先月末頃から少し話題となっている「アサクリ問題」を、一応自分なりにまとめておこうと思う。この話はフランスのゲーム会社が11月に発売する予定の「アサシンクリードシャドウズ」というゲームに端を発している。その舞台設定は日本の戦国から安土桃山時代。登場する主人公の一人が、織田信長の召使いだったと言われる黒人「弥助」で、なぜか兜を纏った侍という人物設定である。この間違った時代考証のベースとなったのが、日本大学准教授トーマス・ロックリー氏が記した『信長と弥助 本能寺を生き延びた黒人侍』という本だ。この著書でロックリー氏は「弥助は侍であった」「戦国時代の日本では黒人奴隷が流行していた」という説を展開し波紋を呼ぶ。さらにこの説に油を注いで炎上させたのが、日本政府観光局特別顧問を務めるデービット・アトキンソン氏。彼はソーシャルメディア上で、ロックリー氏の説を批判するアカウントに対し「エビデンスを出せ」と投稿し大炎上。さらに酷いのが、2021年にNHKが『Black Samurai 信長に仕えたアフリカン侍・弥助』という番組を制作し、このロックリー氏の説をメディアを通じて拡散。反日メディアNHKがこの根拠に乏しいトンデモ説を公共の電波を使って拡散するという暴挙を行っている。
歴史考証において、一つの説が100%正しいと証明できる事はまずない。当時を知る人間が一人も生きていない状況であれば尚更だ。歴史考証の全ては仮説に過ぎず、数ある文献を紐解き、限りなく確証に近い推察が出来たとしても、事実として証明する事は不可能だ。そしてその盲点を突いて歴史を捏造する輩も必ず現われる。
弥助はイエズス会の一行が信長と謁見するためのネタの一つとして献上目的に連れられた黒人奴隷と言われるのが通説である。また、日本で黒人奴隷が流行した説についても、当時の権力者の目線に立てば分かりそうなもので、なぜ遠くアフリカくんだりまで行って奴隷を確保する必要があるのか。生きて帰れる保証もなく、そんな危険を冒し、さらに彼らを生かすために何か月も飯を食わせて連れ帰るメリットはない。そんなコスパの悪い事をするだろうか。常識で考えればすぐに分かる。
厄介な事に、こんなトンデモ話が欧米では当然の認識になりつつある。しかも、最初に黒人奴隷を使い始めたのが日本だと言い出す始末。そんなデマを拡散されてはたまらない。これは多様性を重要視する欧米のポリコレ言論人にとっては絶好の攻撃ネタである。欧米人は自分達が過去にやってきた黒人差別の責任を日本に擦り付けようとしており、そこには明らかに悪意を感じる。だが今回のパリ五輪での各国選手に対する数々の差別的扱いからも分かるように、差別意識が強いのはフランスなどを中心とした欧米諸国で、その差別と共にアルジェリアから連れ帰った多くの黒人奴隷が今は国の治安を脅かす移民問題に発展している。因果応報としか言えない。
歴史考証に100%の確証はないが、仮説を確信する事実は、現代を生きる各国の民族性を通じて必ず現れる。だが、言った者勝ちの風潮があるのも事実。黙っておくと奴らはすぐにマウントを取ろうとするからちゃんと反論しなければならないし、厄介な反日メディアの動きもしっかりウォッチする必要がある。面倒くさい時代だ。