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仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

「λに歯がない」 森博嗣

2007-01-28 21:14:05 | 讀書録(ミステリ)
「λに歯がない」 森博嗣
お薦め度:☆☆ /
2007年1月27日読了


Gシリーズと云はれるシリーズの第5作。
探偵役はC大學2年生の海月(くらげ)及介。
無口な、普段は何を考へてゐるのか捕へ所のないクラゲのやうな人物だ。
名は體を表はすといふことか。

建築研究所で見つかつた4人の死體。
死體は齒が拔かれてをり、ポケットには「λに歯がない」としるされたカードが入れられてゐた。
しかも、死體が發見された研究室のドアはセキュリティ・システムで監視され、ビデオ映像が記録されてゐるのだが、出入りした形跡がない。
つまり、「密室殺人」といふことになる。

いつものやうに、提示された謎は魅力的だ。
この謎を如何にして解き明かすのか、その興味だけで讀まされてしまふ。
また、これまでの事件との關聯も氣になるところ。

しかし・・・
密室の謎ときはそれなりに面白かつたのだが、犯人とその動機については、いかにもなほざりで、付け足しといつた感がある。
讀者への情報提示も唐突なので、ああそうなの、といふ感じだつた。
密室トリックも普通の讀者なら分かる筈もなく、へえ、さういふことも出來るんだ、といふ感想をもつだけだらう。
何より消化不良だつたのは、これまでの事件との關聯。
まあ、これは讀んで頂くしかないのだが・・・

このGシリーズそのものが、これまでのシリーズの讀者でなくては面白くない、といふか、わからないだらうといふ部分があるのだが、本作では特にそれが顯著だ。
この作品で森ミステリーに初めて觸れたといふ讀者はゐないだらうとは思ふものの、單獨で讀んだのではまつたく面白くない作品だらうと思ふ。

私にとつて、これまで讀んできた森ミステリーの中では、もつともつまらない作品だつた。



λに歯がない

講談社

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