できるだけごまかさないで考えてみる-try to think as accurately as possible

さまざまなことを「流さずに」考えてみよう。"slow-thinking"から"steady-thinking"へ

薄汚いパンダをめぐる、ジャニーズ事務所と中国と仙台市の醜態

2012-03-20 22:57:37 | Weblog

そもそも「復興のためにパンダを」という発想が全く理解できない。現在、中国からパンダを呼ぶのは全て「レンタル」であって、昔のような「贈与」ではない。つがいがやってきてそのパンダたちが子を産んだとしても、その所有権は中国にある。

それでも東京都が大枚はたいて中国からパンダを上野公園へ「レンタル」しているのは、それで上野公園の集客力が上がることで、いつかはそのレンタル代を上回る利益が出ると見込んでいるからである。本当に利益が出るのかどうかは知らんが。

 

でだ。仮にそんな東京都が、昨年の東日本大震災のような激甚な大地震に、首都圏直下型のような形で見舞われているなら、その地震の年や次の年ぐらいに、

「復興にはパンダを!」

などと求める都民はほとんどいないであろう。

「パンダを呼ぶならそのカネをもっと有意義なことに使ってくれ!義援金を送ってくれている方に申しわけない!!」

と思うのが、私から見た「常識」なのだが、どうやら「仙台市」と「ジャニーズ事務所」にとっては全く違うようである。

 

この話題、昨年末からブスブスくすぶっていたが、まだ消えていないどころか、着々と進んでいるようである。とにかくひどい。

 

 

近藤さん、5年で数十億円を負担 パンダ貸与支援で(共同通信 2012/01/28 09:05)

 東日本大震災で被災した仙台市への中国からのジャイアントパンダ貸与に関し、ジャニーズ事務所が設立した復興支援団体「マーチングJ」が、当初5年間の費用を負担、計数十億円が見込まれることを、同団体代表で歌手の近藤真彦さん(47)が28日までに明らかにした。

 近藤さんは「子どもたちの笑顔を一つでも多く取り戻したい」と話している。

 近藤さんによると、負担する費用にはパンダの輸送費のほか、中国側へのレンタル料、獣舎の建設費、飼育費が含まれる。募金のほか、ジャニーズ事務所と関連会社からの寄付金で賄う計画だ。(ここまで)

 

この記事のタイトル、どう見ても、近藤真彦が個人で数十億円とやらを負担すると言っているかのような、読者を誤解させかねない、きわめて紛らわしい記事のタイトルである。こういうタイトルをつけている時点で、これを報じている共同通信の記者の日本語力の救いようのない低さ、あるいは「パンダさえ来れば仙台は復興する!」と信じて疑わない頭のおめでたさのいずれかを象徴している。

この記事のポイントは、パンダを借用するときに、世話をする費用も含めると、当初の5年間でさえ、数十億円もかかるという事実である。中国が無料で数年間レンタルし、無料期間が終わったら返す、ということなら、仙台の動物園での維持費くらいは公金の支出を認めてもかまわない、と私は個人的には思うが、それでも、

「その金額を少しでも実際の復興に!!」

と切望する被災者の方々は多数いらっしゃるだろうと推測する。復興予算が認められなかった宮城県の村井知事の怒りの表情は、先週いろいろなところでニュースになったところだ。

 

次に気になるのは、この財源(笑)に「募金」と「関連会社からの寄付金」が入っている点だ。もしかすると、ジャニーズ事務所が主催する、

・東日本大震災復興イベントなんちゃらかんちゃら

で、

・被災者のために使うことになっている「義援金」

という名目で集められた金銭が、勝手に「用途自由な募金」として扱われ、パンダの世話代や近藤真彦の旅費として使われるということか???

 

というわけで次の記事。

 

 

ジャニーズが募金呼び掛け 近藤さんら東京ドームで(共同通信 2012/03/11 20:54)

 歌手の近藤真彦さんや人気グループSMAP、V6などジャニーズ事務所の所属タレント約180人が11日、東京都の東京ドームで、大震災の被災者を支援するための募金活動を行った。

 同事務所が設立した復興支援団体「マーチングJ」の活動の一環。若い女性を中心に約17万3千人(主催者発表)のファンらが来場した。

 10日までに集まった募金やイベント収益金などは計約8億2700万円。同団体は当初、募金の一部を中国から仙台市へのパンダ貸与に関わる費用に充てるとしていたが、11日の募金と合わせて全額を、岩手など3県の被災した子どもを支援する基金に寄付することにした。(ここまで)

 

怪しすぎる。この「3月11日の東京ドームでの募金活動」に関しては、募金がパンダ代に消えることはない、と明記しているだけで、ジャニーズ事務所が昨年から集めてきた「他のイベントで集められた義援金」がどういう名目で使われるかについては、この記事は何も教えてくれない。

しかし、先に引用した記事では、明確に

 

>募金のほか、ジャニーズ事務所と関連会社からの寄付金で賄う計画だ。

 

と書いてあった。

 

この二つの記事から判断するに、「義援金」としてジャニーズ事務所主催のイベントで募金された金が、一部でもパンダ代として流用されている可能性があるかどうかについては、限りなく黒に近いグレーだと私は考える。

 

記事の三つ目。

 

近藤真彦さんらが中国訪問 パンダの仙台誘致で(北京共同 2012/03/20 19:33)

 【北京共同】東日本大震災からの復興のシンボルとして仙台市の八木山動物公園へのジャイアントパンダの誘致を目指す歌手の近藤真彦さん(47)や同市関係者が12~14日、中国・北京を訪問し、唐家セン元国務委員(元外相)らにパンダの貸し出しをあらためて要請していたことが20日分かった。複数の日中関係筋が明らかにした。

 中国はパンダの貸与には事実上同意しているが、維持管理や飼育環境など貸与に関する細部の調整が必要としている。(ここまで)

 

 

改めてパンダを貸与してもらうよう、近藤真彦がわざわざ北京へ出向いてお願いしなければならないというのなら、少なくとも中国側は、この震災復興としてパンダを喜んで貸したいわけではない、ということである。簡単にいえば「乗り気でない」ということなのだから、パンダレンタルを諦めて、ジャニーズ事務所が出費する予定だった「数十億円」は、「復興そのもの」のために使えばよかろう。

 

小学校一つ作るのに4,5億円と記憶しているので、数十億円あれば、例えば仙台市の小中学校の再建費用のかなりを負担できるだろうに・・・。そういう発想はないのかジャニーズ事務所と近藤真彦と仙台市は。

 

というのも、来年度の仙台市の予算にも、ちゃっかり2600万円が計上されているのだ。

 

仙台市予算案、復興費で31%増 過去最大(共同通信 2012/02/07 12:41)

 仙台市は7日、一般会計を過去最大の5787億円とする12年度当初予算案を発表した。東日本大震災の復興事業向けの費用が膨らみ、11年度当初比で31.2%増。特別会計、企業会計を含めた総額は1兆1063億円になる。

 震災の復興計画関連に1544億円を重点配分。このうち、津波被害に遭った沿岸部約2千世帯の内陸移転を促進する費用として286億円、市内の4千カ所以上で地滑りなどの被害が出た宅地の復旧には288億円を充てる。

 中国から仙台市への貸与が決まっているジャイアントパンダについて、準備費用として約2600万円を計上した。(ここまで)

 

11年度当初比の数字から推測して、来年度の仙台市の予算の半分以上は国税から賄われるだろう。通常年度では、地方予算の約半分が国税で賄われているのでそれを3割も越える予算となると、確実に予算の半分以上は国税から、ということになるだろう。

 

だからと言って「東京に住んでいる俺にも言わせろ!」という意図で言っているのではないが、この不景気の中、税金を身を切るようにして払っている人々が多い中、それでもさらに「義援金」として、少しでも復興の役に立つようにと、金額の多少はあれ、金を東北に送っている人は決して少なくないはずだ。言わば、金にはそういう「血」が流れているのである。

パンダ予算として軽く2600万円を計上できる仙台市と、軽く「数十億円」をパンダのためだけに負担できますと言えてしまうジャニーズ事務所、そして、パンダを復興支援として全く考えていない中国・・・。

 

ここに出てくるどのキャラクターを見ても、あんな未曾有の大震災に見舞われているにもかかわらず、金に血が通っている、ということを想像すらできないのだな、ということを、ただただ感じるだけである。

 

仙台市でも、有志の方々が動いてらっしゃる。近隣の方はぜひ参加を。4月21日。

 

仙台にパンダはいらない!デモ行進

 

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。