それでも私は

私にはその夏しかなかった。
あの人は、そんな私と、私のいるこの世界を救うために、
たったひとり、誰もいない、光に充ちた世界に降り立っていった。
その世界は綺麗で、輝いていて、涙が出てくる程素晴らしいのに、
誰の手を触ることも、息吹を感じることも、温もりを感じることも出来ない。

あの人はそれでも自分自身でその地で生きていくことを決めた。
私のために、この世界のために、
そしてなにより、あの人自身のために。

実体の無い、まるで幽霊のような私は、
あの人を見守ることしか出来ない。
あの人の手を触ることも、息吹を感じることも、温もりを感じることも出来ない。

あの人の、そう彼の苦しさ、寂しさ、悲しさ、やるせなさ、
その全てを
私は見ることしか出来ない。

人前では決して見せることは無い
彼の目から流れ落ちるその涙を

拭ってあげることも出来ない。

それでも私は、陰のようなこの身で、彼の流した涙の痕を
ひとつずつ拭っていく。

この私の、この身が、彼の涙を消すことは無い。
彼の涙が止まってくれるのか、私には自身が無い。
それでも私は、彼の流した涙の痕を
またひとつ拭っていく。

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絵のネタ元は、飛行機の中で適当に見ていたサスペンスの洋画から思い付きました。

設定の元ネタはゼーガペイン。
2006年のアニメの中で文句なく(ストーリーとして)最高の出来のアニメです。
緊張感を持ちながら、いくつもの意味とメッセージが込められた伏線、
SFとして最高のラスト、よく考えられているし、ちゃんとまとめられています。

この絵と詩だけじゃ意味がわからないような気もしますが、そんときはアニメで補完してくださいw

ただ、アニメのラストシーンは解説サイトを見ないと全部の意味はわからないような......

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塗りはめちゃくちゃ手抜きです。
乗算レイヤーに薄い灰色で影を描いただけ。色の調整も一切してません...