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仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

生還!

2010-12-14 22:00:37 | 日々雜感
13日午前0時44分。
何故か私は螢池で下車してゐた。
ホームで驛員に尋ねたら、降りた電車が終電だといふ。
仕方なく、私は驛を出て、國道176號線を歩き始めた。
幸ひなことに、すぐタクシーを拾ふことが出來た。

自宅が近づいて、ザックの中から財布をとり出さうとしたら、財布がない。
いつたいどうしたことだ。
やむなく、タクシーに待つてゐて貰ひ、家に入つて1萬圓札をとつて來て代金を支拂つた。

13日午後5時。
私は、最後に飮んでゐた店に電話をかけた。
午後5時にオープンし、翌午前3時までやつてゐる店だ。
しかも年中無休。
しかし、呼出音はすれども誰も出ない。
午後8時までの3時間、私は10分から20分おきに電話をかけた。
さらには午後11時。
そして本日午前1時。
誰も出ない。
いつたい、どうなつてゐるのだ、この店は!

財布をなくしたとすれば、可能性は2つ。
1つは、この最後に飮んだ店。
勘定を拂つた後で、コートを着るなどしてゐるうちに財布を置き忘れたといふケース。
もう1つは阪急電車の中。
いかなる状況かは理解しかねるが、とにかく車中で財布を取り出し、そのまま置き忘れたケース。
後者は考へにくいので、ひたすら最後の店に電話をかけたわけだ。

この店には電話が通じない。
とすれば、あとは直接出向いて確認するしかない。
私はその覺悟を決めた。

本日午前8時30分。
店に行くのは午後5時以降になるので、その前に念のため阪急の遺失物センターに電話をした。
電車の中で財布と小錢入れを取り出すことなど考へにくいが、あくまでも念のため。

「あのう、財布と小錢入れを置き忘れたかもしれないのですが・・・」
「どのやうな財布ですか?」
「モスグリーンの革の長財布と、黒の革の小錢入れです。あ、小錢入れは艷のある革でファスナーで閉ぢるタイプです」
「なくされたのは、いつ、どの電車ですか?」
「梅田發最終で、螢池まででなくしたと思はれます」
「お名前は?」
「仙丈です」
「はい、屆いてますよ」
「え?」

なんと!
無事に遺失物センターに屆いてゐるといふのだ!
現金もちやんと入つてゐるといふ。
これは奇跡に近い。
喜び勇んで引き取りに行つた。
現金も無事、カードも無事、コンビニのレシートまで無事だつた。
拾つた人が驛員に屆け出たのが13日の午前0時から1時の間といふことなので、カードを使ふことの出來る時間ではない。
つまり、何もかも無事だといふことだ。

我が財布&小錢入れよ、よくぞ無事に生還してくれた!
拾つて下さつたかたには、感謝の言葉もない。
名前を告げてくれてゐなかつたので、どこのどなたかもわからない。
お禮をしたくても出來ないのが殘念だ。

以前、同じやうなことがあつた時には、財布が出てこなかつただけでなく、カードで10萬圓近くもの新幹線のチケットを買はれてゐた。
カードをストップする手續きをしたので、使はれた分も補償されて事なきを得たが、イヤな氣持ちは殘つた。
日本人の道徳心は地に墮ちたか、と齒ぎしりしたものだ。

今囘はその逆で、日本人もまだまだ捨てたものではないと感動。
いや、我ながら現金なものだと呆れてしまふ。
いやいや、それ以上に呆れてしまふのは、己れの學習能力のなさである。
前囘財布をなくした(正確には泥醉して眠つてゐる間にバッグごと盜まれたのだが)のは2年半前。
わづか2年半しか經つてゐないのに、またこのていたらく。
馬鹿は死ななきや治らない、とはこのことか。
情けないなあ。




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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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良かったですねぇ (たかはし かずき)
2010-12-15 09:32:14
>カードで10萬圓近くもの新幹線のチケットを買はれてゐた

これはえげつないですね 
読んでてビックリしました。
タチが悪すぎる。

世の中には名も告げないシャイな善人もいれば、
ここぞとばかりに悪事に走る輩もおるんですねぇ…

あたしならきちんと届けますけど、住所と名前はバッチリ記載しますよ(笑)
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たかはし かずき さん (仙丈)
2010-12-15 14:03:04
阪急電車で拾つてすぐに近くのJRの驛で新幹線のチケットを買つたやうです。
一度に10萬圓までしか買へないやうになつてゐるらしいですね。
それにしてもひどいヤツがゐたものです。
それにひきかへ、今囘拾つて屆けてくれた人は天使のやうなかたです!
お禮したいんですけどねえ・・・

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