仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

「斑鳩の白い道のうえに―聖徳太子論」 上原和

2007-05-30 05:20:03 | 讀書録(歴史)
「斑鳩の白い道のうえに―聖徳太子論」 上原和
お薦め度:☆☆☆+α /
2007年5月18日讀了



1975年、第7囘 「亀井勝一郎賞」 受賞作品。
「亀井勝一郎賞」は1982年の第14囘をもつて終了してゐるが、文藝評論の新人賞である。

文藝評論だつたのか・・・
確かに、學術論文ではないし、小説でもない。
さうか、文藝評論か。

副題に「聖徳太子論」とあるやうに、この作品は聖徳太子の生涯を浮き彫りにして入る。
1975年當時の考古學の成果を十分に採り入れてゐるし、文獻史料などの裏付もしつかりしてゐる。
しかし、「論文」といふには、「熱い」のだ。
聖徳太子への作者の熱い思ひが、頁を繰るごとに傳はつてくるかのやうである。

世間では「聖徳太子非實在論」の本が出されてゐて、私も興味を持つてゐるのだが、この本を讀んでゐると聖徳太子の存在をはつきりと感じさせられてしまふ。
單なる歴史上の「偉人」としてではなく、當時の人々が「聖人」として敬つた聖徳太子がどういふ人間だつたのかが、この本を讀めば自づと理解される。

とはいへ、私はこのわづか300頁の本(朝日選書)を讀了するのに11日もかかつてしまつた。
生まれてこのかた、私はこの程度の頁數の本を讀むのに、こんなに時間がかかつたことはない。
もちろん、聖書だとか、古文だとかは除いての話だが。
これは、私の「鬱」が影響してゐるのかもしれない。
2、3頁も讀むと、前に書かれてゐたことがわからなくなり、それでも讀み進めていくと、ぢきに眠つてしまふのだ。
面白い内容の本なのだが、いまの私には、正直云つて、しんどい本であつた。




斑鳩の白い道のうえに―聖徳太子論

講談社

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