明けましておめでとうございます。新年早々、糞の話題から始めなければならないことは誠に残念なことです。
事前の番宣で知っていたので見たのだが、今日のスマスマ(SMAP×SMAP)では、「今 いじめている君へ」と題して、例の義家弘介などを呼び、いじめ問題を特集していた。
最大限に好意的にこの番組の企画意図をくみ取るならば、子どもたちが比較的見ているであろうと思われるスマスマという番組で、「いじめはいけない」というメッセージを発することで、一人でも多くの子どもが「いじめはいけないんだなぁ」と思う一助になればいい、ということであろう。草彅剛以外は出演していないことから、SMAPの年末年始のスケジューリングがうまく行かず、空いた枠を埋める「埋草」として急遽この番組を作ったであろうことも簡単に推測できるが(何しろ、これだけ大きな問題を扱うにもかかわらず、この番組のHP自体存在しない)、そっち方向の詮索は、ここではこれ以上はしないでおこう。
さて、この番組を見た小中校生は、「ああ、いじめっていけないんだなぁ。今自分がやってることは『いじめかも知れないなあ』」などと、自省的な感情を抱くであろうか。実際は小中校生に聞かなければわからないが、私が小中校生であったならば、答えは確実に「NO」である。
最大限に好意的にこの番組を解釈しても、「ヒトゴト」として、「ああ、いじめが今日の特集だったのね。サトエリ泣いてるなぁ。ソニンかわいそうだなぁ。サカナくんはなんで魚のいじめの話をしてるの?あの義家ってオッサン、いきなり怒って超うぜえよ」程度の感想しか抱かないであろう。
以下、いくつかのやりとりをアーカイブしておく。
番組開始。スタジオに、実際にいじめられているという中一の少女を呼んで、義家と草彅で話を聞く。開始3分後、
義家 「いじめている人とは口もききたくない?それとも、理解し合いたい?」
少女 「理解し合いたい」
義家 「(#゜Д゜) いい子すぎる! 泣きたくなったら泣けばいいし、腹が立ったら怒ればいい!なりふり構わず自分を解放していい!」
…相談して3分で、結論じみたことを、しかも怒り口調で言う。これは、「アドバイス」なのかどうか。お知り合いに臨床心理士がいれば、ぜひ聞いてみていただきたい。これが、まがいなりにも、この元教師が実際に行ったことである。
開始6分。スタジオに子どもを百数十人呼んで、いじめについてのアンケート。質問は「いじめられる方にも問題があると思うか?」
答え
はい…102人(約3/4)
いいえ…32人(約1/4)
子どもA 「人の迷惑になることはしてはいけないと思う。例えば、つばを飛ばして話すとか。」
子どもB 「自分のことしか考えない人は問題があると思う。自己中心的な人で、周りの空気が読めない。人がいやがることを平気で言う。」
義家 「今の話聞いて、今、ものすごく腹立ってますよ。
(#゜Д゜) お前らなんか、大きな勘違いしてねえか?
お前ら自身だって問題あるだろうが。
問題があることといじめを分けて考えろよ。
問題があればいじめていいのか?」
初対面の子どもたちに、いきなり怒れば、そのメッセージが子どもたちの「心」に強く響くとでも思っているのだろうか???その程度も、この「元教師」とやらは、わかっていないのだろうか。
私にしてみれば、この質問に対して、「はい」がなんと四分の三も占めているという現状自体が驚きである。まず「子どもたちはどう思っているのか、細かく聞いてみよう」と私なら思う。
さらに、子どもBが「自分のことしか考えてない人」として「空気が読めない」という子を挙げている。これは、「他人の迷惑」という言葉や概念が、大人世界でのモノサシである「法」や「道徳」で測られるのではなく、「多数決」や「暗黙の了解」という、きわめて曖昧で変わりやすく、その道徳的妥当性も甚だ怪しい基準で測られている現状を物語っていると私は考える。平たく言えば、
オレも、周りの何人かも「あいつうぜえ」と思えば、「あいつ」は「他人に迷惑をかけている奴=いじめてよい」
という価値観が支配的であるということだ。要するに道徳観念が幼稚園児程度に未成熟なのである※。
そんな未成熟ボーイズ&ガールズに、道徳観念があるていど固まっている(という限定をつけておく)「大人」には至極まっとうな「常識」である
「問題があればいじめていいのか?」
ということばを、怒りの形でぶつけても、上記の子どもたちには、ホンネのところ
うぜえええええええええええええええええ!
意味わかんねええ!
ぐらいの記憶や影響しか与えられないと私には思えてならない。ちょうど私は2chの実況スレも観察していた(笑)が、義家のこの発言の瞬間は「義家うぜえええええええええええええ」祭であった(苦笑)。
元教師、しかも、修羅場をくぐってきた教師という自負があるのであれば、
手法はいろいろあれど、子どもたちに「理解」させながら、一定の「規範」や「ルール」を身につけさせる
(誤解があるといけない。「理解が先」と言っているのではない。「理解も必要だ」と言っているのだ。)
という姿勢は、自然と「体」に身についているのではないか。それが身についていないって…。そんなオッサンが、教育再生会議とやらのメンバーなのか?
この調子で、10分~15分ごとに、実際の子どもやゲストの芸能人の「いじめられ体験」が語られ、最後に義家が何かまとめたような形で、めくるめく50分は終わった。
えーと、この番組、「いじめバラエティ」という、新分野を開拓するためのパイロット番組?
いじめられた意見を語るからには、実際に多くの学校に事実上存在するいじめの加害者が「あ、オレも加害者かも」と気づかせるような構成や工夫が必要だと思うのだが、そんな工夫も全くない。サトエリやソニンもけっこういじめられていたのね~。でおしまいだろう。
こういう展開は、得てして「不幸自慢」ともなる。実際に、現時点で「スマスマ」でブログ検索をかけると、まぁ出るわ出るわ…こういう系が。
ひと言だけ言っておこう。実は、私もいじめられていた。
それがどうしたんだよ。その、あなたのいじめには、「ひと言だけ言っておこう」という枕詞が必要な「重さ」があるのか?いじめをなくしたいのなら、お前の不幸自慢をする前に、いくらでもやれることがあるだろうが。そんなわけで、
私もひと言だけ言っておこう。
いじめられ体験をブログで書くことで、「不幸自慢」以上のどんな意味があると?
明日、子どもたちがこの「スマスマ」をネタにした笑いが起き、実際のいじめは隠れたまま、被害者にとっては地獄の日々が続いていく。そんなことにならなければよいが…厳しいだろうな。
今後いじめについても考えていくが、一つ大きなヒントになる考え方は、いじめをなくすためには、いじめの現象を、
「100%の加害者 と 100%の被害者」
という枠組みでとらえてはならない、ということだ。後日、少しずつ書いていく予定だ。
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※ そしてこれは、いわゆる「奥様コミュニティ」の中でも支配的な、非常にドロドロした、日本的ムラ社会の典型的な特性だとされてきた価値観とも、奇妙なほど重なっている。
すなわち、現在の日本の支配的な価値観の現れにも見える。ということは、親の道徳観念が幼稚園児程度に未成熟である可能性も極めて高いということも推測できる。もはや、「いじめ」は「世代をまたいだ問題」と考えなければどうにもならない問題なのだ。書いてみて、あまりにも当たり前のことだと思うのだが、念のためにここにしっかり書いておこう(苦笑)。
マスゴミに流通している言葉、論法を見ると、「いじめ」という名の「言葉狩り」を行っているようにしかみえなくなりつつあります。そのあたりを、私なりに言語化していこうと思っています。
むろん、「これでいじめはなくなる!」などという大風呂敷を広げるつもりもありませんので、他山の石として読んで頂ければ幸いです。
予備校という業界では、いじめはほとんど見られません。やはり、「いやなら所属集団を変えればよい」というシステムが大きいのでしょう。公教育でもこういうシステムを導入すべく、学校選択制なるものがクローズアップされているのでしょうが、マスゴミを通して情報を得る限り、これもうまく行っていないようです。
私たちの議論に関係なく、現場の先生方は、焼き切れない程度に、日々がんばって頂きたいと思っております。
また、この番組に関して、「民放のレベルなんてそんなものかな?」とのご感想を抱かれたことに関して。
こと「いじめ」に関しては、NHKもハイレベルな番組を作ったとは寡聞にして存じませんので、今回のていたらくを安易に「NHK vs 民放」という枠組みでとらえ、「どうせ『民放だったんだから』ひどい番組だったんでしょ」と論評する姿勢は、私は好きではありません。いじめ以外のテーマでは…そう、昨年末の紅白あたりがいい例ですね。
「所詮NHKですから」
と言いたくなるソースは腐るほどあるわけです。
むしろ、子どもたちが見たがる番組は民放の方がはるかに多いわけですから、民放によるいじめの扱い方は、NHK以上にしっかりと観察していかなければならないと考えています。
そろそろインフルエンザも流行しそうですね。ご自愛のほどを。
という下りは言い得て妙です。
どう捉え、どう対応していくのか、後日に期待しています。
私は私で、子どもと難しい対話を続けていくのみですが・・・。
何かいいお考えでもあればと思っています。
まあ一方で、今回の記事を読むにつけ、民放のレベルなんてそんなものかな?とも感じます。
(しかも人気取り番組では?)
義家氏は、私としても同じ教師として語って欲しくない人物です。
でも、教育を再生をしてくださる方なんでしょう?皮肉なものです。