そんなこんなで、
海上での実技試験は終了した。
残りは、
桟橋でのロークワークのテストを残すのみだった。
おれは、
一番簡単な巻結びで、
ボートの係船をして、
さっさとテストを終えた。
. . . 本文を読む
そして、
いよいよ、ボートは桟橋を離れた。
尾道水道は、
船舶の往来が激しいので、
教官が試験の会場となっている海域まで操船していく。
三原水道から離れ、
一般の航路からも遠い見晴らしのいい海域が会場だった。
自信のなさそうだったロートル二人組も、
思ったよりはさまになっていた。
. . . 本文を読む
実技試験は、
別のボート、別の教官、別の生徒の組み合わせで行われる。
内容は、
乗船準備、エンジン点検、
落水者救助、離着岸、スラローム、ロープワーク。
採点表を持った教官が、
途中の海域への移動まで含めて
一人一人の生徒を採点していく方式だった。
. . . 本文を読む
尾道水道の向こう側には、
見慣れた尾道の町が広がっている。
よく晴れたクルージング日和だ。
生徒たちがすべて集合すると、
教官たちは、生徒を３、４人のグループに分け、
教習に使うボートに乗せ、
加島というビーチだけがある島へ移動させるのだった。
. . . 本文を読む
海事学校というところは、不思議な学校だ。
試験官が、答案用紙に目を通して、
受験者の耳元で何事かを囁くと、
受験者の鉛筆が進み出す。
前日の酒宴に沸いたというロートルたちは、
安堵のため息を吐いていたようだ。
. . . 本文を読む
最終日には、合格するためのテストがある、という。
生徒は、
関東、関西、遠くは北海道からも来ていた。
年齢もまちまちで、
おれより年の人も参加していて、
最終テストへの不安を愚痴っている人もいた。
. . . 本文を読む
「夢というものは、実現してこその夢」だと言った人がいる。期限を切って実行しない限り、夢はいつまでたっても夢のまま。夢見人の夢は、ただの空想にしか過ぎない。その人は、そんなことも言っていた。 . . . 本文を読む