『阪急電車』 有川浩
【お薦め度】 ☆☆☆☆
2011年4月7日讀了
讀み了へた時、ほのぼのと倖せな氣分になれる本。
この本は、ひと驛ごとに小さなドラマが描かれる連作短篇集で、そのそれぞれに主人公が登場する。
しかも、その主人公たちはそれぞれのドラマを通じてお互ひに關係を持つやうになる。
舞臺は阪急電車の今津線。
今津線といふのは、寶塚驛から今津驛をむすぶ路線で、途中に西宮北口驛がある。
この今津線が變つてゐるのは、寶塚から西宮北口までと、西宮北口から今津までが繋がつてゐないこと。
寶塚から今津へ行かうとすると、西宮北口で降りて階段を登り、廣いコンコースを端から端まで歩いて階段を降りないといけない。
この小説では、寶塚から西宮北口までの8驛、時間にして約15分の間に起きるドラマが描かれてゐる。
ひとつひとつのドラマがほのぼのとしてゐることもさることながら、その主人公たちのキャラクターがたまらなく魅力的なのだ。
みんないいけれど、私のお氣に入りはゴンちやんこと美帆。
その純朴さは、いまの時代には奇跡のやうな存在だ。
鮮烈な印象を受けるのは翔子。
彼を寢とられた復讐は純白のドレス。
これは視覺的にも鮮やかだ。
さういへば、この作品、映畫になつたらしい。
4月23日に關西では全國に先驅けて上映されるとのこと。
これは是非、見にいかねば。
以下、ストーリーについて言及してゐますので、自己責任でお讀み下さい。
<西宮北口方面行き>
寶塚驛:同じ圖書館の利用者、征志とユキの戀の始まる瞬間。
寶塚南口驛:白いドレスを着て電車に乘つて來た翔子の呪ひ。大學生の戀の始まりを目撃し、やだな、いいもの見ちやつたと呟き、小さな女の子に「花嫁さん」と云はれて涙がこぼれる・・・
逆瀬川驛:孫娘と犬を見に行つた歸りの時江。驛の階段で男女の戀の始まりを目撃。
孫娘がかけた言葉に涙をこぼした純白のドレスの女性に聲をかける。「討ち入りは成功したの?」
小林(おばやし)驛:時江に「いい驛だから」と勸められて降りた翔子は、この驛でツバメを暖かく見守る町の人の氣持ちに瘉され、「討ち入りは終はつたのだ」と思ふ。
仁川驛:ミサとカツヤの別れ。白いドレスの女性についてミサがカツヤに説明してゐるうちにカツヤがキレて仁川で降りる。引きずられて降りたミサに時江が聲をかける。「下らない男ね。やめておけば?苦勞するわよ」
甲東園驛:仁川から再び電車に乘つたミサの近くに女子高生たちが乘込んでくる。彼女たちの話を聞いてゐると、彼女たちのひとり「えっちゃん」はミサよりずつといい戀をしてゐる。ミサは別れようといふ氣持ちを固めた。
門戸厄神驛:素朴な大學1囘生、圭一とゴンちやんこと美帆の出會の物語。 「A boy meets a girl」ストーリー。この美帆ちやんが奇跡のやうに可愛い!
西宮北口驛:「彼女彼氏ゐない歴=年齡」の圭一と美帆ちやんがいよいよタコ燒き屋で初デート?
<寶塚方面行き> ・・・半年ほどあとのお話
西宮北口驛:信じられないほどに非常識なオバサンたち。空席に座らうとした若い女性の直前にバッグを放り投げて座席を確保する。
怒鳴りつけようとしたミサを制して、その女性は囁く。「素敵なブランドが台なしね」
ミサも吐き捨てた。「信じられへん。おばさんってサイテー」
ミサはカツヤと別れるのに親友の兄の力を借りてやうやく別れることが出來たらしい。
門戸厄神驛:非常識なおばさんグループに屬してしまつてゐる伊藤康江。そのことがストレスとなつてゐて、激しい胃痛に襲はれる。
介抱してくれたのは隣席の女子大生(ミサ)だつた。「あの人らと付き合うん、やめといたら?」
甲東園驛:女子高生の悦子(えっちゃん)の戀。漢字の讀めない社會人の彼氏、こんないいヤツがゐることも奇跡的だ。「バカでも大好き!」
仁川驛:圭一と美帆の戀。初めてのキスと初めての經驗。いいなあ、この二人。デコピンにおでこをさする美帆ちやんに胸キュン。
小林(おばやし)驛:その後、この驛に引つ越して來た翔子。バッグで席を奪はれたのは翔子だつた。
イジメに合ひながらも誇りを失はない小學校低學年のショウコとの出會ひ。
非常識おばさん事件で會話を交はした女子大生(ミサ)との再會。友達がひとり増えさうな豫感。
逆瀬川驛:またもや非常識なおばさんグループが登場。今囘彼女らに對抗するのは、ミニチュア・ダックスを飼ふことにした時江と、征志とユキのカップルだつた。
「人間は得ですよね。犬よりうるさくても犬みたいにケージに入れられなくて濟むんですもの」
「券賣機でモラルは賣つてへんからなあー」
寶塚南口驛:征志とユキの戀。最後の後押しをしたのは、土佐の地酒「桂月」だつた。
寶塚驛:小林に部屋を搜して一緒に住まうといふ征志。「いい部屋が見つかるといいね」征志の手を握るユキ。
【お薦め度】 ☆☆☆☆
2011年4月7日讀了
讀み了へた時、ほのぼのと倖せな氣分になれる本。
この本は、ひと驛ごとに小さなドラマが描かれる連作短篇集で、そのそれぞれに主人公が登場する。
しかも、その主人公たちはそれぞれのドラマを通じてお互ひに關係を持つやうになる。
舞臺は阪急電車の今津線。
今津線といふのは、寶塚驛から今津驛をむすぶ路線で、途中に西宮北口驛がある。
この今津線が變つてゐるのは、寶塚から西宮北口までと、西宮北口から今津までが繋がつてゐないこと。
寶塚から今津へ行かうとすると、西宮北口で降りて階段を登り、廣いコンコースを端から端まで歩いて階段を降りないといけない。
この小説では、寶塚から西宮北口までの8驛、時間にして約15分の間に起きるドラマが描かれてゐる。
ひとつひとつのドラマがほのぼのとしてゐることもさることながら、その主人公たちのキャラクターがたまらなく魅力的なのだ。
みんないいけれど、私のお氣に入りはゴンちやんこと美帆。
その純朴さは、いまの時代には奇跡のやうな存在だ。
鮮烈な印象を受けるのは翔子。
彼を寢とられた復讐は純白のドレス。
これは視覺的にも鮮やかだ。
さういへば、この作品、映畫になつたらしい。
4月23日に關西では全國に先驅けて上映されるとのこと。
これは是非、見にいかねば。
以下、ストーリーについて言及してゐますので、自己責任でお讀み下さい。
<西宮北口方面行き>
寶塚驛:同じ圖書館の利用者、征志とユキの戀の始まる瞬間。
寶塚南口驛:白いドレスを着て電車に乘つて來た翔子の呪ひ。大學生の戀の始まりを目撃し、やだな、いいもの見ちやつたと呟き、小さな女の子に「花嫁さん」と云はれて涙がこぼれる・・・
逆瀬川驛:孫娘と犬を見に行つた歸りの時江。驛の階段で男女の戀の始まりを目撃。
孫娘がかけた言葉に涙をこぼした純白のドレスの女性に聲をかける。「討ち入りは成功したの?」
小林(おばやし)驛:時江に「いい驛だから」と勸められて降りた翔子は、この驛でツバメを暖かく見守る町の人の氣持ちに瘉され、「討ち入りは終はつたのだ」と思ふ。
仁川驛:ミサとカツヤの別れ。白いドレスの女性についてミサがカツヤに説明してゐるうちにカツヤがキレて仁川で降りる。引きずられて降りたミサに時江が聲をかける。「下らない男ね。やめておけば?苦勞するわよ」
甲東園驛:仁川から再び電車に乘つたミサの近くに女子高生たちが乘込んでくる。彼女たちの話を聞いてゐると、彼女たちのひとり「えっちゃん」はミサよりずつといい戀をしてゐる。ミサは別れようといふ氣持ちを固めた。
門戸厄神驛:素朴な大學1囘生、圭一とゴンちやんこと美帆の出會の物語。 「A boy meets a girl」ストーリー。この美帆ちやんが奇跡のやうに可愛い!
西宮北口驛:「彼女彼氏ゐない歴=年齡」の圭一と美帆ちやんがいよいよタコ燒き屋で初デート?
<寶塚方面行き> ・・・半年ほどあとのお話
西宮北口驛:信じられないほどに非常識なオバサンたち。空席に座らうとした若い女性の直前にバッグを放り投げて座席を確保する。
怒鳴りつけようとしたミサを制して、その女性は囁く。「素敵なブランドが台なしね」
ミサも吐き捨てた。「信じられへん。おばさんってサイテー」
ミサはカツヤと別れるのに親友の兄の力を借りてやうやく別れることが出來たらしい。
門戸厄神驛:非常識なおばさんグループに屬してしまつてゐる伊藤康江。そのことがストレスとなつてゐて、激しい胃痛に襲はれる。
介抱してくれたのは隣席の女子大生(ミサ)だつた。「あの人らと付き合うん、やめといたら?」
甲東園驛:女子高生の悦子(えっちゃん)の戀。漢字の讀めない社會人の彼氏、こんないいヤツがゐることも奇跡的だ。「バカでも大好き!」
仁川驛:圭一と美帆の戀。初めてのキスと初めての經驗。いいなあ、この二人。デコピンにおでこをさする美帆ちやんに胸キュン。
小林(おばやし)驛:その後、この驛に引つ越して來た翔子。バッグで席を奪はれたのは翔子だつた。
イジメに合ひながらも誇りを失はない小學校低學年のショウコとの出會ひ。
非常識おばさん事件で會話を交はした女子大生(ミサ)との再會。友達がひとり増えさうな豫感。
逆瀬川驛:またもや非常識なおばさんグループが登場。今囘彼女らに對抗するのは、ミニチュア・ダックスを飼ふことにした時江と、征志とユキのカップルだつた。
「人間は得ですよね。犬よりうるさくても犬みたいにケージに入れられなくて濟むんですもの」
「券賣機でモラルは賣つてへんからなあー」
寶塚南口驛:征志とユキの戀。最後の後押しをしたのは、土佐の地酒「桂月」だつた。
寶塚驛:小林に部屋を搜して一緒に住まうといふ征志。「いい部屋が見つかるといいね」征志の手を握るユキ。
![]() | 阪急電車 (幻冬舎文庫) |
有川 浩 | |
幻冬舎 |
映画、どうなんでしょう?
実際にビジュアルとして見てみたい気持ちもあるんですが、
もう脳内でしっかりとキャストが出来上がってしまったので
見てガッカリしないかなという不安が無きにしもあらず(笑)
…大阪弁、ちゃんとしゃべってくれるんかしら?
翔子は予告で姿を見てしまってからの読破だったので、中谷美紀さん脳内大活躍でした。
仙丈さんの映画感想、お待ちしております(笑)
あの、現代における「生きてゐる化石」のやうな、奇跡の純朴さを、いつたい誰が演じるのか、演じられるのか・・・
觀にいつたら感想を書きますね!
またよろしくです♪
こちらこそ、よろしくお願ひします。
今津と宝塚、昔は1本のレールでつながっていました。阪急西宮北口には、全国でもめずらしい、レールが井桁に交差しているところがありました。
神戸線が分斷してしまつたのでせうか・・・
甲子園に行く時に、コンコースを急いで歩かなくてはならないので不便です。
接續の惡い時は目の前で電車が出ていつてしまつたり・・・