仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

ベンチ

2010-12-14 08:58:02 | 寫眞日記




賣布神社からの歸り、ポツンと置かれたベンチをみつけた。
合成樹脂で出來た安つぽいものではなく、木と鐵で出來た立派なものだ。
デザインも良い。

こんなベンチにはどんな人が似合ふのだらう。
若い女性がリルケかハイネの詩集を讀んでゐる?
初老の男が放心したやうに座つてゐる?
カップルが倖せさうに肩を寄せ合つてゐる?

しかし、いまこのベンチには誰もゐない。
その存在すら忘れ去られたかのやうに、ベンチはひつそりと佇んでゐる。
これから先、どんな人がこのベンチに腰をおろすのだらう。
落ち葉の散り敷くベンチを眺めながら、そんなことを思つた。







<使用カメラ:Canon PowerShot G11>








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2 コメント

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生きる (雫石鉄也)
2010-12-14 10:15:47
黒澤の「生きる」の主人公、志村喬の渡辺が座ったら似合いそうですね。
しかし、見事です。ベンチひとつで、これだけのことが書けるとは。
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雫石鉄也さん (仙丈)
2010-12-14 11:56:15
ああ、似合ひさうですね。
ブランコほどのインパクトはないかもしれませんが、いい感じですね。
このベンチ、いまの自分と重ね合はせて見えてしまひ、シャッターを切りました。
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