Mのミステリー研究所

古今東西の面白いミステリーを紹介します。
まだ読んでいないアナタにとっておきの一冊をご紹介。

『白雪姫には死んでもらう』ネレ・ノイハウスのミステリ

2015-03-07 16:43:39 | ミステリ小説
                                      

著者はドイツミステリの女王と云われているそうですが、この本はミステリ要素は低くどちらかと云うと警察小説といった感じです。

逮捕され刑に服し10年振りに両親が暮らす村に帰って来た青年トビアス。しかし、両親は離婚しており母親は家を出ていました。少女二人を殺害した犯人として逮捕された彼は

村に帰ってきて始めて両親が彼以上に過酷な状況のなかで暮らしてきたことを知ります。そしてゆっくりと彼が村に帰って来たことによって運命の歯車が動き出します。

自白はしていません。無実をずっと訴えていましたが状況証拠と自白しないことが逆に彼の刑を重くする結果になりました。

彼の家にペンキで嫌がらせの言葉が書かれたりしているうちに空軍基地跡の燃料貯蔵庫槽から人骨が発見されます。調べの結果11年まえの連続少女殺害事件の被害者のものと判明します。

主人公の刑事コンビオリヴァーとピアの二人が動き出します。しかし、事件と並行して描かれるこの刑事たちのドラマも並みではありません。実に人間臭い弱みや情けなさを

さらけ出します。最後にはオリヴァーも妻と別れる選択をしますが事件の最中に妻の行動に疑心暗鬼になり、仕事が手に付かない見っとも無さなどを見せたりします。

隣の家に事情があって母親から離れ伯母のところに来た少女アメリーがトビアスに興味を持ちます。そして11年まえの事件について調べ始めます。読者も彼女が調べることを知っていく展開ですが

警察は終わっている11年前の事件に感心を持ちません。しかし、離れて暮らすトビアスの母が何者かに歩道橋から落とされ重症を負います。この事件をきっかけに刑事コンビは

11年前の事件に注目します。少しずつトビアスに話を聞くうちに彼を犯人とした当事の捜査にピアは疑問を持ちます。そして少女アメリーが失踪します。ですが警察はアメリーが調べたことを

知りません。スタートの遅れがアメリーの危機に繋がっています。この辺の描き方は中々上手いところです。色々な人間模様を見せながら後半は息もつかせない展開になっていきます。

複雑に絡み合った人間の思惑や欲望が事件の背景にあり真相は単純ではない所がこの物語の深みを増しています。

この刑事コンビの作品は前作の『深い疵』も評判が良いのでコチラから先に読んでみるのも良いでしょう。





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