どんなに時代が変化しても原理は変わらない

　後継者の育成ほど指導者にとって頭を悩ませる課題はないに違いない。

　先週の火曜日「第八回 虎ちゃん囲碁まつり」を取材して、福井さんも大西先生も「徐々に子どもたちのレベルは上がっている」と嬉しそうに感想を述べられていた。故郷の子どもたちが育っていると実感できる事業に参加しているスタッフの皆さんは幸せだと感じる。

　今、因島を取り巻く環境は、凄まじいスピードで変化しつつある。来年の尾道市との合併に向け、足元から今まで故郷に持っていた価値観そのものが変化しつつあるからだ。

　では、変わらないものに何があるのだろう。

　この町で生まれた記憶、育ってられた記憶、育てた記憶なのではなかろうか。言うまでもなく平成の大合併は国の失政であり、地方分権を著しく阻害する悪政である。その中で、地方に生きる私達は未来を築きあげていく使命がある。その使命の原動力は、この町に対して帰属意識があるからに他ならない。

「虎ちゃん囲碁まつり」の会場で懸命に囲碁に取り組む子ども達を見ていると、ここにこそ未来があると確信する。

　誰にだって譲れないプライドというものがある。因島の囲碁の歴史を見ると、そこには先人達の「鍛え」という原点があり、競い合った歴史がそのままプライドを生み出し、未来へ繋ごうと指導者達を揺り動かしているように見える。

　後継者の育成は、指導者達の祈りによって支えられる。

　どんなに時代が変化してもその原理は変わらない。時代が変化している今だからこそ、足元を見つめるべきではなかろうか。