万葉集巻第四・561に
大宰大監(だざいのだいげむ)大伴宿禰百代(ももよ)の戀の歌四首
としてその一首
念(おも)はぬを 思うといはば 大野なる
三笠の杜(もり)の 神し知らさむ
万葉仮名 : 不念乎 思常云者 大野有 三笠杜之 神思知三
筑紫 豊訳 : 思っていないのを思うと言ったら
大野にある三笠の神社の神様の罰が当るでしょう
日本古典文学大系 萬葉集 注釈
○三笠の杜 ― 神功摂政前紀に、皇后が羽白熊鷲という者を討とうとして、橿日宮(かしいのみや)から松峡宮(まつおのみや)に遷った時、つむじ風が起って御笠が吹き落されたので、時の人がそこを御笠と呼んだとある。
○知らさむ ― シルは支配・管理する意。
(大意) 思ってもいないのに思っているというならば、大野の三笠の杜の神が御承知で、罰をお与えになるでしょうよ。
○大宰大監(だざいのだいげむ) ― 少監とともに大宰府の三等官。正六位下相当。
○大伴宿禰百代 ― 大監だったのは旅人が帥だったころ。その後、兵部少輔、鎮西副将軍、豊前守。天平19年(747年)に正五位下。
御笠の森にある歌碑の前面
歌碑の背面 明治百年記念に福岡県筑紫郡大野町(現大野城市)が建てた