100分de名著 『純粋理性批判』
第四回 自由と道徳を基礎つける
理性の能力の限界を厳しく吟味すると「神の存在」や「魂の不死」は証明できないことが明らかになる。
ではなぜ古来人間は、神や魂について考え続けてきたのか?
その動機の裏には「かくありたい」「かく生きたい」という「実践的な関心」があった。
「神の存在」「魂の不死」を前提としなければ道徳や倫理は全く無価値なものになると考えたカントは、
それらを「認識の対象」ではなく、実践的な主体に対して「要請された観念」だと位置づける。
この立場からカントは、科学によって居場所を失いつつあった価値や自由といった人間的な領域を基礎づけようとする。
第四回は、科学が主導権を握りつつあった世界にあって新しい道徳の復権を目指したカントの思索を通して、知識や科学だけでは解決できない「人間的価値や自由の世界」を深く見つめ直す。
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