今日、7月3日は。
旧暦では、六月、水無月の朔(ついたち)。
そして、水無月の一日は「氷の節句」だ。
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旧暦六月朔日を「氷の節句」という。
またの名「氷の朔日」。
室町時代には幕府や宮中で年中行事とされていた。
この日、御所では「氷室(ひむろ)」の氷を取り寄せて、氷を口にして暑気を払った。
「氷室」とは冬の氷を夏まで保存しておく所。
地下など涼しいところを利用して作られた、昔の冷蔵庫のような場所。
京都・北山には「氷室」という地名もあり、今でもその氷室の跡が残る。
この北山の氷室から宮中に氷が献上されたと『延喜式』に記され、宮中では氷室の氷の解け具合によってその年の豊凶を占ったともいう。
当時、“氷室の氷を口にすると夏痩せしない”と信じられ、臣下にも氷片が振舞われた。
しかし、庶民にとっては夏の水はとても貴重で、ましてや氷など簡単に食べられるものではなかった。
そこで、宮中の貴族にならって氷をかたどった菓子が作られるように。
それが和菓子「水無月」。
水無月の三角形は氷室の氷片を表したもの。
上の小豆には悪魔払いの意味が込められている。
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という訳で。
みなさん。
今日、氷を食べてみません?
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冬の間に天然の氷を切り出して、氷室に詰めて、貯蔵する。
そんな氷を夏に頂けるなんて、有難いことだな。
(それに比べて、365日・24時間、コンビニにはいつでもアイスクリームが冷えている、だなんて、なんて貧しいことだろう? …
行き過ぎた便利は下品だ)
幸い、僕の住む家の近くにも、仕事場の近くにも「氷室」の看板を掲げた店がある。
いまどき、「氷室」を職業にしている、って貴重だよなあ。
個人商店、バンザイ!
(でも今時の「氷屋さん」の多くは、製造も・貯蔵も電気冷蔵庫なんだろうなあ)
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または、「水無月」を食べよう。
中世京都の市居のひとたちと一緒に、氷室の氷を模した和菓子を食べよう。
僕は、今日、お茶と一緒に食べますよ。
それから、旧暦の六月末日(今の暦で言うと今年は7月31日)にも。
旧暦の六月末日にこそ、水無月を食べよう、と思っています。
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