「サンタクロースのせいにしよう」 若竹七海
お薦め度:☆☆☆☆ /
2007年2月23日讀了
1995年8月に刊行された、若竹七海の第6作。
本書は若竹七海お得意の連作短篇集で、7つの短篇が收録されてゐる。
主人公は、「わたし」こと岡村柊子。
友人の彦坂夏美の紹介で、彼女の友人の松江銀子の家に居候することになる。
この銀子がじつにユニークなキャラクタで、自分では身の囘りのことがなにも出來ない。
家賃はいらないから、料理さへ作つてくれればよいといふ。
好條件に渡に舟と飛びつゐた柊子だつたが、なぜかさまざまなトラブルに見舞はれてしまふのだつた。
「あなただけを見つめる」
柊子が銀子と一緒に暮すことになる顛末と、銀子の幼い頃の幽靈騷動の謎が語られる。
しかも、銀子の家の玄關の下駄箱の上には得體のしれない老婆の幽靈が・・・
「サンタクロースのせいにしよう」
銀子の家の近所には、鈴木さんといふやつかいなおばさんがゐて、みんなの惱みの種になつてゐる。
といふのも、他人の出したゴミをチェックして、分別してゐないと怒鳴り込むといふ口うるさいおばさんなのだ。
その鈴木さんが、クリスマスの夜に、幽靈と死體を見たといつて腰を拔かすのだが・・・
「死をいふなかれ」
銀子の腹違ひの兄、曾我龍郎が登場。
銀子の姉・沓子の近所で、庭のチューリップが一夜にしてきれいさつぱりなくなつてしまつたといふ。
誰がなぜそんなことをしたのか。
「犬の足跡」
ガレージの床のコンクリートに犬の足跡がついたのは何故か?
柊子が夢で犬になるのは何故か?
下駄箱の上に座つてゐる老婆の幽靈は、いつたい・・・
「虚構通信」
柊子のもとに電話がかかつてきた。
相手は夏美の友人だといふ、内木田しのぶ。
どうやら、銀子のすぐ下の妹、卯子が手首を切つて自殺したことに關係があるやうなのだが・・・
「空とぶマコト」
柊子は銀子と台灣に旅行することになつた。
お孃さま育ちの銀子と旅行するなんて無謀だといふ夏美の意見も聞かずに。
行きの飛行機の中での迷惑なカップル。
いかにも我が儘な女性と、その彼女に振り囘されてゐる男といふ圖式なのだが、どうも妙だ。
「子どもけんか」
銀子の父が倒れてしまひ、銀子は實家に歸ることになつた。
家を引き拂ふので柊子も出て行かなくてはならない。
銀子に料理を教へることで精根盡き果てる柊子。
夏美と龍郎と3人で花見に行つたとき、夏美と龍郎が些細なことでけんかをする。
その些細なことは、しかし、不思議な謎でもあつた。
柊子と龍郎の關係を暗示する、春らしい暖かさを感じさせる終はりかたである。
コージィ・ミステリーといふカテゴリがある(らしい)。
ここちよいミステリーとでもいふのだらうか。
若竹七海の作品を評するのによく使はれてゐる言葉だ。
本書は、まさにこの言葉が相應しい。
日常の謎をめぐり、のほほんとした雰圍氣のなか、さりげないユーモアとともに謎解きがなされる。
眉間に皺を刻むことなく、讀者ものんびりと樂しむことができる。
若竹七海の世界を樂しむには持つて來いの作品だと思ふ。
お薦め度:☆☆☆☆ /
2007年2月23日讀了
1995年8月に刊行された、若竹七海の第6作。
本書は若竹七海お得意の連作短篇集で、7つの短篇が收録されてゐる。
主人公は、「わたし」こと岡村柊子。
友人の彦坂夏美の紹介で、彼女の友人の松江銀子の家に居候することになる。
この銀子がじつにユニークなキャラクタで、自分では身の囘りのことがなにも出來ない。
家賃はいらないから、料理さへ作つてくれればよいといふ。
好條件に渡に舟と飛びつゐた柊子だつたが、なぜかさまざまなトラブルに見舞はれてしまふのだつた。
「あなただけを見つめる」
柊子が銀子と一緒に暮すことになる顛末と、銀子の幼い頃の幽靈騷動の謎が語られる。
しかも、銀子の家の玄關の下駄箱の上には得體のしれない老婆の幽靈が・・・
「サンタクロースのせいにしよう」
銀子の家の近所には、鈴木さんといふやつかいなおばさんがゐて、みんなの惱みの種になつてゐる。
といふのも、他人の出したゴミをチェックして、分別してゐないと怒鳴り込むといふ口うるさいおばさんなのだ。
その鈴木さんが、クリスマスの夜に、幽靈と死體を見たといつて腰を拔かすのだが・・・
「死をいふなかれ」
銀子の腹違ひの兄、曾我龍郎が登場。
銀子の姉・沓子の近所で、庭のチューリップが一夜にしてきれいさつぱりなくなつてしまつたといふ。
誰がなぜそんなことをしたのか。
「犬の足跡」
ガレージの床のコンクリートに犬の足跡がついたのは何故か?
柊子が夢で犬になるのは何故か?
下駄箱の上に座つてゐる老婆の幽靈は、いつたい・・・
「虚構通信」
柊子のもとに電話がかかつてきた。
相手は夏美の友人だといふ、内木田しのぶ。
どうやら、銀子のすぐ下の妹、卯子が手首を切つて自殺したことに關係があるやうなのだが・・・
「空とぶマコト」
柊子は銀子と台灣に旅行することになつた。
お孃さま育ちの銀子と旅行するなんて無謀だといふ夏美の意見も聞かずに。
行きの飛行機の中での迷惑なカップル。
いかにも我が儘な女性と、その彼女に振り囘されてゐる男といふ圖式なのだが、どうも妙だ。
「子どもけんか」
銀子の父が倒れてしまひ、銀子は實家に歸ることになつた。
家を引き拂ふので柊子も出て行かなくてはならない。
銀子に料理を教へることで精根盡き果てる柊子。
夏美と龍郎と3人で花見に行つたとき、夏美と龍郎が些細なことでけんかをする。
その些細なことは、しかし、不思議な謎でもあつた。
柊子と龍郎の關係を暗示する、春らしい暖かさを感じさせる終はりかたである。
コージィ・ミステリーといふカテゴリがある(らしい)。
ここちよいミステリーとでもいふのだらうか。
若竹七海の作品を評するのによく使はれてゐる言葉だ。
本書は、まさにこの言葉が相應しい。
日常の謎をめぐり、のほほんとした雰圍氣のなか、さりげないユーモアとともに謎解きがなされる。
眉間に皺を刻むことなく、讀者ものんびりと樂しむことができる。
若竹七海の世界を樂しむには持つて來いの作品だと思ふ。
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