原発とめろ!新橋アクションのブログ

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福島第一原発は石棺で封じ込めるしかない 小出裕章・元京都大学原子炉実験所助教が会見

2015年04月29日 | 福一事故

福島第一原発は石棺で封じ込めるしかない 小出裕章・元京都大学原子炉実験所助教が会見

ビデオニュース・ドットコム 4月29日(水)8時30分配信

 原子力の研究者でありながら原発の危険性を一貫して訴え、この3月に京都大学を定年で退官した元京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏が4月25日、外国特派員協会で会見し、福島第一原発はチェルノブイリ原発のように石棺で封じ込める以外に、これを収束させる方法はないとの考えを示した。
 小出氏は、東京電力が計画している、格納容器を補修して水を張り、メルトダウンした核燃料を上からつまみ出す方法について、放射線量が高くてそのような作業を行うことは不可能だと指摘。東電は溶け落ちた炉心の一部は圧力容器の底に残り、残りは格納容器の底にたい積していると主張しているが、実際は格納容器内に広く散乱している可能性が高いため、取り出すことが難しい。しかも、格納容器のどこに穴があいているかを調べることさえ困難な状態で、そのような方法ではいつまでたっても廃炉にすることはできないと語った。
 その上で小出氏は、溶け落ちた燃料の取り出しは出来ない以上、チェルノブイリ原発のように石棺で封じ込めるしかないとして、まずは汚染水を大量に生み出している現在の水冷方式を諦め、金属冷却か空冷を採用し、上からカバーをすることで放射能の飛散を防ぐ必要があるとの見方を示した。また、その際に地下水の流れを止めるために、地下ダムが必要になるとも指摘した。
 ただし、石棺を作成する前提として、まずは1~3号機の使用済み燃料プールに残る1,393体にのぼる使用済み核燃料を安全な場所に移す必要があるが、その作業に何年かかるのかさえ見通しが立っていないとして、福島原発が「アンダーコントロール」と考えるのはまったくの間違いだと語った。

最終更新:4月29日(水)8時30分


“フクイチ”で新たな恐怖! 海外の研究者や政府関係者が不安視、苛立つ最悪の「地底臨界」危機進行中?

2015年04月29日 | 福一事故

“フクイチ”で新たな恐怖! 海外の研究者や政府関係者が不安視、苛立つ最悪の「地底臨界」危機進行中?

2015年4月28日(火)6時0分配信 週プレNEWS

 

記事画像

福島第一原発は透水性の高い「中粒砂岩」の岩盤の上に立つ。そのため核燃デブリがメルトアウトした場合、すぐに陸側から流れる地下水流と接触し、水蒸気爆発や臨界反応を起こしやすいと推定できる。デブリは今、格納容器内のコンクリート上にとどまっているのか、それともコンクリートを突き破り地盤に到達しているのか…… 拡大 ]

4月3日から福島第一原発2号機の格納容器の温度が約20℃から70℃へ急上昇し、2日後には88℃に達した。

それと連動するように、原発周辺の「放射線モニタリングポスト」が軒並み高い線量を記録。復旧したての常磐自動車道・南相馬鹿島SA(サービスエリア)で通常の1000倍にあたる毎時55μSv(マイクロシーベルト)を最大に市街地各所で数十倍の上昇が見られた。(前編記事→http://wpb.shueisha.co.jp/2015/04/27/46919/)

これは一体、何を意味するのか? 考えられるのは、原発内の核燃デブリ(ゴミ)が従来の注水冷却工程に対して異なった反応を示す状態に変化した可能性。例えば、デブリが格納容器下のコンクリートを突き抜けて地盤まで到達(メルトアウト)し、地下水と接触するなどだ

福島第一原発1~3号機では、巨大地震直後に圧力容器内の核燃料がメルトダウンし格納容器の下部へたまった

それは昨年4月から7月にかけて名古屋大学が2号機で実施した、宇宙線から生じる物質貫通力が強い「ミュー粒子」を利用した透視撮影で明らかになった。

さらに、同じく1号機格納容器内の底から約2m上の作業スペースで行なったロボット調査でも、数千℃の超高温デブリが圧力容器を溶かして落下した痕跡が撮影された。だが、デブリの正確な位置は特定されていないし、ミュー粒子画像に映った格納容器の底は平坦に見えた。

となると、100t超といわれる大量のデブリ塊はどこへ行ったのか? 半球状の格納容器底部の内側は厚さ約3mのコンクリートを敷いて平らになっているが、そのうち深さ70㎝ほどが事故の初期段階で高熱デブリによって溶解した可能性があると、東電はこれまで発表してきた。

この推測について、元・東芝の研究員で原子炉格納容器の強度設計を手がけた後藤政志氏(工学博士)に意見を聞くと、「今回のミュー粒子による撮影でわかったのは、格納容器が間違いなく壊されたことで、これは2、3号機にも当てはまると思います。

しかし、ほぼ地面と同じ高さに感光板を置いた撮影なので、核燃料が実際今どこにあるのかの判断材料にはなりません。東電の言う70㎝という数字の根拠はよくわからない。コンクリートや建材の金属と核燃料が混ざり合った状態のデブリは、もっと下まで潜り込んでいるとも考えられます

ただし、ほかの物質が混じって時間がたっているのでデブリの放熱量は減り、容器の底の鋼板(厚さ20㎝厚)までは達していないはずです。仮に鋼板が溶けても、下には5、6mのコンクリート層があるため、その内部で冷却バランスを保って止まっていると思います」

もしも核燃デブリが格納容器を突き破れば、メルトダウンから先の「メルトアウト」に進んでいくわけだが、実は先日、調査途中で止まったロボット装置について記者会見に臨んだ東電の広報担当者は、意味深長な感想を述べた。

格納容器内では10Sv(1000万μSv)のすさまじい高線量が計測されたが、それでも予想していた10分の1ほどだったと言ったのだ。その意味するところは、デブリが金属格子の作業用足場から見えるような位置ではなく、ずっと深くまで沈んでいるということではないのか。

また最近、東電の廃炉部門責任者がNHK海外向け番組で「2020年までに核燃デブリの取り出しに着手する」という作業目標について「困難」とコメントしたが、これも状況が非常に悪いことを示唆しているのかもしれない。

「メルトアウト」または「チャイナ・シンドローム」とは、核燃デブリが原発施設最下層のコンクリートすら蒸発させ、地中へ抜け落ちていく状態で、それが現実化するかどうかは後藤政志博士が語ったデブリの温度次第だ。1~3号機内では4年後の今も各100tのデブリが4000~5000℃の高温を発し、メルトアウトの危険性が高いと説く海外研究者もいる。

例えば、「IAEA(国際原子力機関)」の“不測事態の管理技術会議”は、2012年時点でデブリが格納容器と下層コンクリートを溶かし、自然地層へ抜け出た可能性を指摘している。具体的にはデブリが施設地下6、7mまで沈み、直径10~15mの大穴の底にたまっているというのだ。

この仮説でも地殻を突き抜けるようなメルトアウト現象は否定しているが、代わりにひとつ厄介な事態を予測している。それはデブリの核分裂反応が再び爆発的に加速化する可能性だ。

通常ならば、原子炉や実験施設内でコントロールされる「再臨界」は自然状態でも一定の条件が整えば起き得る。その条件とは中性子と水、地質。IAEA技術会議のシミュレーションでは、まず原発地下の水流と岩盤層が中性子の反射装置となり、デブリ内のウランやプルトニウムが連鎖的に核分裂していく。

そして膨大な崩壊熱で水蒸気爆発が繰り返され、新たに生まれた放射性物質が地上へまき散らされる…。

琉球大学理学部の古川雅英教授(環境放射線学)は、こう分析する。

「そうした自然界の臨界現象は、アフリカ中西部のウラン鉱山(ガボン共和国オクロ)で20億年前に起きており、当時の地層が海底にあったことが中性子による核分裂反応を少なくとも60万年間にわたり持続させたようです。その点では、大量の地下水が流れる福島第一原発の地質構造も共通した条件を備えているかもしれません」

飛距離パワーが強く、人体を含めて通過した物質の原子を「放射化」させる中性子線そのものの威力はとてつもない。1999年に東海村の核燃加工場で起きた「JCO臨界事故」では、ウラン化合物約3㎏の連鎖分裂で半径10㎞圏の住民約30万人が屋内退避した。

それに対して、質量がケタ外れに多い福島第一原発のデブリが「地底臨界」すれば、東日本どころか地球規模の超巨大原子力災害に突き進む! だからこそ海外の研究者や政府関係者たちも福島第一原発事故処理の不透明な現状に対して不安と苛立ちを募らせているのだ。

事実、この悪夢のような破局シナリオが決して絵空事でないことは、他の科学的事実からも裏づけられる。

そのひとつ、CTBT(包括的核実験禁止条約)に基づき「日本原子力開発機構」が群馬県高崎市に設置した高感度の放射性核種監視観測システムには、昨年12月から福島第一原発の再臨界を疑わせる放射性原子、ヨウ素131とテルル132が検出され続けている。

また福島第一原発2号機横の観測井戸では、今年に入って新たな核分裂反応の再発を示すセシウム134とトリチウムの濃度が高まるばかりだ。昨年秋に開通した国道6号線の第一原発から第二原発までの12㎞区間でも高線量が続いている。

果たして、福島第一原発はメルトアウトで地底臨界という最悪の事態を迎えつつあるのか?

今回の格納容器温度の急上昇、一部地域での急激な線量アップは、原発事故が日本政府の大ウソ「アンダーコントロール」とは正反対の新たな危険領域へ入ったことを示しているのかもしれない。

(取材・文/有賀 訓)


福一作業員が死亡 タンク設置工事で落下

2015年01月20日 | 福一事故

福島第1作業員が死亡=タンク設置工事で落下―東電

時事通信 1月20日(火)6時58分配信

 東京電力福島第1原発でタンクの設置工事中に協力企業の作業員が落下した事故で、東電は20日、作業員が死亡したと発表した。2011年3月に発生した原発事故の後、作業中の死亡事故は2件目。第1原発では今年度、作業中の事故による負傷者が相次いでいた。
 福島県警などによると、死亡したのは元請けのゼネコン安藤ハザマの作業員、釣幸雄さん(55)。
 事故は19日午前9時5分ごろ、第1原発3号機西側で雨水をためるタンクの設置工事中に発生。釣さんは検査のためタンク天井部に上り、天板の一部を外そうとしたところ、約10メートルの高さからタンク内に転落した。当時、現場では東電社員1人を含む3人で検査の準備を進めていたという。
 釣さんは複数の箇所を骨折し、福島県のいわき市立総合磐城共立病院に搬送され治療を受けたが、20日午前1時20分すぎに死亡が確認された。 

福島第1作業員が死亡=タンク設置工事で落下-東電

 

 東京電力福島第1原発でタンクの設置工事中に協力企業の作業員が落下した事故で、東電は20日、作業員が死亡したと発表した。2011年3月に発生した原発事故の後、作業中の死亡事故は2件目。第1原発では今年度、作業中の事故による負傷者が相次いでいた。

 福島県警などによると、死亡したのは元請けのゼネコン安藤ハザマの作業員、釣幸雄さん(55)。
 事故は19日午前9時5分ごろ、第1原発3号機西側で雨水をためるタンクの設置工事中に発生。釣さんは検査のためタンク天井部に上り、天板の一部を外そうとしたところ、約10メートルの高さからタンク内に転落した。当時、現場では東電社員1人を含む3人で検査の準備を進めていたという。
 釣さんは複数の箇所を骨折し、福島県のいわき市立総合磐城共立病院に搬送され治療を受けたが、20日午前1時20分すぎに死亡が確認された。(2015/01/20-11:14)2015/01/20-11:14

 

汚染水漏れ口、2年放置 事故直後、対策発表 東電福島第一原発

2013年08月01日 | 福一事故
 

朝日新聞

 福島第一原発の放射能汚染水流出について、東京電力が事故直後の2011年4月、流出元の建屋と地下坑道の間の「遮断」を防止策として公表しながら、2年以上、建屋の漏れ口をふさがずに放置していたことが分かった。今夏、汚染水が海へ漏れていることが判明し、ようやく遮断工事の試験の準備に入った。対応の遅れが汚染拡大を招いた可能性が高い。

 

 東電は11年3月27日、2号機タービン建屋そばの地下坑道に毎時1千ミリシーベルト超の汚染水がたまっているのを見つけ、翌日発表した。その際、地下坑道と建屋地下階の仕切りが津波で破られ、水の通り道ができたようだと説明した。朝日新聞記者は当時の会見で、汚染水が坑道のつなぎ目から地下に染み出して海へ漏れ出す可能性を質問したところ、東電の課長はその可能性を認めていた。

 東電は同年4月17日に事故収束への道筋を発表。2号機の汚染水流出で「再発防止策を検討・実施」した例として、実施済みの二つの対策と並んで「トレンチ(坑道)と建屋間の遮断」を発表資料に明記した。だが、実際は漏れ口をふさいで遮断しておらず、その後も放置していた。坑道の海側の端をコンクリートや砕石でふさぐ応急措置で十分と考えたとみられる。

 今年6月以降、汚染された地下水が海に流出していることが分かり、坑道にたまった汚染水が地下に染み出して海へ漏れた可能性が強まっている。東電によると、今も建屋と坑道は筒抜けで、高濃度汚染水が新たに流れ出している恐れがあるという。

 東電は取材に対し、坑道の海側の端をふさいだ措置が「トレンチと建屋間の遮断」にあたると主張。建屋の漏れ口の遮断は、政府の指示で12年5月に「信頼性向上対策」をまとめた以降は検討してきたが、「(技術的に)難しく、結果として今も閉塞(へいそく)できていない」としている。

 (編集委員・奥山俊宏、多田敏男)

 

 ◆キーワード

 <汚染水流出問題> 原子炉冷却のため注入された水が汚染されて建屋へ漏れ出し、事故直後には海へ流出した。地下坑道にもたまっている。今年5月以降、海側の井戸の地下水から高濃度の放射能を検出。東電は7月19日に汚染水が海へ流出していると判断したのに22日まで公表せず、批判されている。


<福島第1原発2号機>ネズミ死骸発見 冷却装置停止し点検

2013年04月22日 | 福一事故

毎日新聞 4月22日(月)13時1分配信

 東京電力は22日、福島第1原発2号機の使用済み核燃料プールの冷却装置を停止したと発表した。屋外にある変圧器の内部でネズミ2匹の死骸が見つかったため、機器を点検する。


【雑草が…屋外にある変圧器の様子(東京電力提供)】

 東電と原子力規制庁によると、作業員が同日午前10時15分ごろ、プール冷却用変圧器内部の端子近くでネズミ2匹の死骸を発見。ネズミを取り除き、同11時35分ごろ機器の点検のために電源を停止した。起動は3~4時間後になる見通し。

 電源停止時点のプールの水温は13.9度。保安規定の65度まで上昇するには時間に余裕があり、東電は「点検のため念のため停止した。管理上問題はない」としている。【鳥井真平】


東電 漏水事例知っていた

2013年04月18日 | 福一事故

貯水槽建設当初から 国に報告せず

本紙取材で判明(赤旗)

 高濃度の放射能汚染水が東京電力福島第1原発の地下貯水槽三つから相次いで漏れた問題で、東電は貯水槽の建設当初から、水漏れ防止に使ったシートの漏水事例を把握していたことが本紙の取材で分かりました。建設中に行った国への説明では、シートを使った工法の実績を強調しながら、漏水事例は報告していませんでした。

 東電は2012年4月から13年1月にかけて、地下貯水槽7基を建設。この際、産業廃棄物処分場の構造を参考に、合成樹脂のシートで水漏れを防止する工法を採用しました。

 この工法について東電は12年8月15日に原子力安全・保安院(当時)に行った説明で、シートを使った処分場などが「全国で400カ所以上ある」とし、すでに安全性が確認された技術であるかのように強調していました。実績のなかでシート破損などによる複数の漏水事故が起きていることは示していませんでした。

 東電は本紙の取材に、「ほかの事例で漏水していたことは建設前から知っていた。把握した漏水事例はシートが1枚だったので、2枚にすれば漏れないと考えた。結果としては漏れた」(広報部)と説明しています。


昨年度の退職700人超=1.5倍に増加―東電

2013年04月16日 | 福一事故

時事通信 4月16日(火)3時0分配信

 東京電力の2012年度の自主退職者が約710人となり、11年度(465人)比で約1.5倍に増加したことが15日、明らかになった。経営の先行きをめぐり将来への不安が影響していることに加え、収入の減少も退職に拍車を掛けているとみられる。
 自主退職者の内訳をみると、11年度は30歳以下が半数を占めたが、12年度は40代など中堅社員にも退職の動きが広がった。部門別では経営の中心となる企画部門のほか、営業部門や原子力部門の退職者が多かった。 


第1原発港湾内のアイナメ、ムラソイから43万ベクレル

2013年04月15日 | 福一事故

 東京電力は12日、福島第1原発の港湾内でとったアイナメ、ムラソイから1キロ当たり43万ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。食品の基準値(1キロ当たり100ベクレル)の4300倍に相当する。同港湾内で採取した魚介類の放射性濃度の最大値は今年2月に採取したアイナメの74万ベクレル。

 港湾口付近で3月8日に採取のアイナメ、東波除堤周辺で同28日採取のムラソイから検出された。
(2013年4月13日 福島民友ニュース)


それはお金に換算できない(4月14日)

2013年04月15日 | 福一事故

 復旧だけはありえない。にもかかわらず、将来に向けてのビジョンの不在ゆえに、膨大な資金がただ復旧のために蕩尽[とうじん]されようとしている。そこに、よじれた不幸が見え隠れしている。除染さえ進めば、村や町に帰ることができるはずだ、そう信じていた。

 しかし、除染は「移染」にすぎず、至る所に放射性廃棄物の仮置き場を造り出し、これから始まる「減容化」の作業は、途方もない高濃度の放射性廃棄物を生み出すことだろう。それが除去や浄化の不可能なモノであることから逃れる術[すべ]は、どうやら存在しない。
 何が起こったのか、これからさらに何が起ころうとしているのか。多分、わたしたちはいまだ、それを明らかな言葉をもって語ることができずにいる。福島第一原発の爆発事故が、天災と人災が絡まり合った、前例なき巨大な災害であることは否定しようもないが、その原因究明は依然として「藪[やぶ]の中」に放置されている。
 それでいて、事故の「収束」が早々と宣言され、今は警戒区域の解除が進められている。その傍らでは、ネズミ1匹によって深刻な事態がもたらされ、高濃度の汚染水が遮蔽[しゃへい]シートから漏れ出している。全てが応急措置の段階にあり、数十年に及ぶはずの廃炉へのシナリオは示されていない。
 どこで、誰が議論をしているのかすら、定かには見えない。なかったことにして、やり過ごすことができるならば、それでもいい。しかし、忘却が許されぬ現実として、メルトダウンを起こした原子炉や燃料棒や放射性廃棄物がむきだしに転がっている。
 見えない放射能の恐怖によって、家族は解体に追いやられ、暮らしやなりわいの基盤は破壊され、コミュニティーや絆は根っこから切り崩された。そのどれもが、どれだけの札束を積まれようが回復されえないものであることを、忘れるわけにはいかない。元通りにしてくれるなら、何ひとついらない、という声こそが真実を宿しているにちがいない。
 以前に、ダムに沈んだ戸数が四十数戸のムラについて「もしそのムラを再建するとしたら、どのくらいの資金が必要か」と専門家に問いかけてみたことがある。その高名な学者は、言葉を選びながら答えてくれた。「ダムの建設につぎ込まれた数千億円で、なんとかムラの外見を復元することはできるかもしれないが、人々の暮らしや人間関係やコミュニティーを再建することはできない、それはお金には換算しようがないものだから」と。あまりに当たり前の答えであったが、妙に新鮮であったことを思い出す。
 繰り返すが、復旧などありえない。お金で解決できることはわずかでしかない。救世主は現れない。政治家も官僚も、学者も専門家も、将来への魅力的なビジョンを提示して、多くの人を説得する力を持たない。だから、わたしたち一人一人が、試行錯誤の中、それを探し続ける道を選びたい。草の根の力を信じたい。それぞれの足元に埋もれている泉を掘り当ててみたい、と思う。(赤坂憲雄、県立博物館長)福島民友