頭汗とは、身に汗無く、剤頸にして還るものであります。其の証は少陽に属します。
頭汗の場合には次のような漢方病理があります。
①少陽の証の場合 〔太陽病下篇〕
●但頭汗出餘無汗剤頸而還・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大陥胸湯
●但頭汗出往来寒熱・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 柴胡桂枝乾姜湯
●今頭汗出故知非少陰也・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・小柴胡湯
●産婦鬱冒其脈微弱嘔不能食大便反堅但頭汗出・・・・小柴胡湯
②陽明の証の場合 〔陽明病篇〕
●心中懊憹飢不能食但頭汗出・・・・・・・・・・・・・・・・・・・梔子豉湯
●但頭汗出身無汗剤頸而還・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・茵蔯蒿湯
③水氣病の場合 〔金匱要略・水氣病篇〕
●風水脈浮為在表其人或頭汗出表無他病・・・・・・・・・・防已黄耆湯
以上の通り頭汗には、少陽、陽明、水氣の三通りの病証が有ります。
少陽の頭汗には、往来寒熱、微悪寒、手足冷、脈沈などがあります。
陽明の頭汗には、小便不利、発熱して渇などがあります。
水氣病の頭汗には、胸が満して、喘咳があります。
この様に、他の証を考えて処方を決定しなければなりません。
※参考文献
・注解傷寒論 張仲景著
・金匱要略 張仲景著
・新古方薬嚢 荒木性次著
・方術説話 荒木性次著
・傷寒雑病辨証 浅田宗伯著