ
・味つけの完成度
・獨創性
・コストパフォーマンス
・常に安定した料理全體の一貫性
コストパフォーマンスといはれても、殆どの店がコースは1萬円以上だし、中には3萬5千円からなどといふ店もちらほら。
これでは私のやうな庶民には手が屆かない。
ま、仕方ないんだけど。
「常に安定した料理全體の一貫性」、これは何を云ひたいのだらう。
「常に安定した」は、どこにかかるのかな?
「一貫性」かな?
なんだか日本語として意味が通じない。
これ、原文の飜譯がうまくないのかも。
といふわけで、私には掲載されてゐる店が順當なのかどうかの判斷は出來ない。
ただ、掲載店の殆どが和食系であり、京都では和食でないのはわづかに4店のみ。
京都のフレンチは、京都ブライトンホテルのレストラン「ヴィ・ザ・ヴィ」しか掲載されてゐないし、イタリアンとなると皆無。
これはあんまりではないかと思ふ。
このガイドは日本情緒を求める外國人觀光客のために作られたのではないか、と勘繰りたくなる。
目次で氣になつたのは、「エリア別レストラン」。
その名の通り、エリア毎に店を竝べてゐるのだが、エリアそのものの竝べ方がわからない。
右京區から始まり、上京區、北區、左京區、下京區・・・
これを見ると、クラクラしてくる。
いつたい、どんな順番やねん?
(追記:どうやら50音順らしい。エリアを50音順にならべてどうする!)
さらに云へば、「區」で區切られても、一般の讀者にはわからないのではないか?
たとへば、左京區と東山區の境界がすぐにわかる人がどれだけゐるだらう。
このさかひ目の近くに「瓢亭」があつたりするのだが、ちやんと左京區で搜せる人は少ないだらう。
役に立つとすれば、店の住所を知つてゐてこのガイドブックで店の内容を調べたい場合だが、そんなことがあるのかどうか。
そもそも店の名前を知つてゐれば、50音順のインデックスで搜せば良いのだし。
各店の紹介ページに小さな地圖が載つてゐるが、これがまた使へない。
京都は東西南北に通りがはしつてゐるので、特定のポイントを表はすのに南北の通りの名前と東西の通りの名前を使ふ。
たとへば、「河原町御池」といふ場合、「河原町」が南北、「御池」が東西の通りで、その交點を示す。
ところが、この地圖には通りの名前が出てゐないことが多い。
その代はり、律儀に町の名前が掲載されてゐるので、煩はしくて仕方ない。
町の名前を見て、それがどこにあるのかわかる人は、その町の周邊に住んでゐる(住んでゐた)人くらゐではなからうか。
結局、この小さな地圖は使ひものにならないので、店名の上に記されてゐるマップナンバーによつて、卷末の地圖で搜すことになる。
つまり、この地圖はスペースの無駄であるばかりでなく、讀者を困惑させ貴重な時間を奪ふといふ意味で害惡ですらある。
結局、私にとつてこのガイドは、實用的なものといふよりは、いつか行きたいものだなあといふ、憧れ増幅裝置だと云へる。
一流店の寫眞を見ては小さくため息をつく、そんな效用のある本だ。
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