***
おしゃまさんは、そういわれると、かたをすくめていいました。
「どんなことでも、自分で見つけださなきゃいけないものよ。そうして、自分ひとりで、それをのりこえるんだわ」
***
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「春のしらべ」 大人のための絵本図書館・番外編
「にゅう」って、知ってる?
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ちいさなお山の名前。
南北に長い八ヶ岳連邦の中ほど、主脈を東に分けた尾根にあって。
僕は、以前、歩いたことがあった。
その山名はなんとも変わっていて。
地図によっては「にう」と書いたり、カタカナで「ニュウ」と書いたり。
漢字ではどう書くんだろう?
丹生?とか?
第一、「~山」とも「~岳」とも言わないなんて。
変な名前だ、と思っていた。
---
白駒池の周りの苔むす森を歩いていると。
木道が、山の方へ分岐していて。
看板が目に飛び込んできた。
***
← 乳(ニュウ) <クリックすると画像>
***
---
えっ?
乳(ニュウ)?
…意外だった。
---
「乳」かあ…。
ようやく漢字表記が判ったのだけれど。
なんだか釈然としない気持ち。
それでも、その時すっかり苔に夢中になっていた僕は、とにかく、先を歩いた。
---
開けた池のほとりまで来て。
振り返って「にゅう=乳」の方を眺めてみる。
以前に登った、その山は。
苔の森から続く静かな森が、なだらかな斜面をなしていて。
その頂上付近だけは、ゴツゴツとした岩場が突き出ていた。
なだらかにふくらむ稜線に。
岩場がちょこんと突き出ている。
・・・なだらかなふくらみに、ちょこん・・・
…あ。
---
山。
ゴツゴツと険しくて、天を突くような、いかにもカッコイイお山。
そんなお山には、往々にして「~岳」「~峰」「~嶺」なんていった、ガッツリした、名前が付いている。
峻厳。雄々しさ。
一方で。
たおやかでやさしい美しさをもったお山もある。
そうしたお山は、なだらかな稜線、ほの暗い森、柔らかな光、潤う水、輝く命たちを内包して、静かに佇んでいる。
柔和。ふくよかさ。
“美しいヒト”。
---
あの山は、にゅう。
そうか。
優しいあのお山は、「にゅう」か。
名付け親は、きっと、山に入り、山を生きた、粗野かつロマンティストな、男衆だろうな…。
雄々しい山に挑むのも男なら。
優しいお山に抱かれる夢を見るのも、また、男なのかな。
************
追記:
今回のお話は、僕の大切な趣味:山歩き中の物思い(妄想)。
「乳(にゅう)」の山の名について、正確な由来をご存知の方、どうぞお知らせ下さい。
コメント、お待ちしています。
追記2:
山歩き、登山をするひとの中には、「ピークハンター」とでもいうようなタイプの人がいる。
頂を極めることにこだわる。
山が険しければ険しいほど燃える、とか。
「今年こそ穂高をモノにするぞ」とか。
「100名山を制覇しました」とか。
「7大陸最高峰を征服」とか。
ひとそれぞれ、好き好きだから、もちろんそれもよし。
でも。
僕は、違うな。
険しいお山の登り下りも楽しいけれど。
お山の頂上から眺める景色は素晴らしいものだけれど。
時には山頂直下で引き返してもいい。
険しい山と対峙しようとも思わない。
自然を「征服」、だなんてゾッとしちゃう。
お山に。
森に、沢に、木々に、苔に。
しっとりと柔らかく、暗く湿った、その深みに分け入って。
山に抱かれて。
その恵みに預かって。
やさしいお山に遊んだり、やさしいお山に遊ばれたりするのも、僕は好きだな。
追記3:
参考図書
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追記4:
以前、通っていたクラブに、顔馴染みがいた。
彼はスリムでベイビィ・フェイスで。
いつもクールでナイス。
そして、いつも可愛いコを連れていた。
だいぶ年上だったけれど、なぜかウマが合って、いつも他愛のない話をした。
ある晩のこと。
僕が連れていた彼女がドリンクを取りに行った隙に。
僕の耳元で、彼は言った…
<つづきは別のページにて…クリック!>
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「大柄な女はいいよ」 (巨女崇拝など)
***
可勤之一日可貴之一日也
不勤之百年可恨之百年也
嗚呼可恐可慎
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***
「もったいない」という言葉。
(なんだか、急に取り沙汰されたりして、変な感じもするけれど。)
それは、モノについてだけ言うのではないはず。
時間。
生。
命。
もったいない日々を、費やしてはいまいか?
***
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新暦では、12月に入った。
いよいよの冷えこみ。
朝には、道場の床。
昼には、風。
夜には、月。
そうしたものたちが。
僕を叱る。
---
関連記事:
5Rs of Mottainai ~もったいない五箇条と五戒文など
懺悔文 ~カミング・アウトのすすめ
雨もあがって、いい朝だ。
行程にも余裕があるし、
のんびり歩きたいから。
白駒池をひとまわり、歩いてみる。
白駒荘の前を過ぎたら、高見石への道でなく、池のほとりの小道に入る。
吸い込む空気もしっとりとした、青緑の森の中を行くと。
それはそれは、素晴らしい。
苔。
とりわけ、「にゅう」への分岐から青苔荘(*名前からしてもう!)へ向かうあたり。
木道の足元に、両側に、雨上がりのみずみずしい緑が広がる。
雨あがりの苔の微妙な色調は、なんともなんとも。
かおちかづけて、よーくみてみる。
うーん。
その色は、その輝きは、その繊細さは、その力強さは、その静けさは…。
薄暗い森の中、カメラなどではなかなか捉えがたいな。
言葉でも、僕なんかには、言い表せないや。
なんでも、自分の目でみるのが一番。
はて。
それにしても。
以前歩いたときとは、ドコカシラ、ナニカシラ、感じが違うな。
あれは9月の11日のことだった。
今は、10月も下旬。
緑の苔の上に、赤茶色の針葉が積もっている。
そう。
ハイランドの季節は早い。
白駒池が凍りつくのも、もうすぐなのだ。
***
【シリーズ】北八ヶ岳メモから
【シリーズ】「よーくみてごらん。」
目を覚ますと、雨もあがっていて
山の冷気が気持ちのいい朝
よく寝た
朝食を済ませたら
山小屋に荷物を置いたまま
車を少し走らせる
林道に入って
針葉樹の森を10分ほど歩くと
白駒池
標高2115mの、山の上のみずうみ
青苔荘は、客もなく、閉まっていた
桟橋に出てみる
風のない朝、波も穏やか
時折
舫ってあるボートの軋む音
岸づたいの木道を歩く
湖面が空を映している
朝、8時
おととしにも来た場所で
ひとり
しばらく、眺めている
(・・・素晴らしい日を、日日を・・・)
---
【シリーズ】北八ヶ岳メモから
長い峠道を登りきると。
草の庭が広がる場所に出る。
麦草峠。
南北八ヶ岳のほぼ中ほど。
茅野側と佐久側とから車道が通じる、登山口。
雨の中、三角屋根の小屋に着いたのは、なんとも寂然とした、夕暮れ前。
テントは車にしまったまま、今夜はここに泊まることに。
ストーブが焚かれていた。
熱いお茶を一杯頂く。
小屋裏の大部屋に通されたけれど。
客は僕1人だ。
風呂に入って。
6時に夕飯を頂いたら。
やることもない。
親父さん手作りの果実酒をなめながら。
ノイズ混じりのNHKで、明日からの天気を占う。
寝床へ上がって。
山歩きの荷物の確認。
寝袋に包まりながら。
地図を広げて、ルートを決めて。
消灯時間の前に、寝てしまおう。
外は雨風が強いから。
星はお預けだな…。
***
【シリーズ】 LIVE!北八ヶ岳
峠へと駆け上がる道は、もう晩秋、そして、冬だった。
白樺は葉を落としていた。
冷たい雨の降るハイランドの静けさは、ここが僕の場所ではないことを教えてくれる。
ふと。
山を下りたら、「尖石遺跡」を訪ねたい、と思った。
***
【シリーズ】 LIVE!北八ヶ岳
山へとみちを。
走っていく。
清里を抜け。
南牧村あたりを過ぎる。
と。
!!!
車を農道に突っ込み。
Uターン。
牧場の脇に。
車を停めて。
見事な紅葉!!!
広々とした牧場。
吹き渡る風が冷たい。
車に乗り込んで。
道沿いの店に寄って。
温かい飲み物を買って。
冷えた体を暖めて。
また、走っていく。
***
【シリーズ】 LIVE!北八ヶ岳
ツリーハウスに会いに行った後。
もう一箇所、足を伸ばしてみる。
---
清春白樺芸術村
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円形の古い建物と、桜の樹が立派。
---
庭の隅に、なんか建っていた。
茶室 徹(てつ)
---
うーん。
茶室?
うーん。
ツリーハウス?
うーん。
---
雑誌かなにかで知ってはいて。
実物をみてみよう、と思ったのだけれど。
なんともいえない感じがした。
登って、室内に座ってみると、また違った気持ちになるかな?
---
トーダイの藤森センセーとお仲間が作った、とか。
その人たちは、どんなところで育って、どんなところに住んでいるのかな?
---
ちょっと変なきもちになった原因は。
実は、ちょっとしたことかもしれない。
芝生にロープの柵がしてあって、看板が立っていた。
「さくのなかにはいらないでください」
“スナフキンの盟友”を自認する僕は。
ムッときて、危うく、全部引っこ抜きそうに。
ちょうどその時、近くに“フルムーン”なご夫婦がいてくれたのは、幸いだったかも。
---
入口の門の脇に。
“移動式デッサン・カー”
なるものが停まっていた。
どこにでも出かけていって絵が描ける、んだそうだ。
なんだか、とっても。
白樺ぁ~ん。
---
すっかり気を取り直した僕は。
一路、今夜の宿を求めて。
小雨の中を、八ヶ岳山中へ…。
***
【シリーズ】 LIVE!北八ヶ岳
高速を須玉で下りて。
小さなガソリン・スタンドに寄ってから。
寄り道する。
長坂。
オオムラサキ・センター。
---
ツリーハウスに会いに。
車を停めて。
斜面を降りていくと。
見えた。
森に浮かぶ、小さな小屋。
---
遠足の小学生たちが群がる。
トム・ソーヤとハックルベリィ・フィンは、いつでも、育っている。
---
静かになるのを待って。
ゆっくりと、近づく。
“建物の設計では、アプローチも重要だ”
といったのは、どの建築家だったかな?
僕かも。
大きな木の周りを、ぐるーり、とひと回りしてみる。
それぞれの表情が、それぞれにキレイだな。
ここだ、と決めて、少しずつ、斜めに近づいてみる。
(*画像 1 2 3 )
---
“君のことなら、必ずキレイに撮る自信があるんだ”
といったのは、どの写真家だったかな?
俺かも。
いや。
そりゃ、当たり前の話だ。
写真とは、そういうものだろう。
---
ファインダを覗くのもイヤになって。
近づいていく。
まじまじと眺める。
よーくみてみる。
---
見上げる。
小屋の上に。
枝々が伸びる。
空が広がる。
---
登ってみる。
階段に。
手すり。
皮付きの柵。
ロープ。
やがて朽ちていく部材。
---
樹の幹には。
しっかりと、スチールのボルトが打ち込んであった。
その輝きが、とても眩しかった。
---
僕は。
しばらく。
サルになって。
トリになって。
地上十数メートルの景色を眺めていた。
---
冷たい風が吹いて。
僕は、土の上に降りて。
そのツリーハウスにさようならを行って。
旅に戻った。
---
【シリーズ】 LIVE!北八ヶ岳
中央高速を下って。
甲府盆地を過ぎると。
右手に。
なだらかなカーヴを描く。
八ヶ岳の南の裾野。
太古の噴火以前には、富士山よりもずっと高かった、という、その名残。
向かう峰々は、雲の中に。
ウィンドウに小雨が弾けている。
---
【シリーズ】 LIVE!北八ヶ岳
9月11日。
この日は。
僕らにとって。
重要な日であったらしいね。
だがねえ。
9月12日という日も、同じように重要なんだよ。
むしろ。
9月12日という日こそが、大切なんだね。
今日はいい天気だ。
↓
↓
↓
(コメント欄 「上手に思い出すことは難しい」 へ続く)
この日は。
僕らにとって。
重要な日であったらしいね。
だがねえ。
9月12日という日も、同じように重要なんだよ。
むしろ。
9月12日という日こそが、大切なんだね。
今日はいい天気だ。
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(コメント欄 「上手に思い出すことは難しい」 へ続く)
『空をみるひと』データベース (Yahoo! Photos)
フォトアルバム→旅のノオト→200508yatsugatake
八ヶ岳。
タープ泊。
献茶式。
岩稜。
コマクサ。
山小屋。
夕立。
夜明け。
峠。
尾根道。
山頂。
雲海。
露天風呂。
海。
竹林。
蓮池。
旅のあしあと、たどってみる?
フォトアルバム→旅のノオト→200508yatsugatake
八ヶ岳。
タープ泊。
献茶式。
岩稜。
コマクサ。
山小屋。
夕立。
夜明け。
峠。
尾根道。
山頂。
雲海。
露天風呂。
海。
竹林。
蓮池。
旅のあしあと、たどってみる?
赤岳山頂で
天狗岳の上で
岩に腰掛けて
雲海を眺めていたら
不意に
海が見たくなって
今
湘南鎌倉由比ガ浜
砂浜に寝そべっている
ビーチはビキニとビーチサンダル
肌を灼く日差し
雲が湧いている
風は海から吹いて
潮騒の音が聞こえる
標高差2,899メートル
どこだって、おんなじさ。
天狗岳の上で
岩に腰掛けて
雲海を眺めていたら
不意に
海が見たくなって
今
湘南鎌倉由比ガ浜
砂浜に寝そべっている
ビーチはビキニとビーチサンダル
肌を灼く日差し
雲が湧いている
風は海から吹いて
潮騒の音が聞こえる
標高差2,899メートル
どこだって、おんなじさ。