志穂 つぶやかないで、いってみよう。

日々の出来事を書いていきます。

楽器ごとの給与差??

2009-01-03 02:07:59 | Weblog
渋谷のBunkamuraオーチャードホールで行われた
 「東京フィル ニューイヤーコンサート 2009」
に行ってきました。

12/31~1/1にかけて毎年行われている
 「東急ジルベスターコンサート」

 「オーチャードホール × 東京フィル」
って組み合わせなので、演奏者の中には
 「昨日(1/1)の夜中もここにいて、年越しした~
って人も居たのかも。
(東京フィル、楽団員メンバーが160人以上いるので、
ジルベスターとはメンバー構成が変わってる可能性大)

詳細はまた後日書くとして、今日の演目の中に
 ラヴェルの「ボレロ」
があった。

あの、延々と同じメロディが繰り返される曲。

この曲では、珍しくオーケストラにサックスが入り、重要な役割を果たしている。
通常のオーケストラ編成では、サックスが登場することは殆ど無い。

東京フィルに「サックス担当」の奏者はいない。
なので、どこかから客演で呼んできたのか、クラリネットの人とかがやってるのか
詳細は不明だけど、とにかくオーケストラではほぼ出番の無いサックス。

サックスほどじゃないけど、チューバもあまり出番が無い。
東京フィルには、チューバ専門の奏者がいるけれど、
東京フィル全体の演奏回数から比べれば、出番はうんと少ないはず。

オーケストラ編成でほぼ間違いなく出番があるのは
 ・ヴァイオリン(第1、第2)
 ・ヴィオラ
 ・チェロ
 ・コントラバス
 ・フルート(またはピッコロ)
 ・クラリネット
 ・ファゴット
 ・ホルン
 ・トランペット
 ・トロンボーン
 ・打楽器
あと、オーボエやイングリッシュホルンも出番が多そう。

打楽器の出番もピンキリで、ティンパにはかなり出番が多い。
逆にトライアングルやカスタネット、スネアやバスドラは出番があんまり多くない。

ベートーベンの第九なんか、トライアングルの出番なんか、
第4楽章のほんのわずかな部分。
というか、ティンパニ以外の打楽器は、第4楽章以外は出番が無い。

じゃあ、ティンパニのほかにもう一人打楽器奏者がいて、
その人がティンパニ以外の打楽器を担当すればいいんじゃない?
と思うけれど、第4楽章で、色々な打楽器が重なって出てくる部分があるので、
 「一人でティンパニ以外を兼任する」
というわけにはいかない。

なので、ティンパニ以外の打楽器の人は
 「ほんのわずかな出番」
のために、延々と待機しなければならない。

オーケストラによっては、ティンパニ以外の打楽器奏者は
第2楽章と第3楽章の間にコーラス&独唱の人たちが入ってくる時に、
一緒に入ってくることがあるらしいけれど…

  打楽器奏者の方々、かなり暇…でも、ある部分ではすっごく重要

あと、管楽器もかなり出番の少ない曲とかあって、曲によっては

  4楽章構成なのに、第1~第3楽章はまったく出番が無い

ってケースも…

昔、ホントにあったらしいんだけれど、トロンボーンの奏者が
ステージ上に座っているものの、あまりにも出番が無くて暇なため
ついつい「うたた寝」をしてしまったらしい。

で、第4楽章で出番が来るのに、その人、寝ちゃって起きない
となりのトロンボーン奏者が気づいて
慌ててつっついて起こして事なきを得たらしいけれど、こんなことがホントにあるらしい。

奏者によっては、頭の中で主旋律を奏でている人もいるらしいけど、
うっかり寝ちゃう人もいる。

聞いた話なんだけど、あるオーケストラでこんな話があったらしい。

ヴァイオリン担当「ヴァイオリンなんか、ずっと出ずっぱりで弾きっぱなしだ!それなのに、ほんのわずかしか出番が無い、管楽器や打楽器の奏者と給料が変わらないというのは不公平だ

打楽器担当「こっちだって好きで出番が少ないわけじゃない!出番が無いのにステージにずっと居て、何小節目まで来たか確認しながら出番を待ってるのも大変なんだぞ!文句なら作曲家に言え

出番の少ない管楽器「管楽器なんか、チューニングしても冷えちゃったりするから、待ってる間もひたすらチューニング狂わないように息を吹き入れたりして、大変なんだぞ!」

これホントの話で、出番の多い楽器は演奏中に温まってくるから、
最初のチューニング時より若干、高くなってることがある。
それに比べて、出番の少ない楽器はどんどん冷えるので、
管楽器は出番が無い間、息を吹きいれて楽器を温めなければならない。

ヴァイオリン「うっ…そんなこと言ったって、出ずっぱりは疲れるんだぞ!」

打楽器「そんなに言うなら、打楽器チームは演奏に加わらないから、ヴァイオリン奏者が片手間で打楽器もやれ!」

管楽器「そんなに言うなら…ヴァイオリンなんかやめちまえ~

どこまでがホントかは分かりませんが、これに近い話はホントにあったらしい。


でも、打楽器や管楽器の出番が少ないからって、時給計算するわけにはいかないよね…
例えば、ベートーベンの第九が60分。
先に書いたように、弦楽器はほぼ出ずっぱりだけれど、ティンパニ以外の打楽器の出番はほんのわずか。
トライアングルなんか、5分も出番が無いんじゃないかなあ。。。

分かりやすくオーケストラの各奏者の時給を1万円とする。
(ホントはもっと高いんだろうけど)

「弦楽器奏者さんたちは、出ずっぱりなので、時給丸々1万円ですね」

「トライアングルさんは5分しか出番が無いので、時給を12等分して840円ですね」

ってワケにはいかないよね…


だって、出番が多かろうが少なかろうが、全ての楽器がそろって、初めて演奏できるんだから。


ラヴェルの「ボレロ」なんか、スネアは初っ端からず~っと叩きっぱなし。
しかも、同じリズムで、pp(ピアニッシモ)あたりからはじまって、
ず~っと叩き続けて、最後、fff(フォルテッシシモ)あたりまでになる。

主旋律を奏でるのは、主に管楽器。
フルート、クラリネット、イングリッシュホルン、オーボエ、サックス、トロンボーン、
かなり出番が多い。

スネア以外の打楽器も、結構重要な役割を果たす。

それに比べて、普段は主役の弦楽器は、というと…
  最初は出番が無くて、途中から「ピッツィカート(弦を指ではじいて短い音を出す)」をやってるくらいで、終盤でやっと主旋律。

普段と出番が逆です。


なので
 「曲中での出番が多い、少ない」
で、楽器の重要度は計れない、ということで。