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「正弦波」と「ひずみ波」 : どんな波形も正弦波の組み合わせでできている

図解 携帯電話の技術とサービス

著者 : 塩田 紳二
出版社 : 技術評論社

P42~43 より

正弦波」と「ひずみ波

どんな波形も正弦波の組み合わせでできている


 正弦波は綺麗な形をした波だが、そうではない形の波もある。どちらかといえば、正弦波のような綺麗な形をした波よりも、そうでない波のほうが現実の世界では多い。正弦波ではない波をひずみ波という。実はひずみ波は、正弦波の組み合わせでできている。いろいろな周波数、振幅の正弦波を重ね合わせていく、ひずみ波ができあがるのである。例えば、デジタル信号のように角張った信号(これを方形波ともいう)も、正弦波の重ね合わせで作ることができる。方形波の周波数の1倍、3倍、5倍……と、奇数倍の周波数の正弦波を足し算していく。すると、しだいにその結果が方形波に近くなってくる。このときの振幅は、3倍のときに1/3、5倍ときに1/5とだんだん小さくしていく。数学的にいうと、無限回の足し算を行えば、方形波になる。
 このように、すべてのひずみ波は正弦波を足し合わせることで合成することができる。逆に、すべてのひずみ波は、正弦波に分解することもできる。このため、どんな波形でも、複数の正弦波が足し合わされたものと考えて処理を行うことができるのである。
 この性質は、電波や音声などのさまざまな信号を処理するときに重要な性質であり、これを使ってさまざまな通信方式や音声処理が作られている。
 正弦波がsin関数に対応しているように、すべてのひずみ波は、それを表す関数がある。こうした関数を、数学的に正弦波関数の足し算に分解することをフーリエ変換という。電子回路を使って行われる信号の処理は、こうした関数に対する計算と同じで、数式を使って表すこともできる。つまり、数式を使って多くの関数が足し合わされたような状態から、特定の関数だけを取り出すような計算ができるのなら、それは電子回路を使って信号を取り出すことができる、ということを意味している。







































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