Shpfiveのgooブログ

主にネットでの過去投稿をまとめたものです

貞明皇太后は「大丈夫。相手はアメリカですよ。心配する事はありません」などと発言したことはない

2017-05-11 19:04:19 | 近現代史関連
貞明皇太后といえば、昭和天皇の母君であらせられる方であり、先の大戦の際にも

「戦争でこれ以上国民に苦しみを与えたくない」

と心を痛めていたということが関係者の発言にもあります。

いずれにしても、物のわかった方であらせられたことは間違いないでしょう。

なお、1951年(昭和26年)5月17日に大宮御所で崩御されましたが、この日も恒例の勤労奉仕団への会釈(挨拶)を行なう予定だったそうです。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%9E%E6%98%8E%E7%9A%87%E5%90%8E

その貞明皇太后について

さすがに論壇などのまともな場でこんな発言をする人はいないとは思いますけど、ネットではこのような発言をする人がいます。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12173763047?__ysp=6LKe5piO55qH5ZCO

>日本が戦争に負け、占領軍(「進駐軍」と誤魔化した)がやってくる、あの大戦争のあとだ、一体どんな事をされるのか、と皇族すら心配する。日本軍が中国や南方の占領地で残虐行為を行ったのを聞いていたからです。

うろたえ騒ぐみんなに、貞明皇太后(あの時点では皇后ではない)はこう言ったそうです。

「大丈夫。相手はアメリカですよ。心配する事はありません」

→この発言のソースはどのようなものなのか気になって調べてみたのてすが、どうやら辛うじて該当しそうなご発言がありました。

以下に引用させていただきます。

>「加藤さん、私は言葉のままに従います。私は九条家に生まれ、五つの時まで中野に里子に行きました。そこでいろいろと農家の暮らしを知っております。どんな苦労でも引き受けます。どうぞ心配なさらないでください。しかし、皇族様方はなかなかそうはいきませんよ。びっくりもするでしょうし、いろいろなことも仰しゃるでしょうし、なかなかお分かりにならないと思います。どうか時間をかけ、御納得いただけるまで、あなた方が落ちついて、気を長くしてやらねばなりませんよ。私については御一新のこと、何も心配いりません」
まさに毅然たる態度だった。終戦を「御一新」と表現したことに加藤は感銘を受けた。

出典:工藤美代子氏著(清流出版)『国母の気品―貞明皇后の生涯』P262

→この時、節子皇太后は沼津でGHQとの折衝にあたっていた加藤進次官より拝謁を受け、臣籍降下の可能性を含む、今まで通りの暮らしは困難であるとの報告を受けていました。

それについての節子皇太后(貞明皇太后)のお返事がこのようなものだったそうです。

なお工藤氏は同書執筆のための参考文献の一つとして、当時は皇太后職事務官だった筧素彦氏の『今上陛下と母宮貞明皇后』(日本教文社)を挙げており、おそらく本当の原典と言えるのはそちらになると思います。

このご発言が

>「何も心配することはありません。相手はアメリカでしょ?心配する必要はありませんよ」

→の元ソースだとしたら、いくらなんでも意訳というよりは、妄想に近いと評するしかありません。

ネットというのは、元ソースも引用せずに、こんな口からでまかせとしか言いようがないようなデマを吹聴するのが許されるところなのでしょうか?

あらためて疑問を感じました。