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2017年7月14日 「海賊」 イングリッシュ・ナショナル・バレエ


イングリッシュ・ナショナル・バレエの「海賊」はボストン・バレエやアメリカン・バレエ・シアターの「海賊」を手掛けたアンナ・マリー・ホームズが担当しているということなので、だいたい話の流れはABTのものと同じだろうというのは頭では理解していたのですが(ボストン・バレエのは未見。)、、、やっぱりキーロフとかマールイなんかで見慣れたあの無駄に長い荒唐無稽な感じのが私の中ではデフォルトなんだなあと再認識してしまいました。

何かを観るときに、あれが無いこれが無いというのは、自分の感性が鈍っているようだし、あらさがしとかはね、あまりしたくないので、清い心で観ましょうと心がけてるんですが、、


ま。なんにせよ、スタンダードなものを新解釈とか、新演出するっていうのは、難しいですよねぇ。音楽だって、アレンジ変えるとだいたいが「ぶー。。。」コンサートにまで行ってるんだから、そのアーティストのことは大好きだし、アルバムとライブと別なバージョンが聴けるのはめちゃ嬉しいものの、心のどこか一か所でブーイングがあるものなんですわ。人間はわがままですぞ。

でもそんなこんなも、いろいろ世の中には満ち溢れていて、それはそれ、これはこれ、って感じに割り切って楽しむのも観客のマナー。文句があるなら見るなってんですわよ、ほほほ。


で、まあ、ENBの海賊についての「ぶー」はですなあ、、、、、冒頭の難破場面が無いとか、奴隷市場の円卓がないとか、各国の奴隷の踊りがないとか、それはいいのですわよ、ABTで見慣れてるってのもあるから、そこはわかっていたから。

だがしかーーーーーし!なんで、、フォルバン、、、ガンダンスがカットなんだよぅぅぅぅ。それは入れて欲しかったね。うむ。なんでやねん。(ABTにはありますぜ。あ、いや、最近のは知らないけど、マラーホフが嬉々としてランケデムを踊っていたころはあったよね)




同じことやってたんじゃ意味はないし、オリジナル作品があるってのは大事なことです。
誰も「海賊」については理詰めとか、理路整然とか、、客の多くは全く求めていないんだろうけども、(だいたいさ、海賊なんて、本来犯罪者なんだから。)
作ってる側や踊ってる側はなんかやりたくなるんだろうね。

いろいろ新解釈がある「海賊」だけども、、、すべてを否定しているわけではありません。例えばKバレエの「海賊」、私はあの奴隷のイヤイヤ・パ・ド・ドゥね、あれ大好きですよ。普通のバージョンの曲とは違ってめちゃくちゃギュリナーラが嫌そうで、まさにイヤイヤ・ダンスの極み。

てな文句はさておき。ENBの海賊!



ロホのメドーラ、サマースケールズのギュリナーラ、フェルナンデスのコンラッド、コラレスのアリ、マックのランケデムはほんとに素敵でした。
ロホは完全無欠の絶頂期の時とはちょっと違う感じだけど、それがかえって人間味があってちょっとホッとした。パ・ド・トロワも良かったけど、個人的にはコンラッドとのイチャコラ・パ・ド・ドゥの時が一番キラキラで素敵だった。
サマースケールズは美しくてこれからが楽しみ。
いろいろ新解釈の中で、ランケデムとギュリナーラのイヤイヤ・パ・ド・ドゥ、あれはいつもの曲なのでここでちょっとホッとするね。遭難場面なし→当然ルイバチカちゃんたちの場面無し→すぐに奴隷市場→各国の踊りカット、、、ときて、ようやくいつものこれ来ましたー!という安心感があるのよ。
で、そのランケデムはこれまた贅沢なキャスティングというか、抜群の安定感のブルックリン・マックで。テクニックもステージマナーもほかの人と全然違うというか、まあなんだ、ランケデムにしちゃあ紳士的なんだが。
正直マックを出してしまうと、コラレスのアリはきついんじゃないかと少し不安でした。彼のテクニックはものすごいけど、フランツ役で昼夜、コラレス(昼)とフェルナンデス(夜)と同日でみたときの、リード・プリンシパルとソリストの違いみたいなものを痛感していたので。
ところがですなあ、この日のコラレスのアリはすっごく良かったのよ。。。ちょっとびっくりするくらい。技術てんこもりだけども、全然俺が俺がでもなくてちゃんとアリの演技も良かったし。
終演後のプリンシパル任命も大納得のパフォーマンスでした。
フェルナンデスのコンラッドも良かった。フェルナンデスもいい意味での華麗なる大根というか(ほめてるんですよ)、これからがとても楽しみ。なんか彫刻の天使ちゃんみたいな邪気のないあの顔とかがとにかく可愛すぎて、見ていてこちらが恥ずかしくなるくらいです。(ほめてます)
オダリスクのハニュコワはちとお疲れかな?って思いました。頑張ってほしい。


ENBの来日が決まって、ああこれがもう少し前の、クリメントヴァが引退する前だったらなあと、、、彼女が来てくれたらなあと、、、ちょっと悔しい気持ちだったけども、今のこの時期の成長過程の若いメンバーの来日に立ち会えたのもこれまた面白かったかな。全体的なレベルとしては、やっぱ、ロイヤルやバーミンガムと比べるとあれれではありますが、これから期待したいですね。なんてったって、まだガンガンに踊れる芸術監督がいるんだからさ。(クリメントヴァはロイヤルが来日するときに教師でついてきてほしいなあ)
踊る芸監って、、、、いろいろあると思うんですよ。ボリショイとかみたいに「芸術監督は踊っちゃいかん」みたいな厳格な決まりがあるとことか、それはそれなりの理由があるはずで。芸術監督の仕事に集中しなさいよとか、若手のチャンスを奪ってはいかんよ、というのもあるし。
でもさ、踊る芸監、踊らなくちゃままならないバレエ団、客を呼ぶためにはほかに駒がいないんだよちくしょー!みたいなのもあるだろうから。


そういやNBSのサイト、まだ不具合続いてるんですねー。はよ直らんかいな。










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