仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

「天才ファミリー・カンパニー」(全6卷) 二ノ宮知子

2007-08-09 10:53:39 | 讀書録(コミック)
「天才ファミリー・カンパニー」(全6卷) 二ノ宮知子
お薦め度:☆☆☆☆☆ /
2007年8月8日讀了


作者の 二ノ宮知子 を知つたのは、 「のだめカンタービレ」 を讀むやうになつてから。
それまでは、まつたく、その存在すら知らなかつた。
その後、人から「GREEN〜農家のヨメになりたい〜」を借りて讀み(あ、まだ返してない!)、「のだめ」以外の作品に接した。
なかなか良いではないか!

「GREEN」もいいけど「天才ファミリー・カンパニー」はさらに面白い、といふ評判を聞いて、いつか讀んでみたいと思つてゐた。
そして今囘、ヤフオクで、スペシャル版全6卷を1820圓で落札し、いよいよ讀み始めたといふ次第。

主人公・夏木勝幸は、現役高校生ながら經營學のスペシャリストを目指してゐる天才。
頭腦明晰ながら性格は至つて獨善的。
「のだめ」の千秋眞一の原型のやうな男だ。
しかし、この「性格の良くない」天才が、母・良子の失業や、クラスメイト・永沢京子の父の會社の經營再建などに關はつていくうちに、少しづつ「人間らしく」なつてゆく。

その變化をもたらした最大の原因は、母の再婚相手、田中荘介とその息子・春である。
彼らは、世界中を放浪して生きて來た。
その土地、土地で人と關はり、友達となり、いまや世界中にファンがゐるといふ、じつに人柄のよい親子だ。
當然の如く、主人公は彼らとはリズムがあはず、彼らを嫌つてゐる。
しかし、いざ、主人公が事を起す時、もつとも頼りになつたのは、結局彼らの人脈なのだつた。
11歳にして既にハーバード・ビジネス・スクールを修了してMBAを取得してゐる眞の天才少女アミィ。
謎の中國人、林ジイ。
最終的に、母・良子の失業の原因となつた矢野哲郎へのシッペガエシが成功したのは、まさに彼らの協力なくしては考へられない。

ひとりの獨善的天才少年が、いかにして周圍の人間と關はり成長してゆくか。
この作品はさういふ意味では、ビルドゥングス・ロマンなのだ。
天才でもなんでもない我々にとつて大切なことは何か。
そんなことも考へさせられた。

「のだめ」の讀者には、ぜひこの作品も讀んで頂きたい。
もしかしたら、「のだめ」以上に心を捉まれてしまふかもしれない。


<PS>
ちなみに、サブ・キャラクタの有吉くんがいい味だしてゐる。
「夏木觀察日記」なんて、いいなあ。
盆栽やジオラマが好きだといふ、ヂヂ臭さもまたたまらない。



「天才ファミリー・カンパニー」について (Wikipedia)



天才ファミリー・カンパニー―スペシャル版 (Vol.1)
二ノ宮 知子
幻冬舎コミックス

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