先日、Yahoo!知恵袋でこのような質問が投稿されました。
NHKの日露首脳会談を見ていて疑問に思ったのですが、これまでの戦後交渉を説明するビデオのところで、「日ソ共同宣言で平和条約締結後に2島を返還することなどが約束されたが、
冷戦によりソ連が領土問題は解決済みであると主張するようになったため、約束が果たされなかった」というナレーションが入っていました。
つまり、アメリカの圧力により日本が約束違反の4島一括返還を主張しだしたため実現不可能となった事実を完全に無視し、もっぱらソ連の身勝手のせいで解決されなかったような説明でした。
NHKは事実を歪めて国民を洗脳するプロパガンダ機関ですか?
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10202328780
個人的には私もNHKは確かにご都合主義なことを言っているな、となら思っています。
が、それは別として
当該案件の質問者の方がどのようなご判断でベストアンサーを選択したのかは、ちょっと分かりかねるのですけど
いずれにしても、ここで選ばれた「ベストアンサー」なるものがトンデモ回答であるのは否定しようがないので、あえて、ここで引用します。
さすが安倍さまのNHK。
客観的事実を述べればよい。
・ソ連は米国大統領ルーズベルトに唆されて進軍した。
・日ソ中立条約を先に破っていたのは日本。
・日本がポツダム宣言受諾後も戦闘は続いたが、自衛の戦闘を続ける
日本軍に武装解除を命じたのはマッカーサー。
・米国ダレス国務長官に恫喝され4島返還主張から後に引けなくなった。
日本政府は肝心な記憶がすっぽりと抜け落ち、痴呆なのか?というぐらい愚かな主張を繰り返し、まーこればっかりは安倍さんだけのせいではないけれど日本政府の愚かさは中国さんや韓国さんを笑えないですね。
どこが「客観的事実」なんでしょうね(笑)。
私にはこの人こそ「アメリカに洗脳されている」としか思えませんけど…
まず
・ソ連は米国大統領ルーズベルトに唆されて進軍した。
ここは「アメリカをはじめとする連合国に唆されて」とすべきでしたね。
単なる事実として言えば、ソ連は「ポツダム会談」の時点でも、まだ対日宣戦については態度を保留にしていました。
その理由は以下のようなものです。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E3%82%BD%E4%B8%AD%E7%AB%8B%E6%9D%A1%E7%B4%84
日本の敗色が濃厚になっていた大戦末期の1945年(昭和20年)4月5日、翌年期限満了となる同条約をソ連政府は延長しない(ソ連側は「破棄」と表現)ことを日本政府に通達した。この背景には、ヤルタ会談にて「秘密裏に対日宣戦が約束されていたこと」がある。さらに、ポツダム会談で、ソ連は、「日ソ中立条約の残存期間中であること」を理由に、アメリカと他の連合国がソ連政府に「対日参戦の要請文書を提示すること」を要求した[1]。
これに対して、アメリカ大統領ハリー・S・トルーマンはソ連首相ヨシフ・スターリンに送った書簡の中で、連合国が署名したモスクワ宣言(1943年)や「国連憲章103条・106条」などを根拠に、「ソ連の参戦は平和と安全を維持する目的で国際社会に代わって共同行動をとるために他の大国と協力するものであり、国連憲章103条に従えば憲章の義務が国際法と抵触する場合には憲章の義務が優先する」という見解を示した[1][2]。
この回答はソ連の参戦を望まなかったトルーマンやジェームズ・F・バーンズ国務長官が、国務省の法律専門家であるジェームズ・コーヘンから受けた助言をもとに提示したものであり、法的な根拠には欠けていた[3]。
スターリン、つまりソ連側は疑う余地なく「日ソ中立条約の残存期間中である」と認識しており、それを理由に、アメリカと他の連合国がソ連政府に「対日参戦の要請文書」、つまり「お墨付き」を要求し、トルーマン、つまりアメリカ側もそれに応える形で文書を用意しているんです。
・ソ連は米国大統領ルーズベルトに唆されて進軍した。
少なくとも対日宣戦に関する限りでは、スターリンはこの時点までは態度を保留にしていましたので、その意味においてソ連はルーズベルト大統領に唆されたから対日宣戦を行ったということはできません。
また
・日ソ中立条約を先に破っていたのは日本。
どこが「客観的事実」なんだ?
こちらの記事でもふれていますが、ソ連の日ソ中立条約破棄は「国際法違反」と考えるのが妥当です。
・日本がポツダム宣言受諾後も戦闘は続いたが、自衛の戦闘を続ける
日本軍に武装解除を命じたのはマッカーサー。
これも嘘、というよりマッカーサーに対する過大評価でしょうか?
日本軍の武装解除は日本国政府の「ポツダム宣言受諾」に伴うものですが、例えば占守島の例なども見てもわかるように「自衛のための戦闘」は引き続き行われており、ソ連軍に対する降伏も現地軍の判断で行われています。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%A0%E5%AE%88%E5%B3%B6%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84
そもそも軍の降伏というのは順次個別になされるのが通例であり、例えばマッカーサーが命令したから「はい、そうですか」と目の前の相手に対して降伏できるわけではありません。
(この件、キチンと説明すると長文になるので、後日別なところで改めたいと思います)
そして
・米国ダレス国務長官に恫喝され4島返還主張から後に引けなくなった。
アメリカ国務長官だったジョン・フォスター・ダレスによる、いわゆる「ダレスの恫喝」と呼ばれるものがあったのは本当のことですけど
日本全権だった松本俊一は、それ以前から四島返還を前提にしてソ連側と交渉していました。
これについては、次の記事で詳しく述べたいと思います。
続きは後ほど、あらためて。
NHKの日露首脳会談を見ていて疑問に思ったのですが、これまでの戦後交渉を説明するビデオのところで、「日ソ共同宣言で平和条約締結後に2島を返還することなどが約束されたが、
冷戦によりソ連が領土問題は解決済みであると主張するようになったため、約束が果たされなかった」というナレーションが入っていました。
つまり、アメリカの圧力により日本が約束違反の4島一括返還を主張しだしたため実現不可能となった事実を完全に無視し、もっぱらソ連の身勝手のせいで解決されなかったような説明でした。
NHKは事実を歪めて国民を洗脳するプロパガンダ機関ですか?
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10202328780
個人的には私もNHKは確かにご都合主義なことを言っているな、となら思っています。
が、それは別として
当該案件の質問者の方がどのようなご判断でベストアンサーを選択したのかは、ちょっと分かりかねるのですけど
いずれにしても、ここで選ばれた「ベストアンサー」なるものがトンデモ回答であるのは否定しようがないので、あえて、ここで引用します。
さすが安倍さまのNHK。
客観的事実を述べればよい。
・ソ連は米国大統領ルーズベルトに唆されて進軍した。
・日ソ中立条約を先に破っていたのは日本。
・日本がポツダム宣言受諾後も戦闘は続いたが、自衛の戦闘を続ける
日本軍に武装解除を命じたのはマッカーサー。
・米国ダレス国務長官に恫喝され4島返還主張から後に引けなくなった。
日本政府は肝心な記憶がすっぽりと抜け落ち、痴呆なのか?というぐらい愚かな主張を繰り返し、まーこればっかりは安倍さんだけのせいではないけれど日本政府の愚かさは中国さんや韓国さんを笑えないですね。
どこが「客観的事実」なんでしょうね(笑)。
私にはこの人こそ「アメリカに洗脳されている」としか思えませんけど…
まず
・ソ連は米国大統領ルーズベルトに唆されて進軍した。
ここは「アメリカをはじめとする連合国に唆されて」とすべきでしたね。
単なる事実として言えば、ソ連は「ポツダム会談」の時点でも、まだ対日宣戦については態度を保留にしていました。
その理由は以下のようなものです。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E3%82%BD%E4%B8%AD%E7%AB%8B%E6%9D%A1%E7%B4%84
日本の敗色が濃厚になっていた大戦末期の1945年(昭和20年)4月5日、翌年期限満了となる同条約をソ連政府は延長しない(ソ連側は「破棄」と表現)ことを日本政府に通達した。この背景には、ヤルタ会談にて「秘密裏に対日宣戦が約束されていたこと」がある。さらに、ポツダム会談で、ソ連は、「日ソ中立条約の残存期間中であること」を理由に、アメリカと他の連合国がソ連政府に「対日参戦の要請文書を提示すること」を要求した[1]。
これに対して、アメリカ大統領ハリー・S・トルーマンはソ連首相ヨシフ・スターリンに送った書簡の中で、連合国が署名したモスクワ宣言(1943年)や「国連憲章103条・106条」などを根拠に、「ソ連の参戦は平和と安全を維持する目的で国際社会に代わって共同行動をとるために他の大国と協力するものであり、国連憲章103条に従えば憲章の義務が国際法と抵触する場合には憲章の義務が優先する」という見解を示した[1][2]。
この回答はソ連の参戦を望まなかったトルーマンやジェームズ・F・バーンズ国務長官が、国務省の法律専門家であるジェームズ・コーヘンから受けた助言をもとに提示したものであり、法的な根拠には欠けていた[3]。
スターリン、つまりソ連側は疑う余地なく「日ソ中立条約の残存期間中である」と認識しており、それを理由に、アメリカと他の連合国がソ連政府に「対日参戦の要請文書」、つまり「お墨付き」を要求し、トルーマン、つまりアメリカ側もそれに応える形で文書を用意しているんです。
・ソ連は米国大統領ルーズベルトに唆されて進軍した。
少なくとも対日宣戦に関する限りでは、スターリンはこの時点までは態度を保留にしていましたので、その意味においてソ連はルーズベルト大統領に唆されたから対日宣戦を行ったということはできません。
また
・日ソ中立条約を先に破っていたのは日本。
どこが「客観的事実」なんだ?
こちらの記事でもふれていますが、ソ連の日ソ中立条約破棄は「国際法違反」と考えるのが妥当です。
・日本がポツダム宣言受諾後も戦闘は続いたが、自衛の戦闘を続ける
日本軍に武装解除を命じたのはマッカーサー。
これも嘘、というよりマッカーサーに対する過大評価でしょうか?
日本軍の武装解除は日本国政府の「ポツダム宣言受諾」に伴うものですが、例えば占守島の例なども見てもわかるように「自衛のための戦闘」は引き続き行われており、ソ連軍に対する降伏も現地軍の判断で行われています。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%A0%E5%AE%88%E5%B3%B6%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84
そもそも軍の降伏というのは順次個別になされるのが通例であり、例えばマッカーサーが命令したから「はい、そうですか」と目の前の相手に対して降伏できるわけではありません。
(この件、キチンと説明すると長文になるので、後日別なところで改めたいと思います)
そして
・米国ダレス国務長官に恫喝され4島返還主張から後に引けなくなった。
アメリカ国務長官だったジョン・フォスター・ダレスによる、いわゆる「ダレスの恫喝」と呼ばれるものがあったのは本当のことですけど
日本全権だった松本俊一は、それ以前から四島返還を前提にしてソ連側と交渉していました。
これについては、次の記事で詳しく述べたいと思います。
続きは後ほど、あらためて。