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1月17日『A2-B-C』上映会 報告Ⅱ 杉井吉彦先生講演

2016年03月15日 | 甲状腺がん

            1月17日『A2-B-C』上映会 杉井吉彦先生講演
                                (2016.1.17 日比谷コンベンションホール)

            


                                       
  多分、ここに来られた方は、ほとんど初めてこの映画を観られた方が圧倒的に多いと思うんですよね。驚くべきことが起こっているということがスクリーンの中にあります。ただ、今の状況から考えますと、あの時の心配の度合いと、今の心配の度合いが、かなりもう、歴史的に変わってしまっています。今日、もう1回、わたくしも観ましてですね、そういう印象が多かったです。わたくしは実は東京で35年くらい医療に携わっています。国分寺の武蔵野赤十字病院というところで救急救命センターで、かつ、国際部というのをやっておりまして、外国のアフガニスタンとかカンボジアの難民キャンプに1年くらいずっと行ったりして、戦傷医学の経験もあったんですね。まあ、整形外科もやってましたんで、爆弾傷とか、地雷での切断とかってのを、外国でやってまして。向こうで、外国で、避難キャンプで治療するというのが私の気持ちだったわけですよね。


  国分寺で開業して、もう、二十何年になるんですけれども、それから、いろんなところに、御巣鷹なんかにも行ったんですよ。それで、3年前に突然、福島で起こった。まあ、その時点では震災だけだと思った。震災の後の3日目に、もう爆発。当然、チェルノブイリのことがすぐに頭にあって、これは大変なことになった。これは、もう、全国の医者ががんばらなきゃなんない事態が既に起こっていると思って。それで、色んな医者との繋がりの中で、福島に行くようになった。そして、今いた(映画に出演した)、あそこのお母さんたちに会った。ということで、これは、何かやらなきゃいかん、ということで、今に至っている訳です。イアンさんというのはね、何度か会ったんですけれど29歳です。若い監督さんです。非常に日本語がお上手でですね、喋っているのはほとんどイアン君ですから。今日、10時50分から、50分だったと思いますね(※1)、2つめを作るっつんで、色々、話をして、何やろうかって話してたんです。まず、非常に優秀で、本当にいい人です。第2作にも非常に期待しているところです。


  全体のあの感じから、まず出てきた人。まず、最初に出てきた、ワーっと、逃げた人がいるでしょう、お医者さん。あれが山下っていう、有名な。インターネット上じゃ、現代のメンゲル。メンデルじゃない、メンゲルですよ。メンゲルっていうのはナチスの収容所で生体実験をやった第一責任者でアルゼンチンに逃げて、最後まで、あそこで逃げ切ったという人で。医者にとってはメンゲルと言われるのは一番酷い、一番酷い文句。言われてはならない悪称を、彼はインターネットで持っている。私達が言ってるんじゃない、あの人。彼がインタビューに応じたというのは奇跡的なんです。今、彼は逃げ回りますから。一切のインタビューに応じません。NHKだけです、今、応じるのは。あとは全然、民間が行っても、それから、新聞社が行っても言わなくなっちゃった。彼がひとり。それから、雪の降ったところで(診療所の前を)掃いてて、中で入ってって、甲状腺(の検査)をやってらっしゃいます、あれが前の院長の松江先生。この人は、ついそこの築地のがんセンターの放射線科の医長でした。医長から上がらなかった。部長になれなかった。まあ、なれなかったのか、ならなかったのか。ずーっと、臨床でやってきた。日本における超音波、特に乳腺における超音波の第一人者です。それが、杉並でがんの専門の相談所をやってらした。セカンドオピニオンばっかりやってた。彼が行ったとき、福島の人たちを見て、「俺も行こう」と。「私は40年間がんの診断ばかりやってきた。今度はがんになる人を診るんだ」と、自分で院長を引き受けた。 今は、群馬の館林厚生病院で内科で副院長をしていた医師が、自分はもうやめて向こうの常勤になるというかたちで(院長を)やってる。


  第2作目、出てくるかどうか。私も出して欲しいんだけど、なかなか、出してもらえない。哀しいんだけど。NHKにはいろいろ、報道ステーションでは松江先生を大きく、一昨年の3.11の特集で出てます。それで、あとの人たちは、みなさん、福島の人たちばっかり。みんな、お母さんたちが、ああいう状況になっていたということなんですよね。私が、何をここで言いたいかというと、福島の情勢は中味が大きくて、広くて、医療機関の問題もありますから、非常に難しい問題がいっぱいあって、たくさん語りきれない。本当に概略だけ言います。今、どうなのか。全体の福島の状況を、まず、最初に話します。それから、福島における甲状腺情勢がどうなのかというのが、ひとつ、ふたつめ。我々は、なんで、あんな診療所を作って、イアンさんの取材に応じねばならないのかっていうことが、ひとつ。それから、その上で、今から何をしなきゃならないのか、どういうことが今から起こりうるのか。この4つを、ちょっと、かいつまんで話したいと思います。


  まず、どうしても言いたいのは山下。私も医者ですから、山下先生と言うんですけれども、お母さんがたはみんな、“山下”と呼び捨てになさいますので、“山下”と呼び捨てにさせていただきます。長崎大学の教授でチェルノブイリに行っています。笹川財団の金でチェルノブイリに行って、向こうでいっぱい論文を書いてます。その論文では、もう、既に、何ミリシーベルト、あの時点では、既に20ミリシーベルト以下、5ミリシーベルト以下は危ないということを書いてながら、福島起こった瞬間に、もう、2週間目には福島に飛んでいます。そこで何を言うか。3月21日に、福島テラスだっけ、あの大きなところ。そこで県民を集めて、3.14から、たった10日間目にどう言っているか。
 「正しく怖がること。ニコニコ笑っている人に放射線は来ません。放射線の影響は、実はニコニコ笑っている人には来ません、くよくよしている人に来ます。これは、明確な動物実験でわかっています。酒飲みの方が幸か不幸か放射線の影響少ないんですね。笑いが皆さん方の放射線恐怖
症を取り除きます」


 2011年の6月25日に出版された『正しく怖がる放射能の話』、これは、あの、原爆資料館に置いてあった、この本。「一回ですが、世界中の反響を呼んで、ドイツからもフランスからもインタビューに来たくらいです。3月21日、あの会見は異様な雰囲気がわかると思います。多くはマスクをして、悲壮感で、恐怖のどん底でした。不快な思いをさせた方には心からお詫びしたいと思います。伝えようとしたのは、精神的なストレスあるいは自律神経の緊張状態は、被爆以上に良くないことが科学的にわかっており、まず、ゆとりを持とうということでした」。(客席から笑い)笑います。これは、福島のお母さんたちは怒ります。この方針は、今に至るまで変わりません。彼は、福島医大の副学長です。依然として。長崎大学からも給料もらって、福島医大からも給料をもらっている。こんなことは、医者の世界ではありえないこと。にも関わらず、福島医大の中で、彼が最先頭で、今の福島の医療状況を差配している。正に、現代のメンゲルだし、それと一緒にやっている人たちの気持ちがわからない。こんな人たちとはやれません。動物実験で笑いが、明確な動物実験でわかるなんて、動物が笑うのを、どうやって動物が笑う。こういう非科学的、非医学的なことを言う人間と、一緒に仕事をしちゃいけないんです!全然。しかも、彼がトップになっている。そして、彼が作ったのが福島県民健康管理委員会。それが、甲状腺だけではないんです。妊婦に対する福島における状況などの、そんなのを全部やってる。ものすごく広い健康委員会を彼が立ち上げて、ずーっと、やり続ける。で、2年前に、その、くわしくは岩波新書に書いてある毎日新聞の記者が書いた『県民健康管理調査の闇』(※2)というのがありますから、是非、読んでください。それで、もう、やるまえに秘密会議を開いて、ひどいことをやったんです。暴露されて、彼は、責任を取ってやめたんです。やめたんだけども!依然として、福島医大の副学長そのまま残ってる。隠然たる勢力を持ったまま、いる。そして、何が起こったか。今でもそうだけど、ともかく、やってやり続ける。あの映画の時点では、ほとんど甲状腺がんは出てなかった。だから、甲状腺がんがあまり出てこない。A1、A2でB、Cで、何か危ないとか、のう胞があるとかって話しかしていない。で、現在は150です、ほぼ。福島は200万人です。全体で。子どもが35万人前後です。そのうち、だいたい、甲状腺がんというのは、だいたい100万人に一人、10万人に一人とも言われてたんです。10万人に一人なら、3.5人平均です。それが年間出てくるだろうと言われている。それが、桁違いに多くなってる。2年目、3年目で。百数十人の人が甲状腺がんの手術を受けているという状況になってる。今なら多分、あそこでお母さんがた、あのお友達のお友達の息子さんが甲状腺がんの手術をやったっていう話に、もう、既になってる。こういう状況に、既になってしまった。

 現在に至るまで、10万人が避難を続けている。県内5万、県外5万です。東京に約6~7000人います。そんな状況です。年間20ミリシーベルト以下は全部帰すという方針です。チェルノブイリでは1ミリです。1ミリ以下、1ミリから5ミリまでは避難権利地区です。5ミリから20ミリは、ほとんど無条件でいなくなる。チェルノブイリなら1ミリ以下に住んでいる人に対する健康相談会やがん検診、治療が、ずーっと、二十何年間続いています。20数万人の方が24日間の保養に行っています。すごいでしょ?24日間の保養に20数万人が、現在もまだ1ミリシーベルト以下に住んでいるところでやっているんです。日本は20まで帰るんです。時間にして0.24マイクロシーベルト以下が、1ミリなんです。0.24だったら、もう、福島県内いっぱいあります。数十万人の人が、本来、チェルノブイリ基準だったら出なきゃならないところに住んでいる。

この状況が、既に5年も経っている。避難している人のうち、約2万人は、依然として、災害救助法で許されている2年間の避難住宅の権限を超えて、住んでいる。2万人の内、1万3千世帯分くらいです。だいたい、1人か2人か。圧倒的に年齢の高い方。そこは、寒いです。人のいるところを離れたところ。まだ、依然として住んでる。戦後最長の避難住宅が続いている。なんで、これを新聞で書かないのか!信じられないくらい!行ってみられたらよいです。一人住んでいる。当然のことながら、バラバラに住まわされているわけですよね。そうすると、元々あった診療所からは切り離されて生きている。そこに住んでいる。避難住宅を、何でちゃんとした住宅を造らないの。そこに造ったら、帰らないから。帰すというのが方針だから。立派な住宅を造んないわけ。神戸震災の時ですら、2年で終わって、どんどんと住宅を造っていったわけですよ。住宅を造って、そこに住んで、最後、戻るか戻らないかという判断をする。今は、造らない。遅れてる。震災住宅を造らないという状況をつくっている。そして、今、避難している人たちに対して、避難の慰謝料、補償金をやっているのが来年の何月かに打ち切るという方針を、もう既に出している。で、打ち切るんだったら帰るのかっていったら、帰らない。帰せない。セシウムの半減期は約28年とか30年です。まだ、5年目です。半減するまで、まだ十数年ある。二十年近くあります。この状態が今のところ続いている。こんな悲惨な状態が現在の福島の状況なんです。あの時点では、映画の時点では、まだ、そんな話はあんまり出てこなかった。1年目、2年目くらいでしたからね。今、5年経ったところでこうなる。当然、この5年目が節目になって、こういう話が延々と続いていく、積み重なってくる。

もう1回、この『A2-B-C』を、今度はCの問題を含めてやらなきゃいけない時代に突入しているというのが、現在の状況なんです。甲状腺がんが増えているっていうことは、あの時点でははっきりしなかったから。そこにも書いておきましたが11月18日朝日新聞に出た津田先生の意見が。是非、是非読んでください。左側にいる福島がんセンターの、どうしようもないことがいっぱい書いてある。ほんっとにね、ひどい医者が多いっていう。僕も医者ですからね、あんまりね、医者の悪口を言いたくないんですけど、本当に、ひどい医者がいるんですよ。さっきのね、映画での海苔を食えっていう話なんかね、信じがたい!非・医学的!非科学的なんです。甲状腺がんっていうのは、本来、I131(ヨウ素131)の、最初の数日間に入ったやつが段々と段々と組織を壊して、どんどんと大きくなっていくということが基本なんです。内部被爆なんです、まさに。外部被爆ではないわけですよ。今から先は、この内部被爆の問題と本当に向き合わなきゃならない時代が来ると、いうように思っています。そして、あそこで言われていたように、この5年間の間で、あれでいいんだと。たくさん出てないからいいんだと。たくさん出ていないなら、別に、そのまま検診を続けていけばいいんですよ。だけど、増えてるんだから。もっと密にやらなきゃなんない。がんの検診は最低1年に1回っていうのは常識なんだから。我々の世界では。それをやらない。危険性があるのに、その期間を短くしないし、大丈夫だと言い続ける。大丈夫と言い続けるし、大丈夫だと言い続けるから、受診者がガタガタに落ちてきてしまった。二重、三重に苦しい状況を福島県に強いてるのが今の状況なんです。


 安倍首相がオリンピックの誘致発言で言ったのは3つです。ひとつは、アンダーコントロールされている。誰も信じていない。どこもアンダーコントロールされていない。もうひとつは、福島において健康問題は現在も未来も問題はないと言ったんです。医者でもないのに何を言うか!お前は預言者かと言いたくなるぐらい。非科学的、非医学的なことを発言している。みっつめは立派な競技場だったんだよな、これも潰れた。3つの誘致・存立条件が既になくなってしまっているんですね。誘致発言はこんな程度のもんです。ただ、あの発言はすごかった。あの発言があったあと、あそこの健康管理委員会の中で、一時、(健康被害を)認めようなんて雰囲気がちょっと、一部出たんです。あれが出たときまた、バーンと振れて、いっぺんにガチガチになってしまった。やっぱり、あれは認められない。なんで、認められないかよくわからない。認めたら再稼動できないからかもしれないし、よくわからない。健康被害が起こるという状況を、やっぱり認めたくないということが、もう最大の利点だと、あ、向こうにとっての利点だと言うことだと思うんです。そもそも、あの福島医大の人たちは、あの時に、抗甲状腺剤を飲んだんです。自分たちだけ!自分たちだけ飲んだんです。私たちが診療している間に、福島医大の看護婦さんの息子さんは飲んでましたよと聞いて、ビックリしたの。唯一、「フライデー」だけが取り上げたの。こんなことは福島のお母さんはみんな知ってることなんだけども、全国の人はみんな知らない。その福島で自分たちだけが飲んでたのに、他の福島のお母さんに、子どもたちをやりながら「心配ない、心配ない」と言い続けるという、この矛盾。自分たちだけは安全なんです。僕たちが、あの人たちが抗甲状腺剤を飲んだという事実をはっきりしろと言っても一切認めない。こういう状況になってる。

甲状腺をやるなという診断の方針、A2、A1だったら他のところでやるなということを(映画で)ちょっと、話してましたよね。それは、県なのか。いや、山下・鈴木と言えば、甲状腺学会の前の会長と前々の会長ですからね、すべての県、全国の、県内の医療機関と、それから、甲状腺がん、甲状腺の専門家のところに、こういう通達を全部出して、“過剰診療にならないように努めてまいります“と、いうことを言い切った。ちゃんと文章として残ってる。過剰診療とは何か?診療ってのは診断と治療でしょ。過剰治療はまずいですよ。過剰診断でなぜ悪いのか。しかも、“努めてまいります”ということは、ようするにレセプトをチェックするぞということを言ってるんだ。自己は3割負担、7割は基金から戻ってくる。それをチェックするわけ。それは全部、福島だと福島医大しかいないわけ。東京なら何箇所もあるから平気だけど、福島医大の。だから、保険診療をやると7割分はカットするぞということを言ったわけです。彼らは。それも、文章ですよ。恐らく、医師法違反ですよね、あれは。ああいう、自由診療を侵すようなことは本当はしちゃいけないんだけど、金は握ってますから。したがって、すべての診療機関ができなくなっちゃった。医者の悪口は言いたくないが、いくらでもありますよ、そりゃ。だから、みんな怒っているわけですよ。医者のことがバーッと出てくるわけです。私なんかも同じ医者と見られて本当に悲しい思いをいっぱいした。で、何とか、普通の診療所。しかも、保険でやってください。保険でやるって技術が難しいんですよ。やっぱり、検診的な要素がありますからね。全部削られるっていう可能性があった。やれるもんならやってみろって話をして、やったら、みんな、告訴するぞとか言って大騒動しながら保険診療で、ずーっと流してるわけ、今でも。一時は、ものすごい、バッサバッサ切られました。もう、お金がなかったら、もうアウトするところでした、本当。それはもう、数千人の共同資金のカンパがあったからこそ持ちこたえたという。本当にもう、それ以外には、本当に診療所は、本当に、まさに共同のね、福島県民と全国民の、あ、外国もありますけど、全世界の人たちの気持ちで成立している診療所なんです。だからこそ、人間も来るし人も来るし、うん。保険で使えないけど、保険証出さない人もいるわけですよね。何でですかっていったら、「私、警察ですからバレるとまずいんで」という人とか色々いるわけです。それぐらい、来るわけ。そういうふうな感じになってしまった。でも、依然として行われていることは、安全で、安心で、帰還して、復興しよう、このキャンペーン。でも、それ、大いにありうるとおもうんです。現在もなお、原発のあの取り出しを真剣になってやろうとしている。ロボットのロボットのロボットを作ってやろうというね、やってる。あれを取り出すのが、また危なくてしょうがない。本当から言うと。そういうことが起こりうる。

 それから、除染の話。僕もちょっと言いましたけど、どこかでも山林はもう完全に諦めました。福島県も。年間3000億、2700億から使うんですよ、除染に。ちょうど、あの、新しい、古いほうの前の国立競技場と同じくらいの建設資金を福島県内の除染に使ってるわけ。1兆何千億ですよ、5年間で。それでも、下がらない。帰せない。5年経ってもまったく展望がない。彼らの20ミリシーベルトのレベルですらもそうなんです。その状況が続いている。だいたいね、行政区間ごと帰るというのはおかしんですよ、本来はね。平均でやっちゃうから。高いとこも低いとこも合わせて平均で帰すっていう。行政区ごと帰さなければ帰せないところもあるんだけれども、何もないところに帰すわけですよ。診療所も無い、コンビニも無い、何も無い。いるのは警察と消防と。学校も無いから。いうところに無理やり帰そうとしてる。避難解除で切るから、切られた人たちは帰らなければ補償金は無いから。それでも、都路地区を含めて、せいぜい10%くらいですよ、帰ってるのは。帰れない。そういう人たちが全国に10万人、国の方針に断固として反対し、自分の命と、健康と、子どもたちの未来をかけて、がんばりぬいているわけですよ。それを支えなくてどうするんだ。基本は避難なんです。やっぱり、依然として避難なんです。避難をすること。だって、病気になったらまずいんですよ。「医療の本質は病気にならない」ということをやらなきゃダメなんだ。我々が臨床診療所をつくるときに、向こうに行って医師会に出したときに、私たちは避難を求めます。言ったら、医師会の人が、「それじゃ、あんたんとこの診療所、儲かりませんね」と言ったの。いいんです!儲からなくて、いいんです!避難が完璧にできて、保養ができていれば、何の問題も無いんです。本来、医療というものはそういうものなんです。これが共同の意味なんです。福島県の人たちと共に、共同にやり抜こうと、このことを。だから、避難であり、保養であり、医療なんです。この、3つなんです。我々は最後の医療のところを必死になってやる。保養に行ってください。できるだけ多く、長く。全国で何十箇所の人が、まだ、数千人ですよ、せいぜい、まだ、数百人のレベル。チェルノブイリ基準であると、今のを言うと、10万人前後ですかね、やらなきゃなんないのはね。ともかく、そういうのが、20日とか30日とかっていうレベルを戻してる。これが、チェルノブイリの基準であって、日本の基準で、世界の基準でなければならない。そこに、診療所。そういう状況で、ずーっと続いてやり始めたってとこが本当のとこ何です。

で、我々は、甲状腺はあくまで一部だと思っています。他に、もっといろんながんや、老化そのものや、いろんな、成人病の類。肥田舜太郎先生って言ってね、日本民医連の創設者である、週刊女性にちょっと1回出た。「ヒロシマ・フクシマを忘れるな。内部被曝と闘え」本当にもう、すばらしい。あの人が言った、「原爆ぶらぶら病」なんて、今から考えれば、そうですね、やっぱり、こう、免疫っていう概念があの時代はありませんから、免疫が落ちて、だんだんおかしくなってしまうってことを言ってるんだと思うんだけど。あれは、やっぱり、みずからもって、自分たちと広島における、この、本当に患者との血の滲むような努力をして、そこから出てくる言葉を、我々は今、使える。そういう状況が、多分、一番恐ろしい。一番、命を縮める理由だというふうに思っている。で、甲状腺はわかりやすいですから、どんどん、甲状腺を中心にもっとやらなきゃならない、そういった、長期の内部被爆との闘いをやんなきゃなんないってのが、今から先の医療面での福島における実態的な考え方だという。そうすると、これは、何十年も続けなきゃならない。もう、65になりましたので。何年やれるかわかりませんけれど、やれる限界までやるという。どんどんと新しい人たち、若い人たちを、どんどんと集中させて、やっていかなければならない。それを、みんなで支えなきゃなんない。まさに共同の診療所として、やらなきゃなんないというのが、現状の状況だというように思っています。甲状腺に関しては、150人の患者さんが出ました。

今、甲状腺委員会では手術して、管理委員会では何を言い始めているか。中間まとめというのをやってるんですよね。中間まとめで、どういうことを言っているか。最初、これだけの数が出ながら、出ながらですよ。ともかく、あれは関係ないと言い続けるわけです。さすがにね、多発は認めるようになったの。それは、どう考えても多発だから。多発が何なのかということを一切言おうとしない。なぜ、放射線じゃないのかってことを言うために、3つ、4つのいろんな意見を積み重ねている。ひとつは、福島は放射線量が少ない。誰が言ったの?いつ、言ったの?そんな、政府声明出たのか。出たことはない。にもかかわらず、無前提で放射線量が少ないと言い続ける。ふたつめは甲状腺のエコーが、なんか、丁寧になったから?何を言ってるの!若手の医者がやってるんじゃないから、最初からそうなんですよ。あれ、言った通りなんですよ。もう、2年目の最初の段階で、強力に汚染されているところが少なかったけど、だんだん上がってくるのは、まさに、全般的に、ザーっと上がってきてる証拠なんですよ、あれは。そんなね、下手くそなんて、そんなのありえない。あれはね、海苔以上にひどい言い方ですよ。そんなに、医者の技術を無視した発言ですよ。そんなことはだって、あんなもの、技術なんて簡単に上がりますからね、そんなことありえない。にも関わらず、言い続ける。で、そこにも書きましたけど、チェルノブイリでは4年、5年目からがピークなんです。そこでもう、ブレイクアウトするんだってことを津田先生は言ってらっしゃる。当たらない方がいいです。当たらないほうが、外れてくれるのが一番いいです。当たるんだってことを考えてやるしかないんです。大丈夫だってやって、やる検査と、危ないと思ってやる検査じゃ、もう、精度が全然違うってことを、お母さんがた、すぐわかるわけですよ。

そして、これから先に起こるであろう内部被爆との長期の闘いを、長期の規準を、いかに診療所がやっていかなければなんないのかなってことをさかんに思うわけです。「甲状腺がんは予後がいい」なんてことを、さかんに鈴木って、まあ、鈴木教授が。今現在、もう、ちょっと、あそこの中で内部分裂起こしちゃって、鈴木教授は、どっかに消えちゃったんですね。引いたんだけども、そこに送るわけですよ、全部、福島医大は。で、こっちの方では、やれ、過剰診療だなんてことをさかんに言ってる。過剰診断だから、たくさん増えちゃったんだ。向こうは、鈴木は、「いや、過剰じゃない」。こんなね、今まで、鈴木教授はずーっと甲状腺がんは悪性は少ないんだと言ってたのに、いや、いっぱい悪性がいると言い始めた。本当に情けない。悲しい事態が現在も続いている。転移している方が結構多いんです。悲惨な状態が続いている。予後がいいとか、さかんに言うわけです。で、いろんな、朝日新聞の左側にいた、がんセンターの人たちは、死亡率を下げないような検診はやめるべきだと言い始めている。がん検診って、死亡率を下げるためにやってるの?違う、違う、死亡率を下げるためにやってるから、早く見つけて適度に早期に治療しようって考えるから、がん検診やるわけでしょう。それなのに、甲状腺は早くやっても差は無いから、一人ぐらいしか増えないから平気だって。一人でも増えたら大変なのに。多分、もうね、やる気が無い。だんだん縮小するとかね、任意性にするとかっていうことはね、大いに有りうると思う。我々に力があれば、俺達が全部引き受けるんだけど、まだ、力がありませんので全部引き受けられないんで。今のところは、今の状況をもっと続けてください、もっと徹底して受けるようにしてください。それが、福島県の子どもたちの健康を守る道なんだということを言い続けなきゃならない。何か、逆になってきた。むしろ、がんばって、ちゃんとやりなさい。という方向に今は既になりつつある。そうでないと救えない。それくらいの、30万人が毎月、毎年1回やり続けるっていうのは、もう、大変なこと。これはもう、全国の医者が、全国の医療関係者が、全力を持ってやらなきゃなんない事態に、今は陥ってしまっているってのが現状なんです。私たちは、内部被爆の問題を真剣になってやらなきゃいけないっていうことを何度も、いずれ、長期内部被爆に関してどうするのかって問題が、今から先は大いに問題になってくるであろうし、それを全般的にやんなきゃなんない、全面的に動かなきゃならないということを身にしみて感じている。甲状腺問題は色々あります。だいたい、今日配ったものを読まれたらだいたいわかると思いますんで。ここにあった、受付に置いてますけど、去年の3・8被爆医療シンポジウムでやりましたように、それの報告集があります。この報告書に、ほとんど全部のことが書いてありますから、よろしければ買って帰ってください。

 もうひとつの問題。福島における健康問題から言うと、この『A2-B-C』では全く触れられていない孤独死の問題と、それから避難住宅の問題を、もう一度、述べておかなければならないと思う。一般的な原発の被爆による死者というのは、多分、もちろん、甲状腺の子どもたち、普通の大人、それから除染の労働者。フクイチに行ってる7000人ですか?解体労働者。それから、除染労働者。まったく、何もせずに、高圧ホースでバーッとまいて、ゼネコンの3次引き受けぐらいの状態でピンハネされながらやってて、何にも付けずにやっている1万数千人の労働者。それから、まあ、ギリギリまで行かなきゃなんない警察とか、宅配便だとか公務員の類い。その人たちの被曝量は当然多くなってくる、あそこに近づけば近づくほど多くなってくると思う。そういうことに対して、本当に警鐘を鳴らし、健康推進といったら、やっぱり、避難、保養、医療の、この原則を守りきって、福島県の健康を守らなければならない。

我々、ひとりひとりが、まさにその、被曝国日本の、広島、長崎、福島と続いたこの事を、本当に守りきらなきゃならない。このことは、外国の方がよくわかってるんですよね。むしろ、日本人のほうが、この事の実態と難しさをわかってない。その事を何十年も続けてやっていかなければならない責務が絶対にあると思う。その上で、現行の非常に重要な問題として起こっているのが、いわゆる、関連死の問題なんですよね。関連死って、ようするに、神戸の大震災以降、関連死が問題になって、避難や、生業を喪ったり、いろんなプレッシャーに侵されて、自ら死を選んだり。それから、避難の中で寒いし、状況も悪いし、あんなとこで4年半も。本当に、いっぺん行かれたらいい、中、入られたらいい。それくらいの状況で4年半、住み続けさせるという、なんという恐ろしい。福島の震災で亡くなった方は、ほとんど津波ですけど1600弱。関連死は2000人を超えてるんです。既に。だから、5年間で、まだ5年経ってませんからね、だいたい年間400人です。月、十数人の方が、関連死として認定されている。認定されてるって、関連死と書いて死ぬわけじゃありませんから、家族の方が申請して、申請しない人もいっぱいいるわけです。申請して認められて、死亡一時金?何か貰えるんです。そんなの、いらないって人もいっぱいいるから届けない。それで、だいたい8割ぐらいしか認められないんだけど。岩手や宮城は数百です。400人ぐらいづつ。福島だけは2000人を超えてる。月13人です。大虐殺、というべきでしょう。そんなことが続いている。圧倒的に、お年寄り。避難して生業に戻れないっていう不安に苛まされて、肉体的にも精神的にも追い詰められて、亡くなるってことが今も続いている。今も、続いている。ここに、やっぱり、やらなきゃいけないこと。ここを早く進まなきゃ。私たちは、余力ある限り、これは、本当に直接避難所に、こんな小さな診療所なのに行って、コンコンとたずねて、「どうですか?」というのを、どんどんやらなきゃいけない。それをやり続けなきゃなんない。ボランティアの方々が数年間おりました。今、本当にいなくなりました。

私、外国の難民キャンプをみたから言いますけども、日本の難民キャンプの、何ていうの、こうバーっと、並んでるでしょ?順番に。外国の難民キャンプってのは全部ね、丸く造るんですよ、円で。真後ろにね、住居を置かないの。真後ろに入り口があると、すごく不安になるわけ。微妙にずらして、真ん中にモスクだとか仏教寺院なんかを入れるわけですよ、全部。それが、キャンプの基本的な考え方です。日本人は並べりゃ済むと思ってる。スイスにある高等難民官事務所の人が、日本はこうしてますよって言ったら、「えっ?それはアウシュビッツでしょ」と言われた。世界の常識と日本の常識がどれくらい違うかということを考えると、我々はアウシュビッツを強制してるんですよ、福島県に。これぐらいのことが、福島では行われてるんだということを何度も何度も言わなければならない。と、いうように思います。一軒づつ訪ね歩いて、ほんとにね、おばあちゃん、おじいちゃんとお話しをしなきゃならない。何とかしてあげなきゃならないということが現在も続いている。神戸大震災では2年半で全部終わりました。5年経っても全く終わっていません。新しい住所の展望も全くありません。これが続くんです。なんという恐ろしいことか。この2点が福島における大きな、これから先医療上の、また、医療上ということは皆さんがたの基本的な考え方でなきゃならない、いうように思います。自分たちは何が望みですか?というと、“健康です”と必ず言うでしょう。自分の健康と共に、福島県民の健康を考えてもらいたい。福島県民の健康をやらなければ私はおちおちと眠れない、という状況でなきゃならないだろうと、いうように私は思います。私はこの3年間、福島に通い詰めて、そのことだけは本当によくわかりました。その事が無い限りは落ち着いて眠れない。それぐらいの気持ちで、ならなきゃならないと、いうように思います。毎日、毎日、こうやって甲状腺をやられて、あそこでやられた子どもたちの気持ちを考えると泣けてきますよね、本当にね。放射線のあれで帰ると、幼稚園から帰ると、バタバタバタバタこう、ブラシでたたいて中に入るなんてことが延々とまだ続いているわけです。しかも、あの、いい加減なやり方で。全然、除染もないとこで、ずっとやり続けてるってことを、もう一度、自分たちが福島の状況をいったいどう考えるか、5年目の福島をめぐるときに、もう一度考えてもらいたいというふうに思います。私は全部がんばって、あそこで診療所を何人かと、まさに共同の診療所をやり続けていかなければならない。それは、みなさん、住民のみなさんと本当の共同のものとして、やりぬいていかなければならないし、そのことを本当に支援してもらいたい。是非、お願いしたいということを、お願いして終わります。

(※1)NHK総合1月17日放送のDoki!Doki!ワールドTV
(※2) 岩波新書赤1442 『福島原発事故 県民健康管理調査の闇』日野行介著

 

 

 発行:ふくしま共同診療所 024-573-9335 fukukyoli@ark.ocn.ne.jp

編集:本町クリニック事務局 042-324-9481 suzuki@honkuri.com

650円(銀行口座)みずほ銀行国分寺支店

    普通 4282013 名義『被曝・医療月報』


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