漢方処方と漢方の証の相違

漢方的病理の把握の仕方により漢方処方が違ってきます。

5.無汗

2007年08月13日 | Weblog

無汗には、汗不出の証と不汗出の証があります。その意味に違いがあります。

汗不出は、汗が出るはずなのに汗が出ないのであります。
不汗出は、桂枝、麻黄剤を与えても汗が出ないという意味であります。

無汗の処方には次の様な処方があります

①表証で発汗する場合

傷寒論の「辨太陽病脈證併治第六」の第1条に
●太陽病、項背強ばり几几として汗無く悪風するは、葛根湯之を主どる。

傷寒論の「辨太陽病脈證併治第六」の第5条に
●太陽病、頭痛、発熱、身疼、腰痛、骨節疼痛、悪風、汗無くして喘する者は麻黄湯之を主どる。

傷寒論の「辨太陽病脈證併治第六」の第16条に
●太陽病、脈浮緊汗無く発熱身疼痛八九日解せざるは、表證仍在り、此れ當に其の汗を発すべし、薬を服し已り微しく除き其の人煩を発し目瞑し劇しき者は必ず衄す、衄すれば乃ち解す、しかる所以の者は陽気重なるが故なり、麻黄湯之を主どる。

②表証在るも発汗不可

傷寒論の「辨太陽病脈證併治法上第五」の第29条に
●桂枝湯を服し或は之を下し仍頭項強痛し、翕翕として発熱し汗無く心下満して微痛し小便不利する者は桂枝湯去桂加茯苓白朮湯之を主どる。

③汗を得ざるもの

傷寒論の「辨太陽病脈證併治法上第五」の第18条に
●桂枝はもと解肌をなす、もし其の人脈浮緊発熱汗出でざる者には與うべからざるなり、常に須からく此れを識り誤らしむなかるべきなり。

傷寒論の「辨太陽病脈證併治第六」の第8条に
●太陽の中風脈浮緊、発熱悪寒し身疼痛、汗出でずして煩躁する者は大青龍湯之を主どる。

傷寒論の「辨太陽病脈證併治法上第五」の第24条に
●太陽病之を得て八九日、瘧状の如くに発熱悪寒し熱多く寒少なく其の人嘔せず、清便は自ずから可ならんと欲し、一日二三度発し脈微緩なる者は愈えんと欲するとなすなり、脈微にして悪寒する者は此れ陰陽倶に虚す、更に汗を発し更に下し更に吐すべからざるなり、面色反って熱色ある者は未だ解せんと欲せざるなり。
その小
汗出づるを得る能はざるを以って身必ず痒し、桂枝麻黄各半湯に宜し。

更に金匱要略の「痰飲欬嗽病脈證併治第十二」の第2条に
●飲水流行して四肢に帰し當に汗出づ べくして汗出でず身体疼重之を溢飲という。 があります。

溢飲の時に使用する処方は大青龍湯小青龍湯であります



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