賣布神社からの歸り、ポツンと置かれたベンチをみつけた。
合成樹脂で出來た安つぽいものではなく、木と鐵で出來た立派なものだ。
デザインも良い。
こんなベンチにはどんな人が似合ふのだらう。
若い女性がリルケかハイネの詩集を讀んでゐる?
初老の男が放心したやうに座つてゐる?
カップルが倖せさうに肩を寄せ合つてゐる?
しかし、いまこのベンチには誰もゐない。
その存在すら忘れ去られたかのやうに、ベンチはひつそりと佇んでゐる。
これから先、どんな人がこのベンチに腰をおろすのだらう。
落ち葉の散り敷くベンチを眺めながら、そんなことを思つた。
<使用カメラ:Canon PowerShot G11>
しかし、見事です。ベンチひとつで、これだけのことが書けるとは。
ブランコほどのインパクトはないかもしれませんが、いい感じですね。
このベンチ、いまの自分と重ね合はせて見えてしまひ、シャッターを切りました。