知り合いが、出張のお供として購入したはずの「
亡国のイージス(上巻)」を一晩で読みきってしまい、帰国と同時に本屋さんを捜し求め「
下巻」を購入し、これまた一晩で読んでしまったと聞いたのです。内容的に男性ならではのはまり方なのかなと思いつつ「上巻」を借りたのです。何気なく読み始めたところ、久しぶりに睡眠時間を削ってでも読み続けたい!という衝動にかられ・・・。お盆の時期でしたので仕事がそれほど忙しくないことが幸いしました。
『...職人気質に裏打ちされた技術力と長年培ってきた奉公という美徳の発露によって、日本は戦後、驚くべき速度で復興を為し遂げた。が、奉公という美徳の裏側には、組織の中に埋没する人間性、その結果として生じる無思考、無責任、無節操という影があることを、我々は無視しすぎてきたのではなかったか。...誰も責任を取らない平和論や、理想論に基づいた合理的経済理論では現在の閉塞を打ち破ることは出来ない。...現状では、イージス艦を始めとする自衛隊装備は防御する国家を失ってしまっている。亡国の楯。それは国民も、我々自身も望むものではない。必要なのは国防の楯であり、守るべき国の形そのものであるはずだ。...』
自衛官への道を歩み始める防大生が実名で自衛隊体制を批判する内容の論文を掲載、在日米軍基地で未曾有(みぞう)の惨事が発生。最新のシステム護衛艦「いそかぜ」は、真相をめぐる国家間の策謀にまきこまれ暴走を始める。交わるはずのない男たちの人生が交錯し、ついに守るべき国の形を見失った楯(イージス)が、日本にもたらす恐怖とは・・・。
原作はとても良かったです!
原作が非常に良い場合、映画を観るべきなのかどうか・・・。悩んだあげく、原作を読んで得た「感動」を忘れて、期待値をリセットして映画館に出向いたのです。しかし・・・、結果は散々たるものでした。大事な場面を全てカットしており、誰が何のために決意した行動なのかが伝わってこないのです。原作を読んでいた私は、気がつくと映し出されている場面に対し、原作のストーリーを照らし合わせているのです。緊張感高まる場面でも、全体的に危機感が伝わってこないのです。
原作を読まずに映画を観られた方はどう感じたのでしょうか?