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マイクロ波による生体の加温 1


マイクロ波による生体の加温 1


生体物理刺激と生体反応

大森 豊明 OHT技術士事務所 所長
(株)フジ・テクノシステム

URL : http://yaplog.jp/sibahara/archive/380


第3編 応用

 第10章 マイクロ波の医療への応用

 P515 より


  第1節 マイクロ波による生体の加温

  1.加温原理


  生体の70%前後は水である。水は誘電体(絶縁体)であるが、生体には電解質も存在するので導電性を有する。これに電磁波を照射すると加温することができるが、加温のメカニズムは電磁波の周波数によって異なり、周波数が低いときは電流のジュール熱による加温であり、周波数が100MHz程度を超えると誘電損失による加温となる。つまり、マイクロ波を生体に照射すると、主に水分が誘電体損失により加温される

水分子は1個の酸素原子(O)に2個の水素原子(H)が結合したものであるが、図2(a)に示すように、水素原子は偏って結合しているため、電気的に+と-に分極し、図2(b)に示すような電気双極子をなしている。


図2 水分子の構造と等価電気双極子














電場が存在しないときは、図3(a)に示すように、水の電気双極子はランダムな方向を向いている。これに電場をかけると、図3(b)のように、双極子は一定の方向に向き、逆方向の電場をかけると、図3(c)のように、双極子は逆向きになり、交番電場をかけると、双極子は交互に図3の(b)と(c)の方向を向く。
交番電場の周波数を高くすると、双極子は電場の変化に追従できなくなり分子相互の摩擦によって熱が生じる


図3 電場中の電気双極子






















これが誘電損失による加温である。

とくにマイクロ波を用いた誘電体の加温をマイクロ波加温という。

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