「骨節疼痛」は、其の痛みが最も裏に及ぶものであります。
この「骨節疼痛」の証を傷寒論、金匱要略より取り出してみますと
傷寒論の「辨太陽病脈證第六」の第5条に
●太陽病、頭痛発熱、身疼腰痛、骨節疼痛、悪風、汗無くして喘する者、麻黄湯之れを主る。
金匱要略の「中風歴節病脈證併治第五」の第18条に
●千金三黄湯、中風、手足拘急、百節疼痛、煩熱心乱、悪寒、月を経て飲食を欲せず。
傷寒論の「辨太陽脈證併治下第七」の第19条に
●傷寒六七日、発熱微悪寒、支節煩疼、微嘔、心下支結し、外証未だ去らざる者、柴胡加桂枝湯之れを主る。
金匱要略の「瘧病脈證併治第四」の第4条に
●温瘧の者、其の脈平の如く、身に寒無く但だ熱し骨節疼煩し、時に嘔す、白虎加桂枝湯之れを主る。
金匱要略の「中風歴節病脈證併治第五」の第12条に
●諸の肢節疼痛、身体おう羸、脚腫脱するが如く、頭眩短気、温々吐かんと欲す、
桂枝芍薬知母湯之れを主る。
金匱要略の「中風歴節病脈證併治第五」の第14条に
●歴節を病み、屈伸すべからず、疼痛す。烏頭湯之れを主る。
金匱要略の「痙湿暍脈證第二」の第24条に
●風湿相搏ち、骨節疼煩、掣痛し屈伸するを得ず、之れに近づけば則ち痛劇しく汗出で、短気小便不利し悪風衣を去るを欲せず、或いは身微腫する者、甘草附子湯之れを主る。
傷寒論の「辨少陰病脈證併治第十一」の第25条に
●少陰病、身体痛み、手足寒へ、骨節痛み、脈沈の者、附子湯之れを主る。
傷寒論の「辨太陽脈證併治下第七」の第47条に
●傷寒八九日、風湿相搏ち、身体疼煩、自ら転側する能わず、嘔せず、渇せず、脈浮虚にして濇なる者、桂枝附子湯之れを主る。
陽の場合
表証ー汗無しの時
Ⅰ.麻黄湯・・・・・・・・・・・・・・・・骨節疼痛
Ⅱ.三黄湯・・・・・・・・・・・・・・・・百節疼痛
汗出の時
Ⅲ.柴胡桂枝湯・・・・・・・・・・・・支節煩疼ーーーーー少陽
Ⅳ.白虎加桂枝湯・・・・・・・・・・骨節疼煩ーーーーー陽明
陰の場合
Ⅴ.烏頭湯・・・・・・・・・・・・・・・・歴節疼痛
Ⅵ.桂枝芍薬知母湯・・・・・・・・・肢節疼痛
Ⅶ.甘草附子湯・・・・・・・・・・・・骨節疼煩
Ⅷ.桂枝附子湯・・・・・・・・・・・・身体疼煩
Ⅸ.附子湯・・・・・・・・・・・・・・・・骨節痛
1.疼痛 汗無きを麻黄を主とする。
2.汗出で煩疼するを桂枝の主とする。
★疼して痛まざれば、桂枝に伍するに附子を以ってせず。
★痛んで疼せざれば、附子を配して桂枝を以ってせず。